救命講習会日記一覧

BLSプロバイダーコースに病院管理者が参加することの意義

県外の総合病院で、定期的に AHA-BLSプロバイダーコース を開催させてもらっています。

希望者が任意で、ということなのですが、それでも病院組織の意向を受けて、月に1回のペースで定期開催しています。

まだスタートアップの段階ですが、驚くのは毎回、各病棟師長さんたちが参加してくれていることです。

循環器病棟、救急病棟、外来、さらには副看護部長さんなど、看護部の管理者が率先して参加してくれています。

病院内での講習開催では、とかく若手の看護師、研修医、また専門医狙いの中堅医師の参加が多いなか、看護部の上の人たちが来てくれるのは珍しいかもしれません。

昨日のBLSプロバイダー講習でも、病棟師長が3名も参加してくれていました。

BLS講習というと、とかく体育会系で体を動かすので、管理職よりは現場の人向けという印象ですが、ガイドライン2015になって、BLSコースではチーム蘇生の側面が強くなりました。

10分間のチーム蘇生とデブリーフィング(振り返り)が、成人BLS部分のゴールになったことで、病院管理者の方たちが参加されたときに、またこれまでとは違った受講の効果が出てきているように感じています。

BLSプロバイダーマニュアルのチームダイナミクスの章、デブリーフィングの説明として書かれているように、デブリーフィングによって、システムの長所と短所がはっきりして、業務改善の糸口となることがあります。

今回のBLSプロバイダーコースでも、10分間のチーム蘇生の後の振り返りで、蘇生中の記録をどうするかという話し合いになり、AEDの中に専用の記録用紙を入れておくことを明日からでも実施しようという話になりました。

蘇生中の記録については、チームシミュレーションではよく話題となるポイントですが、今回は管理職である師長3名も含めてのデブリーフィングでの結論。聞いていて実現性がこれまでとは違うなとかんじました。

決断力。

きっと、明日から実際にシステム改善に取り組むことでしょう。

共通認識を形成することとシステムの短所に気づいて改善すること。

これがG2015のBLSが、単なるテクニカル・スキルトレーニングではない所以です。

そこに管理職が関わることで、末端レベルのチームワークではなく、病院組織の改善にもつながっていく。そんなことを強く感じた次第です。


ポケットマスク人工呼吸指導を、運動スキル・認知スキル・態度スキルに分解して考える

BLS横浜では、BLSプロバイダーコースや、ハートセイバーCPR AEDコースのオプションのシミュレーション練習の中で、ケースに入ったポケットマスクを組み立てて手袋を装着して人工呼吸を行う体験をしてもらってます。

これが、けっこう手間取るんですよね。やってみるとわかります。

これをどのタイミングで、どの優先順位でするかを考え、意思決定するのが、現実の課題かなと思います。ケースバイケースで答えはありませんが、そんな問題に直面し、考える、ということが重要です。

人工呼吸要ポケットマスクと感染防護手袋(グローブ)

既成のポケットマスクを購入すると、ニトリル手袋が標準でついています。

講習会での練習ではほとんど無視されていますが、現実にポケットマスク人工呼吸を行うなら手袋装着が必要と思ったほうがいいでしょう。口から泡を吹いていたり、よだれがついていたり、出血したりと、口周りはあまりキレイではないことが多いものです。

ファーストエイド講習なんかは特にそうですが、「手袋をしたフリ」ではなく、傷病者対応の一連の流れの中で、手袋を身につけさせる体験は絶対にさせたほうがいいです。

意外と手間取るという現実を知ることと、手袋をしながらも声掛けをする、観察をする。そんなノン・テクニカルな技術が重要だということに気くからです。

これは手袋を付ける、外すという、パーシャルタスク(断片的な部分技能)で練習しても意味がありません。それはただの「運動スキル」の練習に過ぎないからです。

状況を判断して手袋をどのタイミングでつけるかの意思決定をするのは「認知スキル」です。

そして傷病者を目の前にして、ただだまって黙々と手袋を装着するのか、なにか声掛けをしたり、観察をしながら平行して行うのか。これは「態度スキル」に相当する部分です。

このように実際の人間の行動は、「運動スキル」「認知スキル」「態度スキル」という3つの技能から成り立っています。これらが統合されて発揮されて、はじめてパフォーマンスとして成り立つわけです。

