依頼講習なのに「定形コース」で終わらすのはもったいない

ここ連日、ご依頼を頂いての市民向け救命講習が続いていました。

BLS横浜では、出張講習のご相談をいただくと、受講対象や想定される緊急事態、人数、時間などをお聞きして、その都度内容を企画させていただいています。

アメリカ心臓協会講習のような資格を発行する講習のアレンジは難しいこともありますが、それでもオプションとして対象に合わせたシミュレーションを追加して、極力、現場を意識した講習を行っています。

助ける対象の違い 子どもか大人か?

今回はいずれも市民向けの救命法研修でしたが、ひとつは小学生の親御さんたちのグループ、もうひとつは建築会社からの依頼でした。

どちらも2時間で、心肺蘇生法と応急手当ということでしたが、内容はかなり違ったものになりました。

心肺蘇生法の練習に使うマネキンが小児マネキンか成人マネキンかという違い以外にも、人工呼吸とAEDの扱いがまったく異なるのが小児BLSと成人BLSの違いです。

極端に書くと、こんな感じでしょうか?

子どもの救命法・・・・人工呼吸講習

大人の救命法・・・・・AED講習

子どもの救命法では、時間の関係でAED操作は割愛し、人工呼吸練習に重きを置きました。

子どもの心停止であってもAEDが届けばすぐに装着するのは大人と同じ。ただ、AEDは「ショックは不要です」という可能性が高いため、ショック不要となったら、まだ開始できていなければ感染防護具を用意して、すぐに人工呼吸を始めることが救命につながるという点でお伝えしています。

ホテルの宴会場でのBLS/CPRトレーニング

一方、建築現場を想定した大人の救命処置としては、心臓突然死について説明した後、胸骨圧迫とAED装着を優先した練習としました。

後述する高所からの転落や外傷性のショックを考えた場合は、人工呼吸も必要となる可能性も示唆しつつも、技術練習としては、絶え間ない胸骨圧迫と迅速な除細動を重点的に練習していただきました。

専門家としてニーズを探って、講習展開を提案する

ファーストエイド部分は、基礎となる「人が生きるしくみと命を落とすメカニズム」は成人でも小児でも共通ですが、そこを理解した上で、ご依頼者様のニーズに合わせた項目をピックアップし、原理原則と照らした対応法をお伝えしています。

建築会社からの依頼内容は、血が出た場合の処置を教えてほしいでした。

出血対応というと止血法を教えておしまいとなりがちですが、聞いてみると、建築現場だと高所からの転落などシビアな事故がありうるということでした。

そこで、外出血だけではなく内出血、また頭をぶつけた場合の生命危機の考え方をお伝えしておくことが必要かと判断し、講話の内容を、止血法、ショック、また頭部外傷による呼吸不全、とさせてもらいました。

現場への転用に踏み込めるのが依頼講習の醍醐味

特定の団体・集団から救命講習の依頼を受ける場合は、定型化された一般講習を行うだけでは、もったいないと考えています。

一般公募であれば、ゼネラルな一般的な内容にせざるを得ません。やや恣意的な言い方をすると、ほんわかとした浅い内容で妥協せざるを得ないということ。

しかし、受講者が実際に行動できるようになる、ということを考えると、依頼講習であれば、その母集団のニーズと特性に合わせてチューニングをした講習展開をすることができます。

これはインストラクターとして願ってもないチャンスだと思いませんか?

決められたことを決められたとおりに教えるだけなら、ビデオ教材を見せてマネさせるだけで十分かもしれません。

講習アレンジを提案し、実行できるのが、救命法インストラクターだと思うのです。

e-Learning 全盛のこの時代に、あえて対面で講習を展開する意義というのを強く感じた数日間でした。

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