千葉県保育士等キャリアアップ研修「エピペン講習」H30年度後期

今日は、去年から担当させていただいている千葉県の保育士等キャリアップ研修の「食育・アレルギー対応」でした。

3回シリーズのうち、アレルギーの病態の部分とアナフィラキシーショックへの対応、つまりエピペン講習部分をBLS横浜で担当させていただいています。

教育工学に基づいた講習の組み立てをしているというだけなのですが、3時間の中でも学習の積み上げを意識した展開のおかげか、最後の集大成としてのシミュレーションは、これまでの学習経験の中でも印象的だったという感想をいくつもいただけました。

たった3時間で、エピペン注射を含めた救急対応ができるようになるわけではありません。特に保育園では職員の連携がなければ絶対にうまくいくわけがありません。

なので、この研修のゴールは、今回受講頂いた皆さんが「できるようになる」のではなく、受講者が園に帰ったときにファシリテーターとなって、園の救急体制を見直して、職員連携による実践訓練を行うリーダーになれること、にあります。

ここが一般的なエピペン講習とは違うところなのだと考えています。

そんな自分たちで学ぶための補助ツールと言うべきものが、下記のシナリオシートです。(以前に エピペン研修のシミュレーションネタとデブリーフィングツールを公開 で紹介したのと同じものですが、今回は印刷して使えるPDFも公開しています。)

エピペン講習傷病者指示書

受講者5人1チームになり、一人がアレルギー症状を起こした子どもの役、もうひとりは119番通報の指令員ならびに現場到着した救急隊員の役をしてもらいます。

エピペン講習救急指令員指示書表面

エピペン講習救急指令員指示書裏面

終わった後の振り返りの場が、学びのメインステージ。

そんな体験をしてもらい、それをご自身の保育園でもやってみてくださいね、というのがこの研修の趣旨になります。

これらのシナリオシートはPDFでも公開します。

どうぞご自由にお使いください。

 

エピペン・シミュレーションシナリオシート(PDF:200kb)

 

その他、エピペン研修に関する情報は下記ページもご参照ください。

 

BLS横浜ブログ エピペン関連記事23編

 
エピペン&小児BLS心肺蘇生法講習


PEARS2015日本語インストラクターマニュアル修正

日本語版DVDを使って開催するPEARSプロバイダーコースに修正がありました。

インストラクターマニュアルに修正され、症例映像の解釈が変わりました。

これに伴い、筆記試験の正誤に関しても変更がなされています。

G2015日本語版を新規に受講いただく方には、問題はありませんが、過去にG2015版を受講し、試験を受けた経験がある方が復習参加や再受講された場合は、映像は同じでも、試験問題内容と答えが前回と違っている部分がありますので、ご留意ください。

なお、英語版DVDを使うコースに関しては、今回の修正は適応されず、旧来のままです。

BLS横浜の講習に復習参加された方で、この点、疑問があればインストラクターに個別にお尋ねいただけますようお願いいたします。


医療機器としてのターニケット(止血帯)を市民に教える上でのハードル

日本では、自衛隊でも東京消防庁でもCATと呼ばれるタイプのターニケット(止血帯)が正式納入されています。

これはもともと米軍の一般兵士用として戦地に置いて実績を上げてきた製品で、世界中でもっとも広く使われているものです。

軍用ターニケットCATの添付文書:医療機器承認

日本国内においてもCATは、一般医療機器として承認(PDF:別ウィンドウで開きます)を受けており、既成品としての止血帯は医療器具であるといって間違いありません。

軍用ターニケット止血帯

市民向け救急法講習で医療器具の使い方を教える

この4月から、日本赤十字社の救急法講習の中にも既成品としてのターニケットの使用法練習が含まれるということで、2005年まで教えていたような三角巾とボールペン等を使った手作り応急止血帯とは一線を画する新たなフェーズに突入したことになります。

一般市民に、医療機器の取り扱い方法を教えるという図式になるからです。

一般市民が医療機器を使って医療行為を行うことの妥当性と違法性の阻却理由。

本稿ではあえて結論は書きませんが、止血帯教育に関わる人であれば知っておかなければならない最重要事項と思います。

(医療者免許を持たない)消防職員がターニケットを使用する際の条件

考えるべき思考の入り口として、去年の3月に総務省消防庁が出したターニケット使用に関する通達文書を紹介しておきます。

消防職員によるターニケットを含む止血帯による圧迫止血について(PDF)