これを逆説的に、身につけさせよう、トレーニングしようと思ったら、バラバラにやるだけでは不十分で、特に認知スキルと態度スキルは、部分を切り取ったものではなく、一連のシナリオのなかで経験をしなければ学べないということが見えてくると思います。

だからこそ、現場で使えるための技術はシミュレーションでないと学べないのです。

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親子で学ぶ救命教室〜地域密着企画講習の意義

今日は、本牧にある「かいじゅうの森ようちえん」での講習会でした。
 
題して「親子で学ぶ救命教室」。
 
毎年この時期に開催させてもらって、もう4年目になります。
 
ようちえんのお子さんと、そのご家族とで一緒に心肺蘇生法を体験・練習しようという企画。家族ごとに成人マネキン1体と小児マネキン1体を用意し、親子ともども一緒に心肺蘇生法を体験してみようという企画です。
 
子どもたちもアンパンマンの音楽に合わせて一生懸命マネキンの胸を押していました。
 
今回は、赤ちゃんを連れて参加された家族が2組いたので、急遽、乳児のCPRと窒息解除法も付け加えてみました。
 
すでに来年の予約も頂いて、次回は2018年2月3日(土)予定です。今回は、遠く埼玉や東京からボランティアでインストラクターが駆けつけてくれました。
 
来年もまた近くなったら募集させていただくと思いますが、直近だと3月6日(月)にも横浜市内の幼稚園で親御さん向けの小児・乳児蘇生法教室を予定しています。
 
現在、お手伝いいただけるボランティア・スタッフを募集中です。
 

かいじゅうの森ようちえんでの親子で学ぶ救命教室
園のパンフレットと園長先生に頂いた朝取れのたまご

 
 
さて、私たちはいろいろな形で救命スキルを伝える講習や普及活動を展開していますが、今日の幼稚園でのご家族向け講習のような機会は、特にやりがいのある仕事だと思っています。
 
日頃BLS横浜でしているような一般公募での講習に来てくださる方は、基本的には意識の高い方、といえます。特に医療従事者向けのBLSプロバイダーコースなどは、もともとある程度できる人が、スキルアップを目指してくるというケースが少なくありません。
 
それはそれで意義のあることですが、地域社会での救命率を上げるという公衆衛生学的な意義を考えたときには、もともとは救命法をまったく知らなかった人たちが、新たに技術を身につける、意識をもつということには、また違った次元での絶大な価値があると思うのです。
 
わざわざ出向いてまで救命講習を受けようとは思っていない方にアプローチするのはどうしたらいいか?
 
それが可能となるのが、今回のような既存の地域コミュニティ内での救命講習の企画です。
 
今回は、幼稚園でしたが、日頃通っている身近な幼稚園の中で救命講習をするなら、参加してみようかな、と思う方もいます。
 
 
そんな、公募講習をしているだけでは決して出会うことができない方たちに、救命法をお伝えできる機会は私たちにとっても非常に意義深いやりがいを感じる時間です。
 
そういった意味で、こうした依頼をいただくことに感謝しています。
 
インストラクターとしても自分たちが持っているスキルが、社会に還元できることを実感できるひととき。
 
感謝です。
 
 
 

 

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最大の学びは教えること〜拡がりに期待をしつつ

この週末、一般社団法人AED-PROMOTE(スポーツシーンにおける突然死撲滅プロジェクト)さんとの共同企画で「スポーツ現場における救命法講習会」を開催してきました。
 

マリノスタウンでの傷病者対応コースforバイスタンダーズ

 
心臓への負荷がかかるスポーツの世界では心臓突然死は珍しい話ではありません。
 
そのためスポーツトレーナーは一般的な救命法を心得ていますし、サッカーや野球など、ファンイベントとして、PUSH講習やAED講習が開催されたというニュースも最近よく聞きます。
 
そんな救命法に対して意識が高いと思われるスポーツ関係者のために、さらに一歩先を学ぶ機会を、ということで私どもが相談を受けて実現したのが今回の「スポーツ現場における救命法講習会」でした。
 
