AED 充電中の胸骨圧迫の是非 AHA-BLS 2015

蘇生ガイドライン2015版の BLS プロバイダーコースの DVD の中では、AED の充電中のわずかな時間でも胸骨圧迫を行うように指示している場面があります。

AEDの指示に反して充電中に胸骨圧迫すると危険

これは、G2010 の ACLS プロバイダーコースでも見られた場面なのですが、今回は明確な形で BLS コースにも入ってきました。

エビデンス的には明解で、G2010 の BLS ヘルスケアプロバイダーマニュアルでも書かれていたとおり、除細動のショックの直前まで胸骨圧迫をしている方が自己心拍再開の可能性が有意に高いという論拠があります。

これは医学的には正しいです。

しかし、教育指導の上でどうするかは別問題。

日本で認可されている AED の中には、充電中に胸骨圧迫を行うと、「体動を検知しました」ということで充電がキャンセルされる機種があります。

それにどの AED も、解析のために「患者に触れないで下さい」というメッセージを流し、充電中に胸骨圧迫を指示する機種はありません。

ご存じの通り、医師が除細動をする時以外は、AED の音声メッセージに従うからこそ、医師法違反が阻却されているという法論理があります。

ですから、いくら自己心拍再開の可能性が高いという医学的根拠があったとしても、日本国内で認可された医療機器としての AED の取扱説明書(添付文書)とその音声メッセージに従うというのが正解です。
 
医療機関内での職員研修で、院内に配備されている AED が充電中に胸骨圧迫をしても問題ない機種であることが確認できている場合は別かもしれませんが、一般市民向け講習や、どの AED を使うかわからない公募BLS講習では、充電中に圧迫するように指導するのは適切ではないでしょう。

この点は、AHA-BLS の DVD の中では日本事情は言及されていません。ビデオだけを見ると、誤解されかねない部分がありますが、BLSプロバイダーマニュアルの AED 解説ページを参照すれば、「AED の音声指示に従うこと」と明確に書かれています。
 
講習中は、この部分にはぜひ着目してほしいと思います。

 

 ★追加情報として、こちらの記事もご覧ください。
 → 医療者にありがちな AED 使用法の勘違い(充電中の圧迫)

 
 

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