小児の心停止の原因は大人と違う

昨日は、胸骨圧迫だけの心肺蘇生法の話を絡めながら、大人に多い心停止の原因と仕組みついてお話ししました。

大人は心臓突然死(不整脈)が多いけど

大人の場合、心室細動という心臓のリズムの不調が原因で突然倒れることが多い(心臓突然死)。倒れた直後には血液中に酸素が十分溶け込んでいるから、人工呼吸をためらうよりは、胸骨圧迫心臓マッサージだけでも遜色なく効果がある。

これに対して、子どもの場合は心停止になる原因が大人とはちょっと違います。

心臓突然死は、塩分撮りすぎの高血圧だったり、コレステロールのとりすぎによる血管内にゴミが溜まることなどが原因だったりします。これらは生活習慣病とも言われていますが、子どもの場合、こういった生活習慣病になるには早すぎます。

子どもの心停止の原因で多いのは、ずばり、呼吸のトラブル です。

子どもに呼吸のトラブルが多い理由

心臓は、お母さんのおなかの中で生命を宿した直後からできあがり、それからずっと動き続けています。そのため産まれてきたときには心臓の機能は十分に安定しています。

しかし呼吸はというと、母胎の中では臍帯を通してガス交換をしているため、赤ちゃんの肺は機能していません。

この地上に生まれ出て、最初にオギャーと泣いたときが呼吸の始まり。これから自身の肺で呼吸をし始めるのです。

このように、人間の発達の過程を考えると、子どものうちは呼吸機能が未発達で弱いということは理解できます。

具体的には子どものうちは喉の奥の空気の通り道がとても狭く、ちょっとした炎症などで腫れ上がって、空気が通りにくくなってしまいます。また喘息や、口に入れたものが喉に詰まってしまうというのも子どもにありがちな呼吸のトラブルです。

このような呼吸のトラブルが発生し、呼吸停止になり、それに伴って心臓も止ってしまう、というのが子どもに最も多い心停止の原因です。

子どもの蘇生で人工呼吸が重要な理由

このような理由から、子どもへの蘇生では、人工呼吸の役割が大人の場合より重要となります。

例えば、倒れている子どもを発見したとします。意識がなく、呼吸がありません。

原因はなんだかわかりませんが、子どもということで一番考えられるのは、呼吸が止って、それから心臓が止ってしまったのだろう、ということ。

であるならば、発見した時点ですでに血液中の酸素は使い切られてしまっています。残っていません。

ですから、胸骨圧迫だけでは、酸素が含まれていない血液を巡らすだけになるので、あまり効果は期待できません。この場合は、人工呼吸も必要なのです。

「人工呼吸で肺に酸素を送りこみ、肺の中で血液に取り込まれた酸素を、胸骨圧迫心臓マッサージで脳と心臓に送り込む」

こうした流れで蘇生を行ったときに最大限に効果が発揮されるのです。

ですから、子どもの場合は、胸骨圧迫だけではなく、人工呼吸も行うべきです。

Hands only CPRは子どもは適応外

昨日、紹介したアメリカの Hands Only CPR は子どもの場合は適応外というのは、こうした理由によります。

ただ、人工呼吸は技術的にもやや難しく、練習しないと上手にできないかもしれません。

また、倒れたときに口の周りから出血していたりしたら、口を付けるのをためらうかも知れません。

そんなときは、何もしないのではなく、胸骨圧迫心臓マッサージだけでもいいので続けてください。

何もしないよりは、胸を押すだけでも全然違います。それは明らか。

でも、子どもの緊急事態に遭遇する可能性がある人は、できればきちんと講習を受けて、人工呼吸の方法もマスターしておいてほしいなと思います。

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