これは、各自治体の消防を所管する総務省消防庁が出した公文書で、医療従事者免許を持たない消防職員が止血帯(ターニケット)を使う場合の条件を2つ挙げています。
 

  1. 傷病者を医療機関その他の場所に収容し、又は医師等が到着し、傷病者が医師等の管理下に置かれるまでの間において、傷病者の状態その他の条件から応急処置を施さなければその生命が危険であり、又はその症状が悪化するおそれがあると認められること。
     

  2. 使用者が、以下の内容を含む講習を受けていること。
    • 出血に関連する解剖、生理及び病態生理について
    • 止血法の種類と止血の理論について
    • ターニケットの使用方法及び起こりうる合併症について

 
逆説的に言えば、これらの条件に合致しない場合は、医師法違反に抵触する可能性があるということです。

さらに言えば、消防職員に関しては、メディカルコントロールによる事後検証の必要性も示唆されている点にも注目できます。

つまり、きちんと教育を受けた立場であっても、その使用の妥当性については事後審査されるということです。

ターニケット使用の妥当性を客観的に評価・判断できること

条件1については、当たり前のことしか書いていないように見えますが、かなり重い内容となっています。

生命危機を評価し、ターニケットを使う必要性が「認められる」ことが条件だと書かれているからです。これは救助者が主観的に必要だと思った、というだけでは不十分で、事後検証においても妥当性が判断されるような客観的な情報を認識し記録しておくことの必要を示唆しています。

なぜターニケットを使うと判断したのか? 大出血だと思ったから、では通用しません。

評価するのに必要な教育はどの程度?

そのために条件2のような教育が必要となるわけですが、条件1を満たすためには、ただ講習を受けて話を聞きました、というだけでは足りるものではないというのは当然です。責任を持った判断ができるようになることが規定されているわけです。

東京消防庁では、すでにターニケットの配備が終わり、実稼働しているわけですが、事後検証においてはターニケット使用が妥当とは判断されなかった事例が出てきているとも聞き及びます。

そんな訓練された立場の消防職員にとってもハードルが高い医療行為であるターニケット使用を、一般市民に指導するという方向性。それがこの4月から決定事項として始まります。

どんな教育がどの程度の時間をかけて、どの程度の習熟度をゴールとして実施されるのでしょうか?

そんな問題提起として、本稿は締めるさせていただきます。

今後の動向については、引き続き追いかけていきます。


蘇生現場でポケットマスクを使った後の洗浄・消毒

人工呼吸用のポケットマスクは、一度使ったら再使用できるんですか?

そんな質問をよくいただきます。

ポケットマスクの洗浄・消毒と交換パーツ

ポケットマスクとは


家族相手ならいざしらず、職業的に救命処置にあたる人にとって、いくら救命のためとはいえ、口対口人工呼吸はありえません。(医療従事者が病院内でダイレクトなmouth to mouth人工呼吸をしてしまったら、それは感染事故です)

感染防護機能や、医療機器承認を受けているかという点では、現実的なところで人工呼吸をしようと思ったらポケットマスクが最低ラインと考えています。

そのため、BLS横浜では、保育士や学校教職員など職業人向け心肺蘇生法研修では、ポケットマスク を基本として練習して頂いています。

ポケットマスクは洗える部分と使い捨ての部分で構成されている

結論からいいますと、マスク部分は洗浄消毒可能、フィルターと一方向弁(マウスピース部分)は交換、というのがメーカーの推奨です。

フィルターは構造上、洗浄ができないので、再生使用はできません。無理やり洗うことはできるかもしれませんが、繊維状の部分の目が潰れてしまって通気が悪くなるので現実的ではありません。

そのため、マネキン相手に練習する場合は、フィルターは外しておくことを推奨しています。BLS横浜で講習中に貸し出しているポケットマスクにフィルターがついていないのはそのためです。

