心肺蘇生の仕組み その1 胸骨圧迫

心肺蘇生法(CPR)とついつい一言で言ってしまいますが、心肺蘇生法っていったい何なんでしょう?
 
胸骨圧迫(心臓マッサージ)と人工呼吸、それにAEDによる電気ショックが、心肺蘇生法なのですが、なんのためにそれらを行う必要があるのかという理屈はあまり詳しく説明されることがないかもしれません。
 
技術は体で練習して身につけるしかないのですが、理屈がわかっていれば手順で混乱したり迷うことも少なくなるはず。
 
そこでここでは、心肺蘇生の基本となる仕組み・理屈をお話したいと思います。
 
 
 
心肺蘇生法を実施しなければいけない状態というのはどんなときでしょう?
 
呼吸をしていなくて、心臓が動いていないとき = つまり、心肺停止のときですね。
 
自分で呼吸ができない状態になっているから、口から息を吹き入れて、呼吸を助けてあげる、心臓が停まっていて血液を全身に巡らすことができていないから、体の外から心臓を(間接的に)圧迫して、あなたの手で心臓の代わりをしてあげる、これが基本です。
 
 
さて、ここで問題です。
 
人工呼吸と胸骨圧迫(心臓マッサージ)、どっちがより重要だと思いますか?
 
 
ちょっと難しい質問だったかもしれませんね。
 
それでは、別の質問をします。
 
あなたは、何秒間息を止めることができますか?
 
10秒? がんばれば30秒くらいいけますか?
 
それでは、もうひとつ聞きます。
 
あなたは心臓を何秒くらい止められますか?
 
 
 
 
これが「人工呼吸と胸骨圧迫(心臓マッサージ)、どっちが大事か」という質問の答えです。
 
 
心臓が止ると数秒後には意識がなくなって倒れてしまいます。
 
 
実は皆さんもこれとよく似た体験をしたことがあるはずです。
 
立ちくらみとか、貧血で頭がクラクラしたり、倒れた経験ありませんか?
 
これが実は一時的な心停止に近い状態です。
 
急に立ち上がったりすると、脳に血が行かなくなって、脳からみたら心停止みたいな状態になります。
 
貧血で目の前が真っ暗になって倒れそうになる、、、
 
 
心肺蘇生中に皆さんが胸骨圧迫の手を止めると、その度に患者さんの体の中ではそんなことが起きているんです。
 
心肺蘇生中は、皆さんの胸を押す手が心臓なのです。
 
心臓が一瞬たりとも動きを止めずに拍動しているように、皆さんも絶え間なく胸を押し続ける必要があります。
 
 
 
もう一度、聞きます。人工呼吸と胸骨圧迫(心臓マッサージ)、どっちが大事ですか?
 
 
もう皆さん自信を持って答えられますね。
 
 
 
「胸骨圧迫です!」と。
 
 
ですから、BLS横浜の講習会では、胸骨圧迫心臓マッサージをひたすら練習します。
 
これでもかってくらいにマネキン相手に練習してもらいます。
 
まるで筋トレをしているのかと思うくらいに胸を押してもらいます。
 
 
そうなんです、心肺蘇生法というのは実はスポーツと同じ。
 
体で覚えるものです。
 
 
ですから、心肺蘇生法を身につけるには練習に練習、さらに練習。
 
 
BLS横浜の講習会では、練習量の確保に最大に気を遣っています。
 
ですから、1体のマネキンを10人近くで使い回すような講習は行いません。
 
プロとしての技術を身につける必要がある人には、一人に一体のマネキンを用意する、これがBLS横浜のポリシーです。

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