BLS横浜オリジナル講習の「傷病者対応コース for バイスタンダーズ」をベースにして、スポーツ現場、特に今回は観戦中の観客に起こりそうな緊急事態を想定したシナリオで進めてみました。
 
胸骨圧迫のみの心肺蘇生法の練習から始めて、その後、「呼吸があったらどうするか?」「意識があったらどうするか?」というファーストエイド領域まで徐々に守備範囲を広げていく4時間の経験型学習プログラムです。
 
現実問題として、心停止という最悪の事態にいきなり直面するよりも、具合が悪くてうずくまっている人を見つけたとか、そういう比較的軽微なトラブルに遭遇するほうが多いのが現状かと思います。
 
最後の手段として心肺蘇生法は心得ておくべきですが、「ふだん使い」できる救急対応能力としては、体調不良を含め、困っていそうな人に声を掛けて、問題解決に向けたサポートをしたり、然るべき人に引き継ぐということのほうが現実的です。
 
言葉にすると簡単ですが、私たちにとっては見ず知らずの人に声を掛けて、訴えを聞くだけでもなかなか大変なこと。
 
そのあたりをシミュレーションを通して訓練するのが傷病者対応コースの基本コンセプトです。
 
 
今回は、午前と午後で2回の講習を開催して、延べ22名の方にご参加いただきました。
 
この企画の特徴は、午前中に受講した人が、午後にはアシスタント・インストラクターとして指導側で参加するということ。
 
よく言われることですが、最大の学びは教えること、です。
 
救急法という医学的とも思われる内容だけに、いきなり人に指導するというのは心理的にも抵抗が大きいかなと思う部分もありましたが、やってみたら、午前中の参加者の方たちも積極的に受講者に声をかけて、自分たちが学んだことを活き活きと伝える姿が多く見られました。
 
なにより楽しそうに受講者の方たちと話をしていて、自分たちが学んで、「へぇ!?」と思ったこと、「なるほど!」と思った体験を参加者にも感じてほしいという思いに駆られていたのかなと思いました。
 
救急法というコンテンツを伝える、というよりは、シミュレーション体験から学び取ることの楽しさや充実感をシェアするという学びのサポーターとしての楽しさ、のようなものがあったのかもしれません。
 
今後、このような機会を継続して提供し、学びの輪が広がることに期待しています。
 
今回は、横浜が誇るプロサッカーチーム「横浜マリノス」さんの協力で、練習場のあるマリノスタウンを会場として提供していただきました。
 
そのため、今回の参加者はサッカーファンの方が多かったようですが、ノルディックウォーキングのインストラクターさんなども参加されており、今後はもっと広くスポーツ関係者の方の参加を期待しているイベントです。
 
今後、AED-PROMOTEさんの方で、さらに横浜市内のスポーツ関連団体やプロスポーツチームに声をかけていくということですので、今後の拡がり、そして次回の開催はどのスポーツ関連施設になるのか、楽しみです。
 
次回開催は現時点、未定ですが、「スポーツシーンにおける突然死撲滅プロジェクト」のFacebookページなどで公示が出されましたら、またこちらでもご案内していきたいと思っています。
 
 
一般社団法人AED-PROMOTE
 http://www.aed-promote.link/
 
スポーツシーンにおける突然死撲滅プロジェクト
 https://www.facebook.com/aedpromote
 
 

 
 
 

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私たちが開催する講習の特色

AHA講習を展開する組織として、私たちの特徴について説明したいと思います。
 
 
日本には現在9つのAHA ECC提携団体があり、下の図に示すような法人(学会やNPO、企業、任意団体など)が、AHAと契約を結ぶことで、国際トレーニングセンターとして認証されて、それぞれ独立した立場でAHA公認講習を開催しています。
 

日本のAHA講習開催団体の関係図

 
同じAHA講習を開催していても、このような組織建てになっているため、トレーニングセンター同士の横のつながりはなく、日本国内で一元管理されているわけではない、という点はあまり知られていません。
 
そのため、同じAHA講習を開催している団体(トレーニングセンター)でも、目指すところやその対象、雰囲気や考え方など、母体組織によって、特色の違いが見られます。
 
 
私たちは、現在は主に日本医療教授システム学会AHA国際トレーニングセンター(JSISH-ITC)の一員として活動しています。教授システム学ということで、教育工学(インストラクショナル・デザイン)を研究する学術団体の下にいますので、AHA講習プログラムに対しても、常に教育という視点から捉えているのが私たちの特色です。
 
