BLSプロバイダーコースに病院管理者が参加することの意義

県外の総合病院で、定期的に AHA-BLSプロバイダーコース を開催させてもらっています。

希望者が任意で、ということなのですが、それでも病院組織の意向を受けて、月に1回のペースで定期開催しています。

まだスタートアップの段階ですが、驚くのは毎回、各病棟師長さんたちが参加してくれていることです。

循環器病棟、救急病棟、外来、さらには副看護部長さんなど、看護部の管理者が率先して参加してくれています。

病院内での講習開催では、とかく若手の看護師、研修医、また専門医狙いの中堅医師の参加が多いなか、看護部の上の人たちが来てくれるのは珍しいかもしれません。

昨日のBLSプロバイダー講習でも、病棟師長が3名も参加してくれていました。

BLS講習というと、とかく体育会系で体を動かすので、管理職よりは現場の人向けという印象ですが、ガイドライン2015になって、BLSコースではチーム蘇生の側面が強くなりました。

10分間のチーム蘇生とデブリーフィング(振り返り)が、成人BLS部分のゴールになったことで、病院管理者の方たちが参加されたときに、またこれまでとは違った受講の効果が出てきているように感じています。

BLSプロバイダーマニュアルのチームダイナミクスの章、デブリーフィングの説明として書かれているように、デブリーフィングによって、システムの長所と短所がはっきりして、業務改善の糸口となることがあります。

今回のBLSプロバイダーコースでも、10分間のチーム蘇生の後の振り返りで、蘇生中の記録をどうするかという話し合いになり、AEDの中に専用の記録用紙を入れておくことを明日からでも実施しようという話になりました。

蘇生中の記録については、チームシミュレーションではよく話題となるポイントですが、今回は管理職である師長3名も含めてのデブリーフィングでの結論。聞いていて実現性がこれまでとは違うなとかんじました。

決断力。

きっと、明日から実際にシステム改善に取り組むことでしょう。

共通認識を形成することとシステムの短所に気づいて改善すること。

これがG2015のBLSが、単なるテクニカル・スキルトレーニングではない所以です。

そこに管理職が関わることで、末端レベルのチームワークではなく、病院組織の改善にもつながっていく。そんなことを強く感じた次第です。

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