蘇生ガイドラインG2010からG2015へ

もうガイドライン2015を意識する時期に入っているんですね。
 
救急医学2012年11月号G2010からG2015へ
 
蘇生ガイドライン2010が発表されたのが2010年10月28日。
 
今回は日本語版ガイドラインもドラフト版ということでしたが、その翌日に発表。
 
しかし、正式版が出るまでには1年近くがかかり、普及レベルでG2010が広まりだしたのは、今年の1月とか4月から。しかし、国際的にはもうG2015を考える時期なのです。
 
さて、今月号の救急医学誌の特集記事、とても参考になることがたくさん書かれていました。
 
いくつかご紹介しましょう。
 

1.口対鼻人工呼吸の可能性


普及レベルで口対鼻人工呼吸が推奨されているのは、現時点、乳児(口と鼻を同時に自分の口で覆う)のみですが、成人に対してでも口対鼻の方が口対口よりメリットがあるのではないかということが書かれていました。
 
まだ研究中ということで、次回ガイドライン2015でどのように勧告されるかはわかりませんが、口対鼻の最大のメリットは気道確保をしなくても人工呼吸ができて、かつ、換気量が多いこと。また、口対口と違って直接粘膜に接触するわけではないので、感染対策的に有利かもしれないという点。ただ、これは口対口法の感染に関する研究自体が進んでいないので比較検討は難しいだろうということでしたが。
 

2.乳児心停止とPBLS(太田邦雄)


PBLSとはPediatric Basic Life Support、小児一次救命処置のことです。
 
日本の医療従事者の間では事実上標準のAHA(米国版)ガイドラインと日本版ガイドラインで、大きく違う部分は小児・乳児の扱いです。端的にいうと、AHAは市民向け教育の中でも子どもには子どもの心停止の特徴に合わせた蘇生法を推奨しているのに対して、日本版ガイドラインでは、市民向けには事実上子どもの蘇生は教えず、すべて大人と同じ手順に統一するという、ある意味大胆な施策を取っています。
 
この部分をどう理解するかが日本で活動するAHAインストラクターとしては重要なところですが、そこが詳しく解説されているのがこの記事です。
 
「呼吸の重要性を強調したPBLSは保護者や教育関係者にも推奨する」
 
結果的にはこのように推奨されていますから、AHAのファミリー&フレンズCPRやハートセイバーAEDコースは、市民向けではありますが、保護者や教育関係者向けコースということで、日本での開催は可能です。
 
ファミリー&フレンズCPR【小児・乳児編】は、本来は消防の普通救命講習や日赤基礎講習に相当するもっともベーシックなプログラムなはずですが、日本では皮肉なことに一歩上のハイレベルな講習ということになりそうです。
 

3.普及・教育のための方策/実行


ガイドライン2010の最大のテーマは「実行性」です。今回から新しく入ってきたガイドラインの主軸のひとつ。ガイドライン2000で蘇生法の国際的な統一が作られ、2005年には簡略化が図られました。そこに加えて今回は蘇生科学的な理想論を脱却して、実際にできるためにはどうしたらいいかということで、大改革が加えられました。
 
そのため、この雑誌特集記事の中でも、普及と教育の部分に多くページが割かれています。学校教育としてどう教えていくか、市民教育の現状と課題など。
 
ガイドライン2010の本質は決してCABとかそういう話ではありません。ガイドラインの本質と今後の展望を理解する上でも、ぜひインストラクターには目を通してほしい内容です。
 
 

 
 
 


 

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