ファミリー&フレンズCPRのファシリテーターガイドとDVD、発売からだいぶ時間も経ちましたので、買ってDVDを見た方、また実際に講習会を開催された方も少なくないかもしれません。
ビデオの冒頭で「用語の定義」があるのも、今回のガイドライン2010教材からの新しいポイントです。今日はこの部分を少し解説したいと思います。
■ 反応とは?
傷病者の肩を叩きながら「大丈夫ですか?」と呼びかけたとき、私たちは何を見ているのでしょうか?
それは「反応」の有無です。「意識」の有無ではないというのがポイント。
意識はなくても、呼びかけ刺激に対する「反応」が見られれば、少なくとも心臓は止まっていないと判断できます。
その「反応がある」とはどんな状態なのでしょう? 返事がある、ということの他に、例えば呼びかけに対して目が開けば、それは反応ありです。顔をしかめるというのも。
とかく反応は目元に出やすいはずです。全身麻酔をかけるときも睫毛(しょうもう)反射といって、まぶたの動きに着目します。なので、反応の確認は必ず顔を見ながら。
救急対応初期評価のこの段階で疑うのは最悪の事態、つまり心停止です。なので、「意識」ではなく「反応」なのです。
勉強している人は、ここで「意識レベル」という医学的な概念を持ってくることもありますが、ここで重要なのは心停止ではないかという視点。そこは明確に分けたほうがシンプルです。
余談ですが、心停止の時は脳血流が途絶えることから手足がピクピクと動く痙攣発作を起こすことがあります。痙攣発作は胸骨圧迫を初めて脳血流が再開したときにも起きることがあります。また死戦期呼吸という顎のあたりが動く心停止後の反射運動もありますが、これらは無秩序に起きるもので、呼びかけ刺激に対する「反応」ではないという点にも、少し注意が必要かもしれません。