「いざという時にはAED!」という意識が根付いてきたのはうれしいことですが、不正確な理解が広まっているのが気になるところです。
特に、AEDを装着するタイミングは、驚くほど誤解されています。
AEDは医療機器ですから、使用条件(適用)がきっちりと定められています。
市民救助者の場合、
1.反応なし
2.呼吸なし or 死戦期呼吸
上記の条件を満たした場合、つまり心停止を疑う場合にはじめて使用する道具です。
「大丈夫ですか?」と呼びかけて反応確認をした後、「あなたAED持ってきて!」となりますが、すぐにAEDが届いたとしても、呼吸確認をするまでは、AEDは装着しない、ものなのです。
もう一度いいます。「AEDは心停止が濃厚に疑われる人」に使用するものであって、具合の悪い人に念のため装着する、というものではありません。
AEDを装着するという決断をするのであれば、すべからく胸骨圧迫が行われているはずです。
胸骨圧迫はいらないけど、AEDだけは貼っておこうということは、ありえない状況です。
明らかに生きている人にはAEDは装着しない!
意識・反応がない人がいたら、胸から腹にかけての動きを目で見て、「正常な息をしている」と10秒以内に確信が持てなければ、胸骨圧迫を開始しますし、AEDがすでに届いていれば、この時点でAEDの電源を入れて装着します。
呼吸をしていない!(もしくは普通じゃない、ヘンな呼吸をしている)
この確認を守らないと、酔っぱらいや、朝の電車でありがちな失神発作で倒れた人が、みんな服を切られて、公衆の面前で裸にされることになってしまいます。
意識がなければAED手配と119番通報するのは正解ですが、AEDが手元に届いても、明らかに呼吸がある場合や、朦朧としていてでも反応がある場合はAEDを装着する必要はない、ということも知っておいてください。
また指導員は、このAED使用の原則についてきちんと知っておく必要があります。
普及促進という点ではまどろっこしく感じる部分もあるかもしれませんが、胸骨圧迫と違って除細動は紛れもない医療行為であるという認識を、指導員は忘れないようにしたいものです。