新規企画として開催したAdvanced First Aidコース、盛況のうちに終わりました。
これまでBLS横浜では、ファーストエイドを学ぶ階層構造として、次のようなモデルを提唱していました。
基礎編:傷病者対応コース for バイスタンダーズ
各論編:ハートセイバー・ファーストエイド or ファミリー&フレンズ・ファーストエイドforチルドレン
応用編:ウィルダネス・ファーストエイド
この応用編に新たに加わったのがAdvanced First Aidです。ウィルダネス・ファーストエイド、つまり野外救急法に対してAdvanced First Aidは都市部での救急対応を前提としたシミュレーションプログラムです。
これまで実践シミュレーションは野外救急に限定していたのは、場所がなかったから。実践シミュレーションは講習会場