蘇生ガイドライン2010の改定で、日本の蘇生ガイドラインでは、”ユニバーサル化”されて、子どもの特性を踏まえた蘇生法は、大人の蘇生法に吸収されてしまいました。
これにより、旧来あった子どもの蘇生法は一般市民には教えないことになったのが現実です。
しかし、子どもの救命法を必要としている人達、例えば保育士、小学校教諭、児童施設の職員、思春期未満の子どもを持つ親御さんたちはどうしたらいいのか? ということで、日本版JRC蘇生ガイドライン2010では次のように勧告しています。
「市民のうち小児にかかわることが多い人、すなわち保護者、保育士、幼稚園・小学校・中学校教職員、ライフセーバー、スポーツ指導者などは、小児BLS(Pediatric Basic LifeSupport:PBLS)ガイドラインを学ぶことを奨励する。医療従事者が小児を救助する場合はPBLSに従う」
わかりにくい表現ですが、簡単にいえば、子どもの救命法を必要としている人は、医療従事者と同じ「子どもに特化した蘇生法」を学ぶことが勧められている、ということです。
そのPBLSを学ぶ機会として提供されたのが、総務省消防庁のプログラム「普通救命講習III」です。(ちなみに消防の講習で、一般に開催されているのは 普通救命講習 I です)
全国的に、小学校や保育園が地元の消防本部にお願いして、職員向け救命講習を開催しているところは多いと思いますが、その場合、必ず「普通救命講習 III をお願いします」と伝えることが大切です。
ここをはっきりさせておかないと、普通救命講習 I を開催されてしまいます。
蘇生ガイドラインに書かれている通り、学校教職員・保育士向けとしては適切ではありません。本当はこのあたりは依頼を受ける側(消防側)が、きちんと判断してコンサルとしてほしいところですが、現実、そういう動きはあまりないようなので、発注する側がきちんと確認をしましょう。
普通救命講習 III は、消防職員(応急手当指導員)も教え慣れていないことが多いため、内容をきちんと把握していないこともあるようです。
そこで、依頼段階で下記の点を確認しておくことといいかもしれません。
・成人マネキンではなく、小児マネキンで練習がしたい
・乳児マネキンを使って乳児の蘇生法も学びたい(保育園の場合)
・大人の蘇生法との違い(人工呼吸の大切さ)を強調してほしい
依頼する際には、学校、園側としても、JRC蘇生ガイドラインの勧告を一読して、内容をある程度把握しておくことをおすすめします。
JRC(日本版) ガイドライン2010(確定版)のダウンロード
http://www.qqzaidan.jp/jrc2010_kakutei.html
上記ページからPDFでダウンロードできる「小児の蘇生(PBLS、PALS)」の6ページです。
場合によってはこの部分をプリントアウトして、打ち合わせのときに提示してもいいかもしれません。