エピペンを巡る新展開 法解釈

日本災害救護推進協議会 -JAEA-のホームページで、「反復継続の意思がない」市民救助者であれば誰でもエピペン注射ができる、とする厚生労働省の見解が示されました。

このことに驚かれた方も多いかもしれませんが、BLS横浜のファーストエイド講習に参加したことある方は、「ついに来たか!」と思われたことと思います。

そもそも医師免許を持った人と、診療の補助が認められた看護師以外には原則認められていない注射という医療行為。

それを医療者免許を持たない学校教職員と保育所職員が「できる」とされた法的根拠をご存知でしょうか?

それはひとえに「反復継続の意図がない」と厚生労働省が認めたからです。

医師免許を持っていない人が勝手に人に注射をすると、医師法違反が問われます。その医師法は医業を禁止する法律です。そしてその医業の定義は「医行為を反復継続の意思を持って行うこと」とされています。

つまり、「反復継続の意思がない」と認められる医行為は医師法違反にならないのです。

故に学校教職員がエピペン注射をしていいかと文科省が厚労省に聞いたら問題ないという回答を得たというわけです。

エピペン注射の法的根拠

子どもからエピペンを預かって、いざとなれば何度であっても注射をしようと備えている学校教員や保育士ですら、反復継続の意思がないと判断されるとしたら、、、、たまたまアナフィラキシー・ショックの現場に遭遇したレストラン従業員や通りすがりの人にこそ、反復継続の意思があるとは考えられません。

ですから、法律の仕組みを考えれば、学校教職員や保育所職員にエピペン注射がOKとされた時点で、すでに医療資格を持たない一般市民の立場の人が使えるというのは自明な話。

ただ、それが公式見解として確認されていないことが問題でした。

そこを厚生労働省に正式に問い合わせを行なったのが、NPO法人 日本災害救護推進協議会さん。

詳しくは、ホームページをご覧ください。

ここでくれぐれも勘違いしないでほしいのは、誰でも気軽にエピペン注射をしていい、という話ではないということ。

学校教職員や保育所職員の場合は、親からの信託を得て、ある意味契約を交わして、代理注射を行うという図式になっています。

バイスタンダー的に注射を行うのとはわけが違うという点です。

例えば、サマーキャンプに引率する自然観察指導員などは「学校教職員」ではないとしても、学校と同じように親御さんとの信頼関係のもとにエピペン注射を行うことはありえるでしょう。ただ、いずれにしてもリスクを伴う医療行為なので、エピペンを預かって打つかどうかは組織判断ならびに自己判断、自己責任です。

学校教職員や保育所職員ほど守られていないのは、れっきとした事実です。実際に起きたあとで、裁判になってみないとわからない部分もあります。

また少なくとも、人に針を突き刺すという傷害行為と紙一重の筋肉注射という行為。

普通はありえない話です。

正当性が認められなければ、暴行罪、傷害罪、もしくは殺人未遂を問われてもおかしくない事態です。

そこは再確認しておきたいところです。

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