PEARSは、一言で言うと、人が命を落とす要因を因数分解して、原因に当たりをつけて、それを食い止めようというコンセプトの新しいタイプの救命講習です。
ファーストエイド講習の一種とも言えますが、人が死ぬ原因を、致死性不整脈、呼吸障害、循環障害(ショック)の3つに分けています。
さらに呼吸トラブルでよくありがちな原因を4パターン、ショックを2パターンに細分化して、介入方法を考えるという点で、枝葉が多岐にわたるファーストエイド講習ほど複雑ではありません。
【人が死ぬ原因】
1.致死性不整脈(心室細動) → 応援要請、BLS
2.呼吸障害 → 応援要請、気道確保、酸素投与
3.循環障害(ショック) → 応援要請、輸液
【呼吸障害】
1.上気道閉塞 (上咽頭炎、アナフィラキシー、気道異物)
2.下気道閉塞 (喘息、細気管支炎)
3.肺組織病変 (肺炎、肺水腫)
4.呼吸調整機能の障害 (頭部外傷、薬物過量)
【ショック】
1.循環血液量減少生ショック (出血、脱水)
2.血液分布異常性ショック (アナフィラキシー、敗血症)
人が命を落とす原因を突き詰めていくと、意外とシンプルにまとまりました、というのがPEARSの考え方。
ファーストエイドのような広く浅くではなく、生命危機状態にフォーカスして根源を突き詰める感じです。
処置とすれば、応援要請とBLSと酸素投与と輸液。薬も多少出てきますが、職務範囲によってはまったく知らなくてもOKというのがPEARSのいいところ。
最近の救命講習はBLSにしてもACLSにしても、理屈はともかく動ければいいという体育会系のものが主流ですが、そことは一線を画するじっくりと考えて判断する力を養うという、ちょっと異色の急変対応プログラムです。
でも、今後はこれが主流になっていくんだと思います。