一方向弁(マウスピース部分)については、マネキンでの練習の場合は、洗浄・消毒して再生使用することはできますが、実際の傷病者に対して使った場合は、なるべく交換する方向で考えたほうがいいかと思います。現実的にはフィルターをつけていれば、吐瀉物等が一方向弁まで及ぶことはないと思いますが。

ポケットマスクの洗浄方法


さて、マスク部分と一方向弁の洗浄についてですが、洗い方は家庭用の食器洗いと同じです。

スポンジなどに食器洗い洗剤をつけて普通にこすり洗いします。

一方向弁の内側については、哺乳瓶などの筒物を洗うときのブラシを使います。100円ショップなどで太さ違いのものがセットで手に入ります。

消毒前には洗浄が必要

外部の救命講習の手伝いに行くと、ポケットマスク使用後に洗わずに消毒液入りのバケツにボチャンと漬けているのを見ることがありますが、これは間違いです。

消毒前には、タンパク成分を落とすための洗剤での洗浄が必要です。消毒薬はタンパク成分を固着させる働きがあるからです。これは医療界の常識です。

ポケットマスクの消毒方法


洗剤をすすいだ後、0.5%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液に10分間浸漬し、その後、水洗、自然乾燥 というのが正式な消毒方法になります。

次亜塩素酸ナトリウムというのは、家庭用の漂白剤と同じ成分です。キッチンハイターを薄めて作れます。

0.5%というのは恐らく米国のEPA勧告に従ったものと思われますが、実際のところかなり濃い目で、家庭で扱う上ではすこし危ない気もします。

そこで、ノロウィルス対策などでも一般的な0.1%の溶液に少し長めに漬けるというやり方でいいかと思います。

家庭用のキッチン用漂白剤の場合、濃度は6%程度ですので、500mlの水に対してペットボトルのキャップ2杯くらいです。

この濃度でも、服に跳ねると色落ちしますので、気をつけて。

ポケットマスクの交換パーツ


本来、ポケットマスクのフィルターと一方向弁は単回使用の使い捨てですから、製品として交換パーツも販売されています。

アップデートパック ということで、フィルターと一方向弁のセットのものが販売されていますが、価格は約2千円。

ポケットマスクは新品で買っても2700円程度ですから、実際に傷病者・患者に使って汚染されたのであれば、まるごと新品に変えてしまったほうが精神衛生上もいいのではないかと思います。

その他、フィルター だけを単体で買うと約700円。一方向弁(吹き込み口) だけだと約1600円。

いずれにしてもメーカー純正品は高いですね。

米国では練習用のサードパーティー品が多数あるので、ある程度数をまとめて購入するのであれば輸入のほうがおすすめです。


熊本であえてBLSプロバイダーコースを展開する理由

熊本県熊本市でBLSプロバイダーコースを出張開催。熊本でハワイのAHA-BLSコースを受講できます

なぜか九州地方と縁が多いBLS横浜ですが、ここ最近は熊本での BLSプロバイダーコース に力を入れています。

BLSプロバイダーコースと言えば、日本全国、どの都道府県でもいくつかの活動拠点があるくらいに、すっかりおなじみのプログラムですが、それをあえてBLS横浜が熊本で出張開催しているのには、AMR と 救急救命士 というキーワードが関係しています。。

AMRは、American Medical Response の略です。病院関係者にはあまり馴染みがないかもしれませんが、救急救命士さんの間では知られた存在。

AMRは全米最大のEMS(救急医療サービス)プロバイダーの名前です。一言で言うと、全米最大の民間救急。

民間救急というと、日本では、介護タクシーの延長みたいなイメージがありますが、アメリカの民間救急はガチな救命救急隊です。

日本と違って、米国の救急車の運行は行政の仕事だけではなく、その大半を民間が担っているからです。アメリカで救急車を呼ぶとすごい高額を請求されるよ、という話は、海外旅行の逸話としてよく聞きますが、行政サービスではないからなんです。

AMRは、民間救急とはいえ、現場や救急車内で薬剤投与を含めたACLSを展開しますし、州によってはモルヒネやニトログリセリンの投与なども行っています。そんな日本の救急救命士が憧れるような高度に専門的な医療ケアを行っているプロフェッショナル集団の代表格がAMRだったりします。

(ネット検索をすると、日本の救急救命士養成校がAMRで研修を受けてきました、みたいな記事がいくつも見つかります。)

