今日では、さまざまな心肺蘇生法(AED)講習が開催され、消防だけでもその受講生は年間100万人に達するようです。
おかげで通りがかりの人(=バイスタンダー)によるCPRの実施率は増えてきていますが、それでもまだまだ十分といえる現状ではありません。
CPR講習を受講直後であっても「倒れている人を見かけたら声をかけられますか?」と聞くと必ずしも「はい」という返事は返ってきません。
その理由のひとつとして、「倒れている人が心停止じゃなかったらどうしよう?」「意識、呼吸があった場合はなにをしていいかわからない」という思いもあるようです。
そんなCPRしか知らない故のためらいをどうにかしたいと私たちは考えました。
そこで企画したのが「傷病者対応コースforバイスタンダーズ」です。
CPR/BLSも、非心停止時の対応(ファーストエイド)も、傷病者へのアプローチの入り口は同じです。
最初から心停止を前提にしたマネキンを使うトレーニングではなく、人間が模擬傷病者を演じることで、意識があっても、呼吸があっても対応できる柔軟さを培うというのが「傷病者対応コースforバイスタンダーズ」の特徴。
最初に最新のAHA蘇生ガイドライン2010に基づいた成人への心肺蘇生法(CPR)を身につけた後、心停止ではない場合の対応をシミュレーション・トレーニングを通して体験し、そこから傷病者との関わりを学んでいきます。
内容的にはファーストエイド講習と近いものがありますが、包帯の巻き方や添え木の仕方など各論的な話はほとんど含まれません。ファーストエイド講習では、ケア(処置)に重きがおかれがちですが、「傷病者対応コースforバイスタンダーズ」は、傷ついた人、病んだ人との「関わり方」を中心に学びます。
以前に開催した「BLSから始まるファーストエイド傷病者評価の基礎」ともコンセプトは似ていますが、誰でも使える技術をモットーに、救急法教育としては極限までシンプルに内容を絞り込んでいます。
命に関わる問題点がないかをまずクリアにし、救急車を待つ間に人間として出来ることを考えていきます。
傷病者の不安な気持ちにどう応えるか、看(み)て護(まも)るという看護の視点に根ざしたファーストエイドの入り口を原点に返って考えていきたいと思います。
心肺停止者だけでなく、意識がある人、呼吸がある傷病者にも対応できるオールラウンドなスキルは、結果的にはCPR実施率向上にもつながるものと信じています。
公募コースとしては第一弾を1月8日(日)、横浜駅近くのかながわ県民センターにて開催予定です。(2012年3月4日にも公募で開催します! 申込みは下記リンクより)