アメリカ心臓協会AHAの公式日本語ウェブサイトの情報によれば、ファミリー&フレンズCPR(Family & Friends CPR)プログラムの教材が正式に日本語化されるようです。
これは日本にはかなり大きなインパクトになるのでは? と予感しています。
ファミリー&フレンズCPRは、もっともベーシックな心肺蘇生法教育プログラムです。
AHAの区分の中では「コミュニティ向け」に分類されており、心肺蘇生法を広く普及させるためのもので、誰もが気軽に受けられる内容になっています。
誰もが気軽に、というのは、1時間から2時間で終わるシンプルな内容で、かつテキスト代が数ドルと安く、受講料は実費のみ、もしくは無料。
つまり、日本で言うと、消防の普通救命講習Iとか、日本赤十字社の救急法基礎講習に相当する内容です。
安くてシンプル、それは決して「安かろう悪かろう」ではありません。
長年の経験と教育科学に則って教材設計をするAHA。このファミリー&フレンズCPRでも決して手は抜いていません。
医療者向けのヘルスケアプロバイダーコースや対応義務のある市民向けハートセイバーAEDコースと同じクォリティてDVD教材は作り込まれています。
それが完全日本語化されたら、それはすごいことです。
気軽に心肺蘇生法を学ぼうと思ったときに、今後はこのファミリー&フレンズCPRという選択肢が日本全土に広がるからです。
というのは、日本にいるAHA-BLSインストラクターはおそらく数万人。
日本中の津々浦々でAHAインストラクターは活動しています。
それが一斉にこの市民向けコースを展開するようになったら、日本のCPR普及率に大きく寄与するはずです。
ましてやAHAインストラクターは、きっちりと教育学と医学サイエンスで鍛えられた蘇生教育のプロ。心肺蘇生法教育では世界一の定評があります。
これまでは、医療者教育にしか発揮していなかった力を広く市民に向けて還元できるようになる、これは大きいことだと思います。
BLS-AED.net横浜では、ファミリー&フレンズCPRの有用性に目を付け、英語版教材しかない状況ですが、工夫を凝らして、日本国内で地道に開催してきました。
おそらく公募コースとしてファミリー&フレンズCPRを開催していたのはBLS-AED.net横浜だけだったと思います。
これこそ日本に必要なプログラムと自信をもって行ってきたことが、次回ガイドラインでは日本語公式採用されることになってとてもうれしく、また誇らしい気持ちでいます。
英語版教材は2011年3月までには発売されるようですが、日本語版の出る時期は未定です。
しかし2011年以後、「AHAは医療従事者のためだけのもの」という時代は終わるに違いありません。
世界が認めた教育メソッドにすべての人が触れることができる環境、AHAインストラクターとしてこれほどうれしいことはありません。