先日は熊本でAMRとして初開催のBLSプロバイダーコースでした。
PEARSではおなじみの Child Future熊本(CFK)との共催での公募開催だったのですが、もともと救急救命士から評判の高い CFK ということで、今回は受講者6名が全員、消防職員というメンバー編成でした。
横浜で10年以上、講習展開をしていますが、BLSコースに関しては救急救命士や消防職員の参加はあまり多くはありません。むしろ珍しいくらい。PEARSやファーストエイドコースへの参加はそこそこありますので、救急隊員にとってはBLSなんかは常識過ぎて今更感があるんだろうなと思っていました。
そんな思いがありつつも、今回、消防職員のためのBLS講習を展開してきて見えたものを書き留めておきたいと思います。
BLS for Prehospital Provider(PHP)コース、アメリカンなインパクト
ご存知の通り、今のG2015版のAHA-BLSコースは病院内設定と病院外(Pre-hospital)設定にシナリオ動画が別れています。
横浜では1-2ヶ月に1度程度、プレホスピタル版もレギュラー開催していますが、全国的に見ると公募開催は珍しいようです。
さて、今回、救急隊員の方たちとPHP版の映像を見ていると、食いつき方が違うというか、米国の救急隊や救命士が活動する場面に対するインパクトがまったく違う点が、正直な驚きでした。まさにPHPコースは消防職員向けにあるんだなと。
病院の中の人間としてはまったく気に留めない部分、例えばPA連携で先着した消防隊員と、後着の救急隊との連携の仕方などが、日本の現場を知っている人からするとすごい展開なんですね。
シナリオ動画の場面に引き込まれるといえば、病院内設定(IFP)でも、病棟のベッドの上で展開されるBLSの場面は、ベッドのギャッジアップを戻すとか背板を入れるとか、目を引く場面も確かにありますが、救急隊員がPHP版を見るときの比ではなさそうな印象でした。
救急隊員がAHA-BLSコースから学ぶこと
救急隊員にとってはBLSは基本中でしょうし、日頃からよく訓練されていて、応急手当指導員として地域住民に対しては教えている内容かもしれません。
それでも、受講後の感想としては、救命士にとっても必須と思います、という声も上がりました。
これは医療者全般の教育に言えることですが、BLSはできて当たり前という建前上、さらっと流されてしまう傾向があるのかなとも思いました。
ことにBLSとなると、運動スキルとしての側面が強く「技術的にできること」に終始してしまう傾向があるのではないでしょうか。
受講いただいた皆様からの声をピックアップすると下記のようなポイントが上がりました。
成人と小児の蘇生法の違いを並べて学ぶことで蘇生の全体像が見えるという点、チーム力に関するサジェスチョンとシミュレーション体験、窒息解除や補助呼吸などの蘇生科学の理解など。
基礎教育的なものは、教育課程の最初のうちに習得し、そのまま「あたりまえ」感に変わっていってしまうものかもしれません。
それを改めて学ぶ意義。
それはテクニカルな日々修練を積むトレーニングとは別に、現場での経験を積んだ後だからこそ、腑に落ちるというところもありそうです。
基本ではあるBLSですが、フルサイズで中身をじっくり学んでみることの意義。それを感じた1日でした。