失敗は恐れなくていい、世界がそれを認めている

BLS-AED.net横浜では、去年11月にAHAから提供された新しい方法で、すでに新しいガイドライン2010準拠の講習をなんどか開催しています。
 
そこで、皆さんからよく質問されるのが、次のような点です。
 
 


『呼吸確認が簡単になったのはいいけど、本当は呼吸をしていたり心臓が動いていたらどうしよう?』
 
 
『そんなに強く胸を押して骨が折れたりしないんですか?』

 
 
実は、こんな誰もが疑問に思うことについても、国際蘇生コンセンサス CoSTR 2010 はきちんと答えを示してくれています。(国際コンセンサス CoSTR 2010 とは、ガイドライン2010の大元になっている科学的根拠に基づいた蘇生に関する国際的な推奨・合意事項集です)
 
米国の Circulation という学術誌に発表された国際コンセンサス CoSTR 2010 の一次救命処置のセクションには、Risks to Victim(傷病者へのリスク)というセンテンスがあります。
 
そこにはこんな命題と、世界各国からの論文報告の検討、そして結論(国際合意事項)が載っています。
 
 
命題: 市民救助者が心停止ではない成人と小児に胸骨圧迫心臓マッサージをした場合、どれくらいの頻度で害(肋骨骨折など)を生じるか?
 
In adults and children who are NOT in cardiac arrest, how often does provision of chest compressions from lay rescuers lead to harm (eg, rib fracture)?
 
 
論文報告の検討: 市民救助者(バイスタンダー)によるCPRが、救助・医療専門職のCPRより合併症が多いというデータはない。
 
There are no data to suggest that the performance of CPR by bystanders leads to more complications than CPR performed by professional rescuers.
 
ひとつの研究では、バイスタンダーCPRのあるなしにかかわらず、心停止者の胸部X線検査における負傷の発生の違いはなかった。
 
One LOE 4 study documented no difference in the incidence of injuries on chest radiograph for arrest victims with and without bystander CPR.
 
(中略)
 
バイスタンダーCPRを受けた非心停止者247人の追跡調査によると、12%の人が不快を訴えたが骨折は5人(2%)だけだった。また内臓損傷はなかった。
 
Of 247 nonarrest patients with complete follow-up who received chest compressions from a bystander, 12% experienced discomfort; only 5 (2%) suffered a fracture; and no patients suffered visceral organ injury.
 
 
結論(国際勧告): 心停止が疑われる人に、現場に居合わせた人(バイスタンダー)がCPRを行い、結果的に心停止でなかった場合でも重大な害にはめったにつながらない。従ってバイスタンダーCPRは断固推奨されるべきである。
 
In individuals with presumed cardiac arrest, bystander CPR rarely leads to serious harm in victims who are eventually found not to be in cardiac arrest; and therefore, bystander CPR should be assertively encouraged.
 
 
 
 
 
強く押しても大丈夫。肋骨の骨折は心配するほどは多くない。
 
仮に間違って、必要のない人にCPRをしてしまっても大丈夫。失敗を恐れず、呼吸をしていないかなと思ったらためらわずに胸を押そう!
 
そんなことが、国際的な合意事項、それも蘇生科学に裏打ちされた内容として世界に向けて発信されています。
 
皆さん、どうぞ勇気を持って行動してください!
 

 
 


 

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする