AED万能神話。
人が倒れたらAEDをつければ全て教えてくれる、みたいな教え方をする人がいますが、正しくないです。
AEDは心電図を判断しますが、心停止かどうかの判断ができるわけではありません。除細動(電気ショック)が必要な心電図波形は2つ。
・心室細動
・無脈性心室頻拍
心室細動であれば=心停止という判断はできますが、問題は心室頻拍。
心室頻拍は同じ波形であっても、脈が触れる程度の血圧を出せている場合とない場合があり、それは心電図波形からは判断できません。
そしてAEDは脈拍があるかないかの判断する機能ありません。(胸骨圧迫の必要性を判断する機能もありません)
つまり、発生直後の心室頻拍などで意識、呼吸、脈がある人にAEDを装着してしまうと、「ショックが必要です」と言われてしまうのです。
例えば、動悸を訴える患者さんにモニター心電図感覚でAEDをつけてしまうと、そしてもしそれが最近出回っているオートショックAEDだと、3秒後に強制的にショックがかかってしまうことに。
AEDは心停止を判断する機能がない。
だから、装着条件が決まっているわけです。
・反応がない
・ふだん通りの息をしていない
・脈がない(医療者のみ)
これは胸骨圧迫の開始基準とまったく同じです。つまり、人間が心停止の判断をして胸骨圧迫されている人にAEDを装着する、そういう仕様(設計)になっています。
人間が心停止判断した上でAEDを装着すれば、仮に心室頻拍であってもそれは無脈性であるから、安全にショックができる、そういう前提で作られた機械がAED。
だから、明らかに生きている人に装着することは禁止されているわけです。
「生きている」という判断(ふだん通りの息をしている)は市民の方には難しい。そのとおりです。
だからといってAEDで心停止の判断ができるわけではないわけですから、迷ったらやるべきは胸骨圧迫です。
呼吸がよくわからなくても、胸骨圧迫をして痛がるそぶりがなければ、客観的に見て心停止の可能性は濃厚。
この時点でAEDをつければ間違いはほぼないでしょう。