「心肺蘇生法の仕組みを理解する」ワークショップ開催報告

先日開催した「心肺蘇生法の仕組みを理解する」ワークショップには、全国からたくさんの人にお集まりいただきました。
 
もともと定員16名の予定でいましたが、あまりにキャンセル待ちが多かったので、会場が手狭になるのを覚悟で枠を拡大。26名の方にご参加いただきました。(締め切りのため今回、参加いただけなかった皆様、申し訳ありません!)
 
皆様からはたいへん好評いただけたようなので、次回3月31日(日)、同じかながわ県民センターで同じ内容の無料セミナーを開催するつもりでいます。
 
前回、ご参加いただけなかった方は、どうぞ次回の日程のマークをお願いします。
 
 
さて、「心肺蘇生法の仕組みを理解する」ワークショップの内容を、次回のためにネタバレしない程度にご紹介しようと思います。
 
4名ずつのスモール・グループディスカッション形式で進めていきました。
 
テーマを提示して、5分〜10分程度でフリーディスカッション。その後、解説をしていくというスタイルです。
 
最初のテーマはこんな感じ。
 
心肺蘇生法の理屈を理解するワークショップ・スライド1  心肺蘇生法の仕組みを理解するワークショップ・スライド2
 
ガイドライン2005時代に、こんな場面に遭遇したら、皆さんは何ができましたか?
 
机上の空論ではなく、皆さんが現実にできることを考えてみてください。
 
今だったら、きっと心停止を認識してさっさと胸骨圧迫が始められると思うんです。
 
でもたった3年前ですが、G2005時代にはそこまで辿りつけなかったかもしれない。
 
これがガイドライン改訂の最大のポイントだと私は思っています。ABCからCABとか、そんな枝葉の話ではなく、蘇生ガイドラインはimplementation(実施・実行)という新たなキーコンセプトにもとづいて、すべてがチューンナップされているのです。
 
それにしても、参加者の半数以上が、日頃から感染防護手袋を携帯しているという事実は、さすが意識が高い方たち! でした。
 
 
ガイドライン2010の本質を再確認したあとは、質の高いCPRのキーポイントを復習。その背後にあるエビデンスを理解していただきました。
 
それを踏まえた上でのまとめのディスカッションのテーマはこちら。
 
心肺蘇生法の理屈を理解するワークショップ・スライド3
 
ガイドライン2010になって、胸骨圧迫の強さは「少なくとも5センチの深さ」、速さは「少なくとも1分間に100回のテンポ」で、ということになりました。
 
しかし、この定義の本質的な意味はなんでしょうか?
 
この深さと速さを文字通り覚えることに意味があるでしょうか?
 
とすれば、私たちは受講者にどう指導していけばいいのか?
 
きっとここにG2010時代のCPR講習の本質があるはず。
 
 
 
また、こんなやや難しいテーマを入口にして、胸骨圧迫によって血流を生み出す仕組みと、自己心拍再開の仕組みを考えてもらいました。
 
絶え間なくというわりには30:2なのはなぜ? 人工呼吸の時、胸骨圧迫を止めるのはなぜ?
 
人工呼吸の時、なぜ胸骨圧迫の手を止める必要があるのか?
 
これは、胸骨圧迫によって身体の中で何が起きているのかをイメージできていないと答えられないと思います。その模式化された心肺蘇生のメカニズムの理解が質の高いCPRの実施につながるのでは? という仮説。
 
 
 
最後は、「心停止」の意味を考えてもらいました。
 
ショックが有効な心リズム:心室細動、無脈性心室頻拍、無効な心電図:無脈性電気活動、心静止
 
一言で心停止といっても、電気ショック(除細動)が有効な場合と無効な場合がある点を理解しておくことは重要です。AEDは心臓を止める道具である点、AEDだけでは人は助からない理由などを理解していただきました。
 
 
結論だけを言えば、すでにこのブログやFacebookページで何度も書いてきたことばかりですが、自分の頭で考え、みんなでディスカッションすることで理解を深めて、自分のものにしていく。
 
そんなワークショップでした。
 
参加後のご意見として、他の人たちと意見交換ができたのが良かったという声は複数いただきました。
 
「学ぶ」とは何なのか?
 
そんな点にも思いを馳せて頂く機会となれば幸いです。
 
 
次回、3月31日(日)の参加申し込みは1月15日に開始させていただく予定です。
 
次回は定員をやや多めに設定するつもりですが、参加ご希望の方は早めのお申し込みをお勧めします。
 
 
 

 
 
 


 

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