2012年5月31日に ネットで公開されたAHAのハンズオンリーCPRの動画 に日本語字幕を入れてみました。
目の前で人が倒れたら、119番通報して、救急車が来るまで胸の真ん中を強く速く押す!
とにかくシンプル。
たった2つのステップで、人の命が救えます。
大丈夫ですか? という反応確認も行ないません。
もし、なにかの間違いで心停止でなければ、一発目の胸骨圧迫の段階で、痛がって逃げるなどの”反応”が現れて、自然と気づくはずです。
とにかくシンプルに、突然の心停止を見逃すことが絶対にないように。
少し解説をしますと、このハンズオンリーCPRの適応は、英語でいうところのteenager以上の年齢が対象となります。
ビデオでは中学生くらい以降と訳してしまいましたが、思春期以降を示しています。体の成熟がほぼ完成し、子どもにありがちな「未熟な呼吸器官」ゆえの呼吸原性心停止のリスクを第一に考えなくてよくなった年齢層、という意味です。
そしてハンズオンリーCPRが適応されるもうひとつの条件は、「目の前で突然倒れた」場合。
突然の卒倒なら、血液中に酸素が十分残っているため、人工呼吸は必ずしも必要ない、というのがその理由です。
ということで、このAHAのハンズオンリーCPRは、子どもの場合や、水に溺れた場合、倒れてから発見まで時間がかかっている場合などは、それだけで十分だとは考えられていません。
しかしその場に居合わせた人が躊躇なくはじめる最初の救助活動としては最大限に有効な行為です。
きちんとした救命講習ということであれば、もう少し踏み込んで教えますが、AHAのハンズオンリーCPRは何の訓練も受けたことがない人が実施することを期待されている内容。
どんな条件であっても、特別な訓練をしないでも誰でも実施できるという蘇生行為のユニバーサルなエッセンスを抽出したのが、このAHAのハンズオンリーCPRと言えるでしょう。
ちなみに、誰もが耳にしたことがあるこの曲、Bee Gees の Stayin’ Alive。映画サタデー・ナイト・フィーバーで有名です。
この曲のテンポが1分間に100回に近いということで、以前から胸骨圧迫のテンポ取りにいいと言われていました。そして数年前にはこの曲をかけながらの胸骨圧迫は質が高くなるという研究論文が発表されて、Stayin’ AliveといえばCPRの曲というイメージが不動のものとなりました。
日本でいったら、アンパンマンマーチやドラえもんの歌、中島みゆきの”地上の星”、スマップの”世界にひとつだけの花”などが有名ですが、国際的なStayin’ Aliveにはかないません。また曲のタイトル、「生き続けてる」というのも妙にマッチしている点です。
(この日本語訳はBLS横浜が独自に行なったもので、AHA公式のものではありません。公式な日本語版が出たらこの動画は削除します)
(2015年5月25日追記:日本医療教授システム学会AHA国際トレーニングセンターより、AHAから承認を受けた字幕版動画が公開されることが決定したため、本私訳版の配信は停止します。現在はキャプチャー画像に差し替えてありますが、公式公開されましたら埋め込みリンクとさせていただく予定です)