BLS横浜が熊本でタイアップしている Child Futue熊本 は、小児救急の認定看護師と救急救命士で運営している団体で、その救命士さんの熱い要望もあり、熊本でAMRのBLSコース展開するに至りました。

消防勤務の救命士さんは、基本的に消防組織内でよく訓練されていて、BLSはまさにプロ中のプロ。

わざわざ外部講習としてスキルを磨く必要性は自覚しないくらいのプロなわけですが、聞いてみると、最新の蘇生科学の理解や、指導技法、また特に小児BLSに関しては、必ずしも得意ではない部分もあるそうで、世界標準のAHA-BLSコースから学ぶ余地はあるようです。

しかし、当事者さんたちからしたら、BLSと言われても今更感があるのは否めません。

救急救命士さんたちにもBLSに興味をもってもらうためには、米国のAMR標準の教育を、ということで、熊本でAMRトレーニグセンターのBLSを始めました。

あとは、単純に、日本にいながら、AMR-Hawaii のネームの入ったBLS資格が取れるというのは、九州熊本ではかなりレアなもので、せっかくなのでぜひ、どうぞ、という意味も含めて。

(実は九州では、鹿児島でもAMRのインストラクターさんが複数活動しているのですが、今は、あまり公募では講習開催してくれていないので)

実際問題、アメリカ心臓協会AHAの講習は米国文化のもとで作られていますから、米国の医療事情とか医療関係法規や文化を知らないと正しく伝えることはできません。

特に、小児BLSやファーストエイドでは、日米でかなり顕著な違いありますので、米国で資格を取ってきたインストラクターが開催するコースというのは文化の橋渡しとして意味ある存在かも知れません。

そんなキャンペーン効果もあって、熊本でのBLSは、救急救命士さんからの申込みが非常に多いです。

2月は残席1名、3月もあと4名で締め切りとなります。

興味がある方は、この機会にぜひどうぞ。


ACLSとモニター心電図の基礎理解Seminar【2月19日(火)18:30-】

ACLSとモニター心電図の基礎理解イブニングセミナー

横浜では久々の開講となる「ACLSとモニター心電図の基礎理解」イブニングセミナー。

最近では、熊本や岡山、香川などで開催、またBLSコースを定期開催している千葉の病院では毎月開催していて、好評頂いている心電図と二次救命処置の勉強会です。

ACLSは、病院勤務の看護師にとっては常識的に知っておいてほしいものなのですが、どうしても医師のためのものというイメージが強いのと、「難しい!」という先入観から敬遠されがちなのが残念。

苦手、、、と言って避けていられればいいのですが、業務対応では知らないでは済まされない部分もあるやもしれません。

 

そこで、二次救命処置ACLSのエッセンスと、ナースが苦手意識を持っている心電図について、わかりやすくまとめたのが本セミナーです。

皆さんに伝えたいメッセージは次の2点。

 

1.ACLSは、BLSに毛が生えた程度のもの
2.心電図から循環動態がイメージできたらめっけもの

 

難しいものを無理やり理解してもらおうとは思っていません。

思ったより簡単じゃん! ということに気づいてもらうための90分です。

 

ACLSとモニター心電図の基礎理解

2019年2月19日(火)18:30~20:00

詳細・申込みは BLS横浜web

 


新PEARS®プロバイダーコース(G2015)雑感

小児急変対応 PEARS®プロバイダーコース が刷新され、新しいG2015日本語DVDを使った講習もだいぶ浸透してきました。

DVDが英語から日本語吹き替え版になってわかりやすくなったのですが、英語だとあんなにゆっくりなのが日本語に置き換えるとひどく早口だったりして、なかなか難しいですね。

PEARS®コースの中身自体は、人が生きるしくみの根源な話なので、蘇生ガイドラインが変わっても大きく変わったことはないのですが、新コースになって、使われる症例映像が変わりましたし、説明の流れも変更されました。

また、筆記試験で問われるポイントが変わったり、受講しての印象はやや違ってきているかもしれません。

 

全体的な傾向としては、呼吸のトラブルから心拍数が落ちていって命を落とす小児に多い呼吸原性心停止のしくみをきっちり理解することが求められる点、また治療介入で使う薬剤の話も以前よりは求められるように思います。

