PEARSから学ぶ臨床推論 – 仮説演繹法とは?

先週は、長野の松本と静岡の浜松、2箇所での出張 PEARSプロバイダーコース でした。

PEARSプロバイダーコースは、看護師のための心停止予防研修ですが、急変対応に限らず、仮説演繹法という臨床推論の考え方を体験できるという点で、論理的な思考のトレーニングとしてもおもしろいプログラムです。

臨床推論というと、一般的には医師の診断プロセスの一つです。

看護師教育の中にも、「看護過程」とか「看護診断」という形で、論理思考プロセスが入っているのですが、お作法として形骸化して現実的にはあまり科学的な思考過程という捉え方での訓練にはなっていないのが現状です。

そこでPEARSに触れることで、臨床推論という考え方を初めて知ったという看護師さんが多い気がします。

仮説演繹法とは、PEARSの場合だと、心停止に至りかねない危険な状況を、呼吸器系4パターン、循環器系2パターンのどれかであると仮定して推理を進めていきます。

例えば、異常な呼吸様式を見たとき、「呻吟がある」、「呼気延長がある」と判断したとしましょう。
この情報から、肺組織疾患(肺炎や肺水腫)か、下気道閉塞(喘息や細気管支炎)があるという仮説を立てます。

この仮説を証明していこうというのが仮説演繹法の考え方です。

PEARSの体系的アプローチではこの後に聴診をすることになるのですが、肺組織疾患があるなら、ラ音(断続性の副雑音)が聞かれるという予測が立ちます。また下気道閉塞であれば、呼気性喘鳴が聞かれるのでは? という予測が立ちます。

このように、症状などから早期に予測を立てて、もしそうであれば、こういった兆候があるはずだ、という仮説を検証していく思考プロセスが仮説演繹法と呼ばれます。

この場合、漫然と聴診器を当てるのではなく、こんな音が聞かれるはずだ、と意識をすることで、微妙な音の違いに敏感になれ、見落としを防ぐこともできるかもしれません。

経過観察をする、というと、◯◯がある、ということを探すというイメージが強いですが、臨床推論の中でも仮説演繹法に立てば、◯◯がない、ということを確認することに意味があったりします。

仮説を否定する作業。否定できた先には安心が待っています。

このような臨床推論の考え方を実践し、その意義を体感できるという点で、PEARSはすべての看護職にとって意義のあるプログラムだと考えています。

BLS横浜では、小児とか急変対応とか、末端的なことに限らず、考え方を鍛えるトレーニングとしてPEARSを位置づけています。

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