どのように指導したら効果的か、またシミュレーション教育と実臨床の間の溝を埋めるにはどうしたらいいか、など、教え方(逆説的に、学び方といった方が適切かもしれません)という視点でAHA講習を考えています。
 
つまり、BLSやACLS、またはPEARSといった講習プログラムが先にあるのではなく、適切な心肺蘇生法ができる、二次救命処置でチームワークを発揮する、心停止につながる危険な兆候に気づき介入できるといったゴールに到達するための手段の一部としてAHA ECCプログラムを活用している、と言っていいかもしれません。
 
教育デザイン的に考えたときに、AHA講習は現場でのパフォーマンスまではカバーしていないことは明白ですから、AHA講習で基礎スキルを身につけた後、どう現場で使えるパフォーマンスに持ち上げていくかという、先を常に考えています。
 
このあたりが、数あるAHA講習開催団体の中でも受講者の皆様から高く評価を頂いている部分なのかもしれません。
 
 

 
 
 

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歯科業界での急変対応事情

昨日は、神奈川歯科大学でのBLSヘルスケアプロバイダーコースでした。
 
去年、学園祭実行委員会さんからの依頼で、学園祭でのBLSイベントのための心肺蘇生法指導員養成ワークショップを3回行わせていただきました。
 
それ以後、学生さんで希望者が集まると、随時BLSヘルスケアプロバイダーコースを開催させてもらっています。
 
同大学は、歯学部の他、附属短大で看護学科と歯科衛生士学科があります。
 
その中でも、今回ははじめて歯科衛生士の学生さんが参加してくれました。
 
 
病院文化の常識として、いわゆるBLSから始まって、ALS(二次救命処置)へ、というのは図式として確立していますが、歯科の世界では、病院のような大組織ではなく、歯科クリニックというこじんまりとした単位が多数かと思います。
 
そんな歯科業界での救急対応に対する意識・取り組みはどうなのでしょうか?
 
 
平成24年4月の診療報酬改定で歯科外来診療環境体制加算というのが制定されました。
 
詳細は割愛しますが、その加算をとるための条件の一部として、
 
 
(1) 偶発症に対する緊急時の対応、医療事故、感染症対策等の医療安全対策に係る研修を修了した常勤の歯科医師が1名以上配置されていること。
(2) 歯科衛生士が1名以上配置されていること。
(3) 患者にとって安心で安全な歯科医療環境の提供を行うにつき次の十分な装置・器具等を有していること。
ア 自動体外式除細動器(AED)
イ 経皮的酸素飽和度測定器(パルスオキシメーター)
ウ 酸素(人工呼吸・酸素吸入用のもの)
エ 血圧計
オ 救急蘇生セット(薬剤を含む)
カ 歯科用吸引装置
 
 
といったことが挙げられています。
 
つまり、歯科医院では、AEDを含めた急変対応資機材の準備と、それを扱うための研修が求められているということです。(研修に関しては、救急蘇生だけではなく、いわゆる医療安全という幅広い視座の中のひとつということですが)
 
BLSに関しては、ごくごく一般的な医療者向けBLS講習と同じでいいかと思いますが、問題はその先です。
 
病院内では、医師によりそのまま二次救命処置(ACLS)に移行していきますが、歯科業界ではどこまでの対応を現場で行うかという点です。
 
あまり知られていませんが、歯科医師は歯科診療上の必要があれば、医科の医師と同じように静脈路から薬剤投与をしたり、口腔内以外の皮膚を切開したり、縫合したり、外科的気道確保を行うこともできます。さらには全身麻酔をかけて、いわゆる全身管理を行うこともできます。
 
それは主に歯科口腔外科や歯科麻酔科という歯科医師の中でもやや特殊な分野を専攻した方の専門領域かもしれませんが、資格としては歯科医師免許でACLSなどの高度な救命処置も行うことができるという点です。
 
市中の個人クリニックであれば、AEDを用いたBLSを行いながら、救急隊員に引き継ぐというのが現実だと思いますが、可能性としては歯科であっても、二次救命処置がありえるのです。
 
