財団法人「みんなの森」さん主催の「森のサバイバル実験室」にスタッフとして参加してきました。
火おこし、竹で食器を作る、ハンモックを作って森で泊まる、など小学校高学年の子どもたちを対象としたシリーズ物のアウトドアイベント。
その一環として、野外救急法を担当しました。
昨今の救急法といったら、心肺蘇生法がメインですが、場所が野外ともなると心肺蘇生法だけでは心もとないものです。
そこで最初から心停止のCPRだけではなく、ファーストエイドを中心に据えた講習展開を考えました。
対象は小学校高学年の子どもたち。普段大人にやっているように教えても無理があります。また、キャンプしながらの屋外講習ということで、パワーポイントなどの映像教材はもちろん、プリント資料も一切使わず、どこまで教えられるかという、ある意味挑戦的な内容でした。
今回強調したのは、命に関わる優先順位をしっかり理解してもらうこと。そして、子どもたちとの対話で講習を進めていきました。
「ケガした人や急に具合が悪くなった人がいた時、最悪の状態ってなんだと思う?」
そんな話をして考えてもらっているうちに、スタッフの一人が突然、胸を抑えて倒れこんで動かなくなってしまう。
「さあ、この人、いまどんな状態? 生きてる? 死んでる? 生きてるんだったらどうしたら生きてるってわかる? 生きてるってどういう状態なんだろう?」
そんな子どもたちとのやり取りの中から、反応がある、息をしている、体が温かい、脈がある、などの生命徴候のついて目を向けてもらいました。
「体温も心臓が止まった直後はまだ温かいから、あんまり当てにならないよね? 脈ってすぐ見つけられる? 隣の友達の脈を探してみて? そう、難しいよね。これは看護師さんがやっても意外とあてにならないって言われてるんだよ」
つついてみる、くすぐってみる、なんていう子どもならではの意見もありましたが、それはある意味「刺激を与えての反応確認」ってこと。否定はせずにちゃんと拾い上げます。
息をしているかしていないかってどうしたらわかるだろう?
ここも子どもたちに考えてもらいます。口元に手をかざす子、顔を近づける子、いろいろいます。全部正解。「でも風が吹いてたらわかりにくいよね? 川の音がうるさかったら聞こえないじゃん。いちばん簡単な方法はなーんだ?」
ということで蘇生ガイドライン2010で推奨されている「胸から腹にかけての動きを見る」方法の妥当性を納得してもらいました。
結論だけを教えるのは簡単です。時間もかかりません。でも受講者の中にどれだけ残るかということを考えると、こんな方法もありです。自分たちで考えて見出したものはまず忘れません。
呼びかけに反応がなくて、呼吸もしていない。これが最悪の状態。
そんな時は「胸を押す!」
こうして、CPR練習に突入しました。