在日アメリカ軍基地内でのハートセイバーAED講習の手伝いに行ってきました。

米軍基地内は完全なアメリカ。
ショッピングモールや映画館、大学もあれば、住宅区域もあります。中には電気屋さんもいれば水道屋さんも。
米空軍横田基地では、技術系作業員には全員CPR/AEDステイタスの取得と、1年毎の再受講が義務付けられています。
そこでアメリカ心臓協会AHAのハートセイバー Heatsaver CPR AEDコース。
基地の中にはAHA BLS Instructorがちゃんといて、定期的に講習会を開催、全員の資格維持に努めている、というわけです。


今回手伝いに行ったときは、電気技師さんたち10名のリニューアル。
皆さん、業務時間の中で来ていますから、それぞれの作業服姿。頭にタオルを巻いている人も!
日本のAHA講習ではあまり見ない雰囲気です。(笑)
皆さん、1年前にも受講していますから手技はばっちり。慣れたものです。
今回は日本人作業員だけを集めた講習だったのですが、使うコースDVDは英語版、AEDも英語仕様。皆さん、基地の中で使うことを想定しているわけですから、当然といえば当然ですが、新鮮でした。
日ごろ、BLS横浜でも日本語化されていないAHAコースを英語のまま開催することがあります。いつも受講者さんに「英語でゴメンナサイ!」とひどく恐縮した気持ちでやっているので、米軍基地の中では、日本人相手でもむしろ英語版を使うというのが不思議な感覚でした。
この講習の主催は、基地内の消防署勤務の消防士が業務として開催し、受講する人たちも仕事の一環として受講に来ています。
ですから当然受講料というものは受講者には発生していません。
仕事上必要な研修だからです。すべて職場持ち。教えるインストラクターもボランティアなどではなく、仕事として教えているのです。
これが米国本来のAHAコースの在り方です。
米軍基地の中には病院もあって、医師も看護師もいます。そういった人たちにはBLSヘルスケアプロバイダーコースを受講することになっています。軍人も基本的にヘルスケアプロバイダーコースだそうです。
迷彩服の人たちばかりのAHA-BLSコース。日本人の私たちには不思議な光景かもしれません。
このように米軍基地内でのAHAコースというのは完全に職業人のためのプログラムとなっています。
基地内に暮らす軍人の家族や子どもたち。そういった人たち向けのコミュニティコースとしてファミリー&フレンズコースをやっているのかなと思いきや、横田基地内では、American Red Cross(米国赤十字)が、普及プログラムを担当しているそうです。
プロ向けのAHAと市民向けの赤十字。
他の基地でも同じかどうかはわからないと言っていましたが、興味深い棲み分けです。
米軍基地内にAHA BLSインストラクターがいると書きましたが、厳密に言うとちょっと違います。
基地内の組織はMitary Training Network(MTN)といって、いわゆるAHA ECCプログラムとは独立した別組織になっています。教えるコンテンツやプロバイダーカードはAHAとまったく同じですが、インストラクター資格は基地内でしか有効でないという制約つき。
基本的に米軍人と米軍施設従業員に対してしかプロバイダーカードを発行できないことになっています。
インストラクターカードは私たちが持っているのと同じですが、ファカルティカードに関しては独自デザインで、AHA の他、ミリタリーネットワークのロゴも入った特別仕様。
しかもTraing Center Faculty ではなく、Training Site Faculty という名称。このあたりを見ると、ちょっと違うんだなとわかります。
Roster とかの書類も独自のロゴ入りでした。
日本人でも米軍基地内で MTN インストラクターとして活動している人は少なからずいて、せっかくAHAインストラクターとしてのキャリアがあるのに、基地以外で活動できない点、非常に残念に思う方が少なくないようです。
不思議とBLS横浜には、以前から消防士(EMT)さんを中心に米軍基地内で働く人が集まるようで、必要であれば、日本国内でも活動できるような手続きの手伝いを行なってきました。
そんなこともあって、最近、にわかに日本にいながら、本場アメリカの空気が流れる感じになってきています。
今日の横浜で開催したファミリー&フレンズCPR講習でも、横田基地からアメリカ人と日本人、二人の基地内インストラクターが飛び入り参加。
米国人女性インストラクターさん、日本語がわからないまでも、いても立ってもいられなかったのか、受講者さんに積極的に介入。ちゃっかり手伝ってもらっちゃいました。
もともとBLS横浜はハワイのトレーニングセンター所属のインストラクターが中心となって活動している拠点ですが、また別の意味でアメリカが近くなってきました。