今日、博多で開かれた日本蘇生科学シンポジウム(J-ReSS)に参加してきました。
ガイドライン2015発表後、最初のJ-ReSSだけに、ガイドライン2015の解説というのがメインテーマ。JRC2015の各章の共同座長の方たちが、ガイドライン改訂のポイントを説明してくれました。
中でも注目したのは、最後のファーストエイドについてです。
ファーストエイドという項目は、JRCガイドラインとしては今回初めて登場した章立てです。
すこし事情は複雑なのですが、AHA&ARCガイドラインとしては以前からファーストエイドがありましたが、今回の2015からCoSTR(国際コンセンサス)に格上げとなり、それにともない、日本版ガイドラインにも入ってきた内容です。
BLS横浜としては、日本語化されるまえにG2005時代からAHAのファーストエイドコースを手がけていますので、すっかりお馴染みの内容ではあるのですが、日本の応急手当の常識からするとかなり過激な内容となっています。
エピペン注射、アスピリン投与、止血帯、薬剤剤配合の止血包帯など、医療資格を持っていない人に求めるにはあまりに高度な内容。
日本版ガイドラインになるときには、CoSTRの内容がどれだけ日本国内事情に合わせてアレンジされているのかと注目していましたが、そのほとんどは、CoSTRやAHAガイドラインと同じで、ホントにこれで大丈夫なの??? と、クェスチョンマークが3つ4つ並んでもおかしくないくらいの内容でした。
なにかの間違いじゃないかと思っていたのですが、今日、ファーストエイド担当者の話を聞いて大いに納得。
結論からいうと、日本版のファーストエイドガイドラインとしては、「整備する時間がなかったから、CoSTERの忠実な翻訳に徹した」というのが真相とのこと。
詳しい事情はわかりませんが、CoSTERのファーストエイドの内容をもとに、日本版ファーストエイドガイドラインを策定するための時間が4ヶ月しかなかったそうです。
まったく新しい内容でもあり、作成者もファーストエイド教育への造詣があったわけではないようで、今回は「CoSTRをできるだけ忠実に翻訳することを目標とした」(発表スライドより)という点が明かされました。
内容を練ることが出来なかったため、明らかに不適切な部分は削除し、日本の事情に合わない部分は注釈を加えることで、どうにか発表日に間に合わせた、というのが今回のJRCガイドライン2015のファーストエイドです。
そう言われれば、なんとか納得できるかもしれません。
前回のJRCガイドライン2010のドラフト版もそんな感じだったなと思い出す方も多いかもしれません。
BLSやALSとは違って、今回からスタートしたJRCファーストエイドガイドライン。次回、5年後には日本らしさも入った本当のファーストエイド元年になることを願います。