東京上野にある国立科学博物館にセアカゴケグモの標本が展示してありました。
セアカゴケグモは、西日本や九州の方は特によくご存知の毒グモ。
もともと日本にはいない外来種で、1995年頃に大阪で発見されて以来、問題となり、日本の各地でその生息が確認されています。数年前に北九州の公園で大量に捕獲されたニュースを記憶している方も多いことでしょう。
毒クモというとタランチュラのような大きなクモを想像するかもしれませんが、セアカゴケグモの体調は大きくて1センチくらい。おなかが丸いのが特徴です。足が長いので全体としてはもっと大きく見えるかもしれません。
名前のとおり、黒い体に赤いラインがはいているのが特徴。
同種の毒グモで、ハイイロゴケグモというのもいて、黒や赤とは特徴が違うこともありますが、形や大きさは似ています。
攻撃性のあるクモではないので、触らなければ大丈夫といわれています。
気になる毒ですが、死ぬことは稀で、痛みや腫れといった局所反応で終わり、特別な治療は必要としないケースが多いそうです。吐き気や循環動態の変化などの全身症状に至ることも多くはなく、20%程度とのこと。
噛まれた場合、痛みの出かたに特徴があって、直後はほとんど痛みを感じず、5分~60分ほどしてから痛みが出現、時間と共に手足(噛まれた肢)に広がり、リンパ節の痛みが出てくるといわれています。熱感や痒みが出ることもあり3時間くらいの間にこれらが起こるそうです。
全身症状はかならず出るわけではなく、出たとしても1時間~12時間など比較的ゆっくり発現するようです。全身への痛みの広がり、発汗、振るえ、発心、嘔吐、呼吸困難、めまいなど。
それでも死に至ることはあまりなく、治療をしなくても多くは1週間以内に軽快するということを知っておくと安心できるかもしれません。
命に関わることは少ない、ひどく急ぐ必要はない。
ですから、落ち着いて医療機関へかかる、で、大丈夫です。
医療機関にかかるまでの処置としては、一般の虫刺されのファーストエイドと同じです。
噛まれた部位をよく洗って、冷やす。
切るとか吸うとか縛るといったことは推奨されていません。
全身症状を緩和させるための血清も地域によっては置いてあります。
もっとも血清は副作用が大きいため、必ずしも使うわけではありませんが、治療方針の決定のために、可能なら噛まれたクモを殺して病院に持参することが勧められています。
ただ、クモを殺すために二次被害にあっては本末転倒ですので、殺虫スプレーなどがあり、安全にできるのであれば、です。今の時代、スマートフォンで写真を撮るというのも有効かもしれません。
攻撃性はないクモなので足で踏みつけて殺すということもできますが、原型をとどめていないと判断できないので注意が必要です。
余談ですが、セアカゴケグモは漢字で書くと、背赤後家蜘蛛。
後家というのは未亡人のこと。この種のクモは、交尾後、メスがオスを食べてしまうという習慣があるためにこう呼ばれるそうです。
英語ではRed back spirderですが、文献によっては、Red-back widow spiderとも書かれています。
widowは日本語で未亡人。まさに直訳そのまんまですね。