溺水の救命のポイントは人工呼吸

「プールで男児溺れる 監視員が救出、搬送 千葉公園」(千葉日報2017年7月21日付)

プールで男児溺れる 監視員が救出、搬送 千葉公園by千葉日報2017年
https://www.chibanippo.co.jp/news/national/424745

プールの底から引き上げたら、意識なし、呼吸なし。人工呼吸をしたら自発呼吸が戻ったというニュース。

アメリカ心臓協会 AHA の小児の救命の連鎖が示しているように、子どもの救命のための最大の武器は CPR(人工呼吸+胸骨圧迫)です。

監視員が到着して、人工呼吸を開始したところ自発呼吸が戻ったという本事案。

喉頭痙攣による呼吸停止だったのか、低酸素による徐脈性 PEA(無脈性電気活動)だったのかはわかりませんが、いずれにしても、胸骨圧迫だけでは救えなかった事例と思います。

喉頭痙攣の解除にしても呼気吹き込みが必要ですし、低酸素による PEA なら血中酸素がほぼゼロですから、人工呼吸で血液に酸素を送り込まなければ、胸骨圧迫しても細胞の酸素化は望めません。

BLS の原則からすれば、AED があればただちに装着すべきですが、それと同じかそれ以上に、子どもや水辺の救命では人工呼吸が重要です。

心室細動に代表されるような心原性心停止であれば、AED がなければ救命はほぼ絶望的です。しかし、呼吸原性心停止であれば人工呼吸+胸骨圧迫だけでも救える可能性があります。

AED が「ショックは不要です」と判断したら、呼吸原性心停止の可能性が考えられますから、今どきの Hands only CPR の概念から切り替えて、人工呼吸の実施も積極的に考えていきたいものです。

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