傷病者対応コース at サイクルショップ

今日は、東京の国立駅ちかくのサイクルショップからの依頼で「傷病者対応コース」を開催してきました。

こちらのお店は自転車販売だけではなく、ロードバイクやマウンテンバイクの初心者向け講習会やツアーを開催していて、お客さんがもしもの時のために、ということで、BLS横浜オリジナル講習「傷病者対応コースforバイスタンダーズ」をご指名いただき、お邪魔したという次第です。

傷病者対応コースforバイスタンダーズ

傷病者対応コースは、私たちが勝手に「Neo普通救命講習」とも位置づけている新しいコンセプトの救命講習です。

お作法ではない「使える技術」を実践的に身につけてもらうにはどうしたらいいか?をテーマに、いわゆる心肺蘇生法講習をブラッシュアップして、より現実的な対応を追加したもの。

具体的には、心臓が止まっていなかった場合の対処の仕方、つまりファーストエイドのエッセンスを盛り込みつつ、3時間半程度に抑えた点が、これまでにない新しさです。

さらに、簡単な傷病者アセスメントから、命に関わる優先順位を考えて処置していくこと、医学的処置だけではなく看護の大切さ、緊急通報の実際、安全確保の実際などをシミュレーションベースで考え、身に付ける3時間半のプログラムです。

もちろん内容はすべてにおいてガイドライン2010の意思をくみ、implementation、つまり実際にできる現時的なことだけに絞り込んでいます。理想論だけの講習からの脱却を目指して。

傷病者対応コース、最初は基本のCPR練習傷病者対応コース:うつ伏せだったらどうしますか?

みなさん、自転車と野外活動の専門家。トラブルに遭遇した経験も多々あり、ファーストエイドの必要性を身にしみて知っています。シミュレーションでも自転車事故を想定することで、臨場感を持って救急対応を考えていただけたようです。

自転車全般に言えることかもしれませんが、特に山道を走るようなマウンテン・トレイルでの自転車事故といえば、やはり気になるのは背骨(脊椎)。

ということで、質問や実体験も多く、脊椎損傷の可能性に関する部分で盛り上がりました。普段はあまりやっていないのですが、うつぶせ状態から、脊柱をひねらないように仰向けにするログロールも体験してもらいました。

傷病者対応コース:119番通報練習も大切!傷病者対応コース:頚椎保護とログロール

日頃は公募講習で、Bystander(バイスタンダー=その場に居合わせた人)という共通項で進めていくことが多いのですが、このような場面・目的がはっきりした集団からの依頼講習だと、目的を絞って、よりリアルに実践的な学びの場を作ることができます。

一般的な心肺蘇生法や救急法の公募講習に参加しても、そこから実りの多い実践的な学びを得ることは難しかったでしょう。

このように目的に合わせて講習をアレンジすることは、インストラクターにとっても貴重な体験となり、今日も新たな発見がたくさんありました。

スポーツインストラクターやアウトドア・ガイドのような職種は、本来は心肺蘇生法や応急手当に関してきちんと研修を受けて、技術を維持していく必要があります。米国ではきちんと法制化されていて、2年ごとに救命講習を受けてライセンスを更新しなければ、就業できないことになっています。

日本ではそのような基準がないため、業界ではとかくインストラクター個人として自己研鑽するに任せられているのが現状のようです。

その点、今回のサイクルショップさんのように、お店として、きちんとスタッフに講習を受けさせて、危機管理体制をとっているというのは、極めて意識が高く、すばらしいと感じました。

私たちも、引き続き、そんな安全・安心な社会作りのお手伝いとして、この傷病者対応コースを広めていきたいと思っています。

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