 

映像でのケース症例は、前回のG2010英語版に比べると減ってしまっているのが残念です。

オプションとして、窒息解除や心原性ショックの話が入ってきた反面、なぜか呼吸調整機能障害については、非常に浅くなってしまいました。

呼吸調整機能障害は、ケースディスカッションでは省略されて、ちょっとした解説だけであっさり終わってしまうので、事前学習でしっかり勉強しておきたいところです。

 

また、これまでのPEARS®では、血圧や酸素飽和度など、モニター上の数値情報をあてにしすぎるなと言う点がかなり強調されていたのですが、今回のG2015版では弱くなってしまったのが残念です。

酸素飽和度の理解については、以前のブログ記事でも解説しているので、これからPEARS®を学ばれる方は、ぜひ目を通してみてください。

パルスオキシメーターは、いざというときは、あてにならない
https://blog.bls.yokohama/archives/4189.html


2月16日(土)新宿でAHA-BLSと【無料】小児 / 乳児CPR講習を開催!

東京新宿・高田馬場で開催AHAファミリー&フレンズCPR講習小児・乳児編 at ゆみのハートクリニック

東京新宿の高田馬場にある ゆみのハートクリニック との共催で、都内でAHA-BLSプロバイダーコースと、ファミリー&フレンズCPR講習【乳児・小児編】を開催することになりました。

ファミリー&フレンズ小児・乳児CPR無料講習

午前中は、主に親御さんを対象とした 無料の子ども救命法 を開催します。地域への貢献活動として無料で提供します。

BLSプロバイダーコース

午後からは医療従事者や救護義務のある職業人のための BLSプロバイダーコース を開催。成人・小児・乳児への心肺蘇生法を医療従事者レベルで習得する5時間半コースです。

 

 

BLS横浜としては、東京での公募講習は5-6年ぶりかも知れません。

この機会に、東京新宿周辺の方は、ぜひご参加ください。


AHAプロバイダーカードは手作りする時代に 米国eCard事情

AHA-ACLSやBLSコースを受講したことの証、プロバイダーカードですが、米国ではすでに廃止されて電子認証のeCardに切り替わっています。

アメリカ国内トレーニングセンターの直轄で活動しているBLS横浜でも、今年の10月からeCardに移行して、2ヶ月で約100枚のeCardを発行してきました。

eCardは電子資格ですので、インターネット上でその資格の有効性を確認・証明するものです。水戸黄門の印籠のごとく、スマートフォンに My eCard page を表示して提示するようなものなのですが、このスタイルは日本ではなじまないだろうなというのは目に見えています。

米国でのBLS/ACLSプロバイダー資格の意義と使われ方

そもそも米国ではBLSプロバイダーやACLSプロバイダー資格は、病院職員の就業条件として病院が管理するものです。全職員のBLS資格の有無と有効期限を把握、チェックしているのです。

有効期限は2年ですから、職員が数百人、千人といれば、毎日のように資格が失効する人がいて、それをカバーするために米国の病院では専属のAHAインストラクターがいて、職員の資格維持のために毎日講習を開催していたりするわけですが、、、

そんな米国事情を考えれば、電子認証に移行したわけも納得です。

紙媒体のカードのコピーの提出を求めて、その有効期限を書き出してリストアップして、という病院管理部の手間はたいへんなものになります。それを解消するために導入されたeCard、その真骨頂は12桁の eCard Code にあります。

eCard Code は受講者の持つ資格に固有の番号です。この番号をAHAの専用ウェブサイトに入力すると、その資格の有効性が1瞬で確認できるのです。もちろん、複数件の一括照会ができます。

ですから、実は電子認証は紙の代わりにパソコンやスマホの画面表示というよりは、この一括して資格の有効性を確認できるようになる、ということに意味があるのです。

そういった医療従事者の資格認証を第一義としたときに、紙のプロバイダーカードがいかに不合理なものであったかということがわかるかと思います。

日本では資格証明より、達成感?


