アメリカ心臓協会(AHA)のインストラクターになりたい!
そんな相談をよく受けます。
BLS横浜の講習を受講した上でそう考えてくださる方もいれば、ネット検索等でホームページに行き着いて、メールをくださる方もいます。
BLS横浜では、インストラクターになりたいという希望があれば、まずはBLS横浜の講習に見学等にいらして下さいとご案内しています。
そして、BLS横浜での講習のスタイルを知って頂き、その上で、個別にお話をさせていただき、必要があれば個別にインストラクターコースを企画、参加いただくようにしています。(BLS横浜では、必要な方がいれば、その都度企画するオンデマンドの個別講習に近い形でインストラクターコースを提供しています)
AHA Instructor is Why.
インストラクターコース受講希望者に個別面談で、必ず尋ねるのは、
AHAインストラクターになってなにをしたいか?
です。
このビジョンが、
- 本当にAHAインストラクターになることで実現できるのか?
- そして、その具体的な可能性はどうか?
という点を、一緒に検討します。何事にもメリット/デメリットがあります、相応の妥当性があり、双方の合意が得られれば、インストラクターコースにご案内しています。
しかし、そこまでたどり着くのはかなり稀な話で、多くの場合は、「AHAインストラクターになる必要はない」という結論で、白紙に戻るケースが多いです。
その理由は、インストラクター志望者の、AHAインストラクターに対する理解や認識が不十分であり、実像を理解していないというのがほとんどです。
まず、ありがちな誤解は、AHAインストラクター資格は、ボランティア講習をするための資格ではない、という点です。
AHAインストラクターはプロの資格
AHAインストラクターは、米国労務省の職業安全衛生局OSHAの公認資格を発行する権限を持った救命法指導のプロフェッショナルです。
職業上の責務を負ったプロの職業人に対して、救命スキルを指導し、その技術認証を与え、資格証を発行するプロフェッショナルがAHAインストラクターです。
ご存知のとおり、アメリカ心臓協会講習のほとんどは有償です。それも決して安い金額ではありません。
このように対価を頂いてプロとして活動する職業資格とも言えます。
ですから、公務員のような副業・兼業が認められない立場の方に、AHAインストラクターは向きません。
そして、受講対象は対価を払って資格認証を受ける必要性がある人ですから、一般市民向けではありません。
一般市民向けの普及啓蒙活動を行うだけでしたら、AHAインストラクター資格は不要です。
AHAではファミリーフレンズCPRというプログラムがありますが、これを開催するだけなら、インストラクター資格は不要で、DVDを買えば誰でも開催可能です。
日本国内のAHA-ECCプログラム展開を理解する
もう一点の落とし穴は、日本国内のAHA講習を展開しているのは、AHA本部ではなく、国際トレーニングセンター(ITC)と呼ばれる活動単位であるという点です。
アメリカ心臓協会の講習は、日本国内ではAHA本部直轄での運営はされていません。
ある意味、フランチャイズのようなもので、日本国内の既存団体(NPO法人、一般社団法人、任意団体、株式会社、医療法人等)が米国AHAと提携して、講習実務を展開しています。
運営母体はAHAというよりは、あくまでも日本国内のそれぞれの法人組織なのです。
ですから、それぞれの活動母体(トレーニングセンター)によって運営方針は違います。
受講料や受講資格(ACLS受講にBLS資格が必要か不要か、など)が異なるのはそのためです。
当然、インストラクターになるための条件や、インストラクターになった後の活動範囲や権限も異なります。
インストラクターになってどんな活動展開をしたいのか?
それによって、インストラクターとして提携する活動母体(トレーニングセンター)を吟味し、選ぶことが重要です。
AHAインストラクターになる前に十分なリサーチを
AHAインストラクターを目指す方には下記の点を十分に調べましょう。
1.日本国内にはいくつの活動母体(トレーニングセンター)があるか?
2.それぞれのトレーニングセンターの特色は?
3.トレーニングセンターごとのインストラクターになるための条件や受講料の違い
上記の点を把握した上で、
1.自分がAHAインストラクターになりたいと考えたのはなぜか?
2.インストラクターになってなにをしたいのか?
3.AHAインストラクターになることでそれを実現できるのか?
4.自分の目的にあったトレーニングセンターはどこか?
という点と合わせて熟考し、事前に各トレーニングセンターや活動拠点に問い合わせをしたり、見学に行ったりして、十分な準備をして臨むことを強くおすすめします。
経費と時間をかけてAHAインストラクター資格を取得しても、2年後の資格更新を迎えずにフェードアウトしていく人が少なくないのが現状です。
だからこそ、BLS横浜では、安易にインストラクターになることを勧めませんし、希望者がいたとしても、十分なコンサルタントをした上で、受け入れを決定しています。
入り口に立つ前の十分なリサーチと、自分自身の目的・目標の吟味が重要です。