ファミリー&フレンズCPR講習は、誰でも開催できるボランティアベースのプログラムですが、まがりなりにもAHA(アメリカ心臓協会)のプログラムです。
AHAの心肺蘇生法講習が他と違うポイントのひとつは、インストラクター・コンピテンシーという成人学習の理論にもとづいて、効率よく学べるように教材設計されていることにあります。
その基本は学習環境を整えて、受講者がストレスなく学べるように心配りをすること。
このポイントのいくつかは、ファミリー&フレンズCPRファシリテーターガイド
にもかいつまんで書かれていますが、大事なポイントなので、ここでもまとめておきたいと思います。
1.受講者が来たら声をかけ、暖かく迎え入れる
受付を作って会場に入った受講者がどこに行ったらいいか戸惑うことがないような配慮を。また開始まで待つ場所、席、荷物置きなどをきちんと案内しましょう。学びたいと思ってきた意欲を増強させるような建設的な会話も有用です。
2.ビデオ画面とマネキンの位置の調整
ビデオを見ながら、それを真似して練習します。画面が高すぎると首がつかれます。また複数のマネキンを使う場合、2列以上になるときは、前の受講者の背中で画面が見えないということがないように、マネキン位置を調整します。
3.開始の挨拶でいうこと
・終了予定時間
・途中に休憩時間があるかどうか
・トイレや飲み物の自動販売機の場所の案内
・膝や腰、肩などに不調がある人はいないか
・練習量がありややハードなので、できる範囲で頑張ってほしい点
・画面を見ながら、真似して練習するという一風変わったスタイルである点
成人学習の理論から、学習者が学習に集中する環境を作ることがファシリテーターの役目です。そのため、受講者の気がそれるような要因を排除する必要があります。例えば「おなか空いたなぁ、何時に終わるんだろう?」「トイレ行きたいけど、、、」「腰がつらい」など。
講習開始前の案内に、これらを先回りして伝えておくことで、学習者の集中を助けることができます。
学習は学習者の中で起きます。
つまり、学習者はビデオ教材を通して自ら学びます。
教えこむ、のではないのです。
自主的な学びを支援するのがインストラクター(ファシリテーター)の役割、これはファミリー&フレンズCPRのにかぎらず、すべてのAHAコースの基本コンセプトです。