蘇生ガイドライン2015 なぜ各国で違う?

先月、心肺蘇生法のガイドラインが改定されて話題となりました。
この機会に蘇生ガイドライン2015の成り立ちをおさらいしておきましょう。
 

国際コンセンサスCoSTR2015と各国蘇生ガイドライン2015の関係について

 
国際蘇生連絡協議会 ILCOR (イルコアと読みます)という組織があります。
 
これは世界の蘇生科学の研究団体が集まって構成され、5年毎に心肺蘇生法の国際合意を作成しています。
 
ざっくりというと、命題を決めて、蘇生科学の学術論文を集めて、検討し、その時点で考えられうる最適な蘇生法とその根拠性、限界(ギャップ)を提案するというのがILCOR会議の役割です。
 
そこで勧告される合意事項(国際コンセンサス)をCoSTR(コスター)といいます。
 
今回の場合は2015年10月15日にILCORからCoSTRが発表となり、それに合わせてILCOR構成員にも情報解禁されました。結果、CoSTR作成と合わせてガイドライン策定を行っていたアメリカ心臓協会(AHA)とヨーロッパ蘇生協議会(ERC)がそれぞれ独自の蘇生ガイドライン2015を発表しました。
 
日本は1日遅れて10月16日に日本蘇生協議会(JRC)から日本版蘇生ガイドライン2015オンライン版が発表されています。
 
CoSTR作成の根拠となるのは世界からの学術論文です。ですから、学術論文で取り上げられないことは、CoSTRでは取り上げられない、もしくは、限界として示されます。
 
例えば、反応確認を行うときに、両手で方を叩くのか、片手で叩くのか、などといった末端的なことなどは、CoSTRでは取り上げられません。
 
CoSTRで勧告されることは、基本的に医学的に根拠があることや研究されていることだけです。
 
しかし、それだけでは歯抜け状態すぎて、実際の指針にはなりえず、蘇生法指導は行えません。
 
そこで、国際コンセンサスでは抜けている部分を各国事情で補足して、指針としたのが各国ガイドラインです。
 
国際コンセンサスが骨格で、そこに文化や風土や社会事情を含めて盛りつけしたのがガイドラインと考えるといいかもしれません。
 
ですから、ガイドラインは国や地域の事情に合わせて違いますし、複数存在します。
 
それが有名どころではヨーロッパのERCガイドライン、米国のAHAガイドライン、日本のJRCガイドラインというわけです。
 
いずれも骨格はCoSTR2015に準拠していますから、大きくは同じですが、その解釈や優先順位の考え方などで、かなり違って見える部分もあるのは事実です。
 
 
というわけで、ガイドライン2015は絶対無二の唯一のものではないということを是非知っておいてください。
 
その昔、国際ガイドラインという言い方をしていた時代があったので、そう覚えている人もいるかもしれませんが、国際コンセンサスはあっても、国際ガイドラインは存在しないというのが、いまの蘇生科学の世界です。
 
 
ここは日本ですから、日本のJRCガイドライン2015だけ知っていればいいはずなのですが、なぜか、日本ではJRCガイドラインとAHAガイドラインが共存する形となっています。
 
このあたりのことはまた今度書きたいと思います。
 
 

 
 


 

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