失神発作のファーストエイド

日常生活でもよく見られる失神。そのファーストエイドをご存知ですか?
 
失神発作への対応は、米国職業衛生局OSHAのファーストエイド基準にも含まれている基本的なもので、
 
「横になるのを助ける、気分がよくなるまで付きそう、転倒した場合はケガがないかをチェックする」
 
といった程度のことで十分なのですが、目の前で人が急にうずくまる、倒れるといったことが見られるため、周囲の人はしばしば驚いてパニックになりがちです。
 
確かに失神は、痙攣発作と紛らわしい場合もありますし、心原性失神のように重篤な不整脈が原因の危険な場合もあるので侮れません。
 
しかし失神の大半は神経調節性失神、中でも血管迷走神経反射によるものが多いと言われています。これは悪い知らせを聞いた場合、恐れ、痛み、感情的なストレスなどによっても引き起こされます。そうした原因によって迷走神経が刺激されると、脈拍が遅くなります。その結果、脳に行く血液が一過性に少なくなって、目の前が真っ暗になって気を失うという現象が起きるという仕組み。
 
また日常的によく起こるのは、起立性低血圧による失神です。これは漢字を見れば想像できるとおり、いわゆる立ちくらみ。寝た状態から立ち上がると足や下腹部の静脈に血液が鬱滞して、全身を回る血液量が700cc程度減少するといわれています。ふつうの状態ならうまく体が調整してくれるので問題ないのですが、脱水だったり調整器官がうまく働かないと失神を起こします。
 
いずれにして失神というのは、「一過性で急速に発症し、短時間で自然に元の状態に戻る」ものです。一時的に脳への血流が低下するのが原因ですから、座るか横になるかして体を低くして休めば自然に良くなります。
 
ただそれが本当にただの失神なのか、そうでないかの判断は難しいかもしれません。そんな時はBLSやファーストエイドの基本に立ち返って、
 
反応確認 → 呼吸確認
 
で命にかかわる緊急事態を除外していきましょう。
 
原因はなんであれ、反応がなく10秒以内に正常呼吸が確認できない場合は胸骨圧迫開始です。
 
呼吸がしにくそうなら呼吸の補助、いわゆる気道確保ですね。それも必要ないくらいだったらとりあえず処置として特別なことは必須ではありません。様子を見て、目を覚ます気配がなければ119番。
 
こう考えると、実は失神発作だから、という特別なファーストエイドの技術・知識は必要ないことに気づきます。
 
傷病者アセスメントの基本だけで十分対応できるのです。
 
 

 
 


 

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