吸気性喘鳴→上気道閉塞が分かったらどうする?

PEARSプロバイダーコースは、生命危機に陥った原因が呼吸のトラブルか、循環の問題かを考え、それぞれ「タイプ」を判定することで、適切な安定化の介入を行い、目の前で命を落すのを防ぐ方法を学ぶプログラムです。

診断(判定)することが目的ではありません。ゴールはその先にあります。

PEARSで、生命危機の判定ができて、目の前にいる人が上気道閉塞だとわかったとしても、判定しか学んでいないと、「案の定、窒息で目の前で命を落としました」ということになってしまいます。何のために判定をするのか? 介入をするためです。

PEARSで学ぶ介入は一般論であっては、学んでいないに等しいと言っても過言ではありません。職種や、職場環境、訓練の程度によって、できることは変わってくるからです。

医師ならアドレナリンの筋注をするかもしれませんが、看護職はまずは医師に報告して指示を取り付けなければなりません。

救急救命士は救急車内にアドレナリンは積んいても、それを注射することは許されていません。また養護教諭も、本人がエピペンを持っていない限りは注射できません。

であれば、どうするか?

アナフィラキシーによる上気道閉塞への介入はアドレナリン筋注と知っていても、それぞれの立場に応じてどう行動するかはまったく違うということこそが重要です。

ですから、「アナフィラキシーによる上気道閉塞→アドレナリン筋注」という一般論を闇雲の教えるのではなく、ここに向けてあなたはどう行動しますか? という点を各自に考えてもらう必要があるのです。

この部分が如実に浮き彫りになるのが、シミュレーション・トレーニングの効用です。

座って他人事としてのディスカッションをするのではなく、(仮想訓練ながら)当事者として、自分の問題として考え行動することからの学び。

現場に自分を投入するからこそ気づき、学べる点が、机上の思考訓練とは違います。

それこそが重要です。

アナフィラキシーによる上気道閉塞という生命危機状態。そこで注射用のアドレナリンがない、もしくは使えない状況だったらどうするのか? それでも当事者となれば対応しなければならないのです。ここでなにもできないと立ち尽くすのか、少しでも効果がありそうなことをやってみる、は、大きな違いです。

まとめとしては、受講者の個々の実行動につながる学習でないと、それは趣味としての勉強に近いものであり、実務上の研修とはいえない、ということです。

「わかる」と「できる」は違います。この隔絶はあまりに高いハードル。

このハードルを低くするのがシミュレーションの目的です。

アナフィラキシーによる上気道閉塞。これままさに学校教職員向けのエピペン講習でも言えることですが、さらに1つ付け加えると、自分で助けようと思うのではなく、システムとして助ける方法という視点に立つことも重要です。学校システム、消防や病院という救急対応システムとの協働をどうするか?

自分の手で、決定打となる救命処置ができないとしても、救命の連鎖というシステム概念の中で、自分がどんな役割をはたすのかという視座に立てば、なにもできないということは絶対にありません。

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