いわゆる成人への二次救命処置(ACLS)では、「VFハンター」という言い方もあったように、心臓突然死を主なターゲットとしています。歯科治療中であっても、突発的な心室細動発症の可能性は一般と同じかもしれませんが、歯科で忘れてはいけないのはアナフィラキシーです。
 
局所浸潤麻酔でキシロカインを多用しており、これによる薬剤アレルギーの発症が一定数あると言われています。
 
そのため、突然の心室細動だけではなく、薬剤アレルギーによるアナフィラキシーショックも歯科急変の大事な危機管理のポイントになっています。
 
この場合、救命の要はAEDではなく、アドレナリン投与と気道確保、ショック対応です。
 
歯科大学病院などでは、当然こういった対応を現場の歯科医師や歯科衛生士が行うことになるのだと思いますが、小さなクリニックでは、そこまでを想定した準備を行うのか、それともBLS範疇にとどめて、救急車や近隣の医科に早期に委ねる方向で考えるのか、という点が問題となります。
 
アナフィラキシーショックの中でも、注射によるものは進行が速く、5分くらいであっという間に心停止に移行してしまう場合もあります。このあたり緊急度をどう考えるのか?
 
歯科医院から救命講習の依頼をいただくこともあり、講習展開にどこまで含めるのか、こんなあたりの話はいつも出てくるのですが、難しい問題だと感じています。
 
・歯科医師の意識と経験
・歯科クリニックのスタッフ構成(歯科医師人数、歯科衛生士の有無、歯科助手、事務スタッフ)
・厚生労働省が歯科クリニックに求めているもの
・歯科クリニック利用者が歯科医ならび歯科スタッフに求める急変対応への期待
 
そんなことをトータルで考えて、アドレナリン筋肉注射までを含めることもあれば、早期通報を徹底し、CPR訓練に留めることもあります。
 
 
歯科医からも、どこまでやるべきかという点で、率直な相談を受けることも多く、そんな時は日本口腔外科学会と日本救急医学会の有志で策定したDCLS(Dental Crisis Life Support 歯科診療危機初期対応)を紹介させてもらっています。
 
 
 
日本救急医学会のICLSをベースとしているため、スタッフ数の限られる小規模施設にはそぐわないとか、歯科医師は開催のためのディレクターになれない、公募開催がほとんどないなど、問題点もあるようですが、公式テキスト 「DCLSコースガイドブック―デンタル・クライシスの初期対応」も市販されており、歯科業界での急変対応を考える上ではフルサイズの指針として使えるのではないでしょうか。
 
 
 

 

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「効果的な心肺蘇生法講習の組み立て方」ワークショップ

今日、開催した「効果的な心肺蘇生法講習の組み立て方~成人学習理論を活用する」ワークショップ最後のスライドです。
 

救命講習BLS研修:既製服からテーラーメイドの時代へ

 
良くも悪くも救命講習やBLS研修の進め方は王道が出来上がっています。
 
今回のワークショップでは、講習組み立てのロジックの入口を紹介しました。
 
これまでは既製服で肩幅がちょっとあわなくても、それしかないから、疑問にも感じなかった。しかし、服の仕立て方を知ってしまうと、最終的には対象にマッチさせた服を作りたくなってくる。
 
そんな視点の広がりが、今回のワークショップの意図したところです。
 
2010年ガイドラインになってから、子どもの蘇生法を巡って起きている議論もかんがみて、顧客本位の講習の必要性が高まっています。
 
この先、どんどん高まっていくことが予想されるそんなニーズに応えられる人材を増やしていきたい、そう考えています。
 
 

 
 

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インフルエンザと、BLS/救命講習の感染対策

この時期、BLS講習や救命講習をやっていて怖いのがインフルエンザ。
 
人工呼吸練習がある講習ではマネキンを介してインフルエンザに感染したということになったら目も当てられません。
 
しかし、普通に考えて、リスクはかなり高いと思います。
 
特に1体のマネキンを複数人で使いまわす場合、フェイスシールドを使っていても不繊布の部分から唾液などの液体成分は染みます。なによりありがちな話としてフェイスシールドの表裏を間違えたら、アウトです。
 
そんな、ある意味、体液被曝事故のリスクが高いのが心肺蘇生法講習です。(医療現場では他人の血液や体液に触れることは「事故」です)
 
そこで、BLS横浜では、原則一人一体のマネキンを用意するのを原則としており、そうでない場合も、口をつけるマネキンのフェイス部分は一人一つの個人専用のものを用意して、その都度ご自身の手で交換してから練習してもらっています。
 

毎回洗浄消毒するBLSマネキンの顔

 
そして、講習終了後は、洗剤洗浄後、次亜塩素酸ナトリウム希釈液で薬液浸漬消毒。(いきなり消毒液につけるのはNG!)
 