一方、日本では、JCI認証を取る病院とか、循環器や麻酔科の専門医資格取得以外では、資格証明を求められることはないのが現状。

日本の受講者の大半は、自分自身のスキルアップのためだったり、勉強の目標として資格を取得するという意味合いが大きく、確実な資格証明というよりは、病院の職員証の裏に入れておけるような紙のプロバイダーカードを欲しているというのが現状だと思います。

だからこそ日本では、eCardはなじまない、と考えています。

日本国内でもeCard移行が決まっています


今は、両手で数える程度の日本で活動する米国トレーニングセンター所属(提携)のAHAインストラクターが、ほそぼそとeCardを発行しているだけで、メインストリームはITCが発行する紙媒体のプロバイダーカードです。

しかし、来年の1月以降、日本のITCでもeCardへの移行が始まっていきます。

さて、組織だって日本の国際トレーニングセンターがeCardに移行したとき、本当に電子認証だけで終わらせるのか、それともいまBLS横浜が行っているようなカード印刷サービスを行っていくのか、それが大いに気になるところです。

日本のユーザーの大半は、物理的に手にとることができるカード状の資格認証を求めるでしょう。

eCardは印刷可能 誰が印刷加工する?


eCardは、PDFデータとしてダウンロードして自分で印刷してカードを作ることは可能です。

A4用紙に印刷して、ハサミで切って二つ折りにすれば、いちおうカード状にはなりますが、コピー用紙に印刷するのではカードと呼べるほどの質感は得られません。厚手の光沢紙を使うか、ラミネート加工をするなどの工夫が必要です。

また家庭で一般的なインクジェットプリンターで印刷した場合、どうしても発色や印字精度という点では、満足のいく仕上がりにはなりにくいです。

そこでBLS横浜では、旧来のプロバイダーカードに劣らないクォリティで、印刷とラミネート加工をする無料サービスを提供することで、日本で先行してeCardに切り替えましたが、実際のところ、かなりの手間と時間を要しますので、大手ITCが同様のサービスを提供するとは考えられません。

日本国内のITCがeCardに移行し、カード印刷は受講者自身が自分で行うもの、ということが日本国内で周知されるようになった暁には、BLS横浜でも、印刷サービスは廃止ないしは完全有償サービスに切り替える予定でいます。

以上、AHAインストラクターでもあまり知られていない最新のeCard事情について書かせていただきました。



一般向け:AHA eCard(イーカード|eカード)印刷ラミネート加工の代行サービスを開始しました。

BLS横浜でAHAコースを受講した方以外であっても、ご希望があれば、eCardのプリント&パウチ加工を有償で承ります。詳細は下記ページをご参照ください。

AHA eCard(イーカード|eカード)印刷ラミネート加工の代行サービス

BLS横浜のACLS1日コースは、循環器専門医受講要件を満たします

BLS横浜のACLSプロバイダー1日コースは、循環器専門医の受験要件を満たすのか? というご質問をいただきました。

答えは「もちろんです」。

ACLSプロバイダー資格が国内ではなくハワイから発行されるという点が他と違いますが、これまで問題なく循環器専門医申請に使っていただいています。

 

ACLS資格を1日で取得可能、BLS資格不要という点を不安に思う方が多いようです。

確かに専門医認定を行う日本循環器学会ITCが主催するACLSプロバイダーコースは2日間であり、有効期限内のBLSプロバイダーカードの提示が求められています。

しかし、この点はAHAルールではなく、トレーニングセンター単位の独自ルールである点は、ACLSインストラクターマニュアルに規定されているとおりです。

(こちらをご参照ください。→ ACLS受講にBLS資格は不要です【アメリカ心臓協会】

 

今回、改めて 日本循環器学会認定循環器専門医制度規則(PDF)を確認しましたが、そこで求められているのは、

「AHA ACLSプロバイダーコース」「AHA ACLS-EPコース」「AHA ACLSインストラクターコース」「AHA ACLS-EPインストラクターコース」のいずれかを受講し、受験年度の4月1日現在有効な認定を受けていること。

であり、BLSプロバイダー資格の提示は求められていません。また、日本循環器学会ITCが発行するACLSプロバイダー資格に限定するという要件もありません。

ということで、BLS資格不要の1日コースであっても、AHA公式ACLSプロバイダーカードが取得できる講習であれば、なんら問題はありません。