私たちはAEDの教え方を間違っていたのかもしれません。
AEDは練習しなくても使えます。
そう設計されています。
だからこそ、街中のいたるところに、誰もが手の届くところに置かれているわけです。誰でもいいからその場にいる人が使ってください、と。
そんな誰でも使えるAEDを私たちはどのように教えてきたでしょうか?
丁寧に教えすぎていませんでしたか?
難しく教えていませんでしたか?
説明しすぎて、使い方を覚え込ませてしまうと、人は判断しなくなります。
AED操作に必要な暗記事項はふたつだけです。
1.電源スイッチを入れる
2.音声指示に従う
機種によりメッセージも操作も違うわけですし、特定のAED練習機で遣い方を覚え込ませるのはナンセンスです。
私たちが受講者さんに伝えるべきもっとも大切なことは、「音声指示をよく聞いて、それに従う」、という「態度」であるはずです。
そのためにはインストラクターが先回りして、クドクドと使い方を説明してはいけないと思います。
音声指示を聞く、というメインメッセージを伝えるためには、説明なしでAEDを操作してもらうのがいちばん効果的かもしれません。
AED練習は技術トレーニングではなく、「態度スキル」のトレーニングです。
インストラクターは、心肺蘇生法スキルを3つのフェーズに分解して、それぞれ指導法を変える必要があるでしょう。
胸骨圧迫と人工呼吸はテクニカル・スキル。練習あるのみ。
安全確認から心停止の認識、通報、CPR開始までの判断は認知スキル。シミュレーションが必要。
AED操作は認知スキルと態度スキルのミックス。シミュレーションとディスカッション。
私たちはこれまですべてをテクニカル・スキルと捉えて、レクチャーと「練習」で習得させようと、間違った指導法をしてきた気がします。