自然乾燥させています。(拭くことで雑菌を付着、広げることになるので)
 
インフルエンザ蔓延のこの時期、BLS講習などを受講される方は、マネキンの衛生管理について不安があればあらかじめ主催者に問い合わせることをお勧めします。
 
 

 
 

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親子で学ぶ救命教室-小さな子どもが蘇生法に親しむ意義

今日は幼稚園の先生とのコラボ企画で「親子で学ぶ心肺蘇生法講習」でした。

幼稚園に通うお子さんとその親御さんを対象とした救命講習です。

今後、自身で園や地域や近隣の幼稚園・保育園で救命講習を開催していきたい! とおっしゃっている幼稚園の園長先生との話ので決まった企画講習第一弾。

最初ということで、4−5組の少人数というつもりでいましたが、お父さんを含めて一家4人で来てくれたご家庭や、各ご兄弟の参加も含めて、総勢約15名。

成人マネキン5体、小児マネキン5体を用意してのアットホームな講習会となりました。

幼稚園生の子どもたちにも積極的に参加してもらうため、アニメ仕立てのPUSHプロジェクトのDVD教材を使わせてもらいました。

PUSHプロジェクトのDVD

NPO法人大阪ライフサポート協会が作った救命講習DVDで、一般に頒布されていて、このDVDを使って誰でも救命講習を開催することができます。

大人でも十分学べる内容のハイクォリティな映像教材ですが、やはり子どもにも効果てきめん。

今回はPUSHプロジェクトのDVDをベースに進めつつ、園長先生に倒れてもらって、寝ているだけかの確認(反応の確認)や、呼吸の確認を体験してもらいつつ進めていきました。

PUSHプロジェクトはその名の通り、胸骨圧迫(心臓マッサージ)にフォーカスしたプログラム。

AED操作は含まれますが、人工呼吸は扱いません。

しかし、今回は「親子」が受講対象。基本的には我が子のいざというとき、を想定して受講に来てくださっています。

子どもの蘇生といえば人工呼吸ははずせません。

なので、胸骨圧迫練習まではPUSH講習ビデオを使って、後半は独自に人工呼吸とAEDを段階的に組み入れて、トータル1時間半の講習に仕上げました。

子どもたちのゴールは、心停止の認識とそれを周りの人に伝えること。そしてできるかぎり、胸の真ん中を強く速くPUSHすること。

親御さんたちのゴールは、人工呼吸とAEDを組み合わせて、フルサイズの子どもの蘇生を行うこと。

PUSH講習を入口としたため、まずは、胸骨圧迫だけのCPRとして完成させて、そこに状況が許せば追加して下さいということで人工呼吸、そしてAED。そんな順番で進めました。

救命講習を受けたことがある方もいましたが、子どものマネキンでの蘇生は初めてだったとのこと。また家族にマネキン1体という少人数制で町内会でやった講習よりしっかり練習ができた、といった感想をいただけました。

家族ごとに1体(成人マネキンと小児マネキンのペアなので厳密には2体)なので、人工呼吸はフェイスシールドは使わず、直接口をつけて吹いてもらいました。これも一般の蘇生講習ではなかなかできない体験。(マネキンの顔部分は、きちんと洗剤とスポンジで洗って次亜塩素酸ナトリウムで消毒して、使用の直前でマネキンに取り付けました)

子どもたちはというと、応援を呼ぶところなどは照れがあって上手にできない子もいましたが、胸骨圧迫はほぼ完璧。しっかりと小児マネキンの胸の厚さの1/3を押せている子も多かったです。

そして意外だったのは人工呼吸。

それほど照れる様子もなく、上手に胸が上がる有効な人工呼吸を行えていました。胸骨圧迫とちがって、うまくいったという手応えが目で見てわかるところが興味が引けたのかもしれません。

まずは親御さんにパーツごとに練習していただき、続いてお子さん。そこでは親が子にやり方を教える、という図式を意識してやってみました。

これはなかなか効果的で、照れてやってくれない子どもに対して「ママが倒れたらどうすの? 助けてほしいな」といって誘導してくれたり。

★   ★   ★   ★

さて、皆さん、幼稚園児という小さな子どもに心肺蘇生法を知ってもらう意義を、どう考えますか?

