ウィルダネスファーストエイドの医行為、法的懸念への声明

おそらく日本国内でもっともアクティブに活動しているウィルダネス・ファーストエイド教育プロバイダーのWMA JAPANが、ウィルダネス・ファーストエイドに含まれる医行為に関する声明を発表しました。

WMAは以前から、厚労省への照会や顧問弁護士を付ける等の法的な取り組みをしていることを広報に取り入れており、法的問題には積極的に取り組んできた団体と認識しています。

今回の声明も、業界としては非常に画期的な出来事であろうと思います。

中身はというと、法律の話なので、読み手によっては理解しづらいところもあるように感じますので、すこし解説を加えようと思います。

この公式見解は、一般社団法人 ウィルダネス メディカル アソシエイツ ジャパンのFacebookページで公開されています。まずはこちらをご覧ください。

WMA 野外・災害救急法への法的な懸念

論旨をまとめますと、まず、結論は下記のとおりです。

「したがって、WMA野外災害救急法を躊躇せずに、参加者の命を救うべきである。」

命題は、3つです。

・医師法違反への懸念
・傷害罪(刑法)への懸念
・緊急時無管理(民事責任)への懸念

この3点に関する懸念に対して検討した結果ということで、上記のように述べているという論理構造になっています。

1.医師法違反への懸念

これはこのブログでも何度も取り上げているとおり、WMA JAPANの声明の通り、医師法違反を問われる可能性は低いと考えられます。反復継続の意志の有無が問題となるわけですが、厚生労働省見解として、学校教職員がエピペン注射をするにあたって反復継続の意志がないという考えるという前例ともいうべき定説があります。

学校教職員としては、必要とあれば2度目でも3度目でもエピペン注射をする心づもりがあり、訓練を受けているわけですが、それであっても「反復継続の意志はない」と判断されている以上、ウィルダネス・ファーストエイドにおいても、同様の判断がされるだろうと考えられます。

2.傷害罪(刑法)への懸念

これについての、WMA声明での論拠部分を引用します。

「刑法上、違法性を阻却する緊急避難は、要件が厳しく、参加者の生命・身体を守るために処置した行為が救助しようとした結果を実現しない限り、要件を満たさない危険をはらむ。そこで、より広く違法性阻却の道を確保するために、刑法35条の正当行為としての違法性阻却を認めるべきであると考える。」

この文章だけをみると、結論である「したがって、WMA野外災害救急法を躊躇せずに、参加者の命を救うべきである」という文章とはつながりません。

ゆえに間に下記のような一文があります。

「WMA野外災害救急法により結果的に危害を生じさせてしまった場合、弁護士により処置の必要性・相当性
等が証明できれば緊急避難や正当行為として傷害罪等の刑事上の責任を問われない可能性は十分にある。」

つまり、傷害罪を問われないためには、弁護士により処置の必要性・相当性を証明してもらう必要がある、というように読み取れます。

これをもって躊躇せずに、と結論付けられると、なるほど、と納得できる人はあまり多くないのではないでしょうか?

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