消防の普通救命講習I。おそらく日本で最もポピュラーな心肺蘇生法講習ですが、受講できるのは中学生以上としている自治体が多いようです。

総務省消防庁の基準を見てみると、目安としてそのように書かれています。決して中学生未満の子どもが受けられないわけではないことは文面から見て取れますが、現実に運用としては年齢制限がされている場合が少なくありません。

確かに幼稚園くらいの小さな子どもが成人マネキンを使って、「少なくとも5cm」の深さで胸骨圧迫することは難しいかもしれません。

しかし、正しくできないから、やってはいけないのか? やらないほうがいいのか?

そうではないことはみなさんご存知ですよね。

倒れている人がいたら、安全確認して声を掛ける。その救命法が効果的かどうかという質的な問題ではなく、手を差し伸べるという 態度 を育むのは幼い時のほうがいいはずです。

中学生になれば技術的な部分ではいいかもしれませんが、なにより肝心な態度を鍛えるには遅すぎる、もしくは困難を伴うかもしれません。

力や体力的な問題、つまりテクニカル・スキルは年齢とともにアップし、問題は解消されていきます。

そんな成長過程に合わせた段階的な指導と考えると、その年齢ごとのゴール点は違ってくるはず。

今日、参加してくれた子どもたちが、学校に入学して保健体育などで心肺蘇生法を改めて教わるとき、きっと初めての子たちとは違う思いで望んでくれて、いざというときの行動にいい方向に影響してくれたらいいなと思っています。

 

 

2018年8月21日(火)
親子で学ぶ救命教室 at 横浜桜木町

参加者募集中

参加費無料

 

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BLSプロバイダーカードの有効期限と技術維持の話

救命講習を受講して、心肺蘇生技術を身に着けたとして、いったいどれくらい期間、技術が維持できると思いますか?
 
いろいろ研究されていますが、驚くほど早く技術は低下することがわかっています。半年も経つと相当あやしいでしょう。日々使わない技術ですから、ある意味当然のことかもしれません。
 
BLS横浜では、2年間有効のアメリカ心臓協会AHAの公認ライセンスを発行していますが、この2年という期限は、米国の労務基準で決まっているだけのことで、蘇生科学研究団体であるAHAとしては2年間技術を維持することは不可能であることは認めています。
 
AHAのプロバイダーコースの有効期限2年間。これは技術の保障ではありません。
 
米国労働法規の基準を満たすために更新が必要なのです。
 
この点を私たちは正しく認識しておく必要があります。つまり蘇生技術の維持という本来の目的にフォーカスしたら、もっと短いスパンで再受講・継続トレーニングが必要だということです。
 
例えば、米空軍の横田基地。
 
軍人以外のカスタマーサービスや技術職にはAHA Heartsaver CPR AEDコースの受講とライセンスの維持が求められています。
 
本来は2年毎の再受講でいいはずですが、技術維持という本質を考えて、横田基地では自主基準として1年毎の再受講を従業員に課しているのです。
 
 
翻って、私たち。
 
AHAプロバイダーカードの有効期限は2年間。
 
しかし2年間蘇生技術を維持することは不可能。
 
でもBLS横浜の名前で技術認定を出してしまっている。
 
その溝を埋めるために、私たちはBLS横浜独自の制度として「無料復習参加」を案内しています。
 
カードの有効期限内なら、何度でも無料講習参加いただける、という制度です。
 
私たちが実施したトレーニングに責任を持ちたい。私たちの名前で認定したBLSプロバイダーカードが有効期限内であるうちは、技術を維持できる環境を提供したい。
 
そんな思いをもって私たちは活動しています。
 
 

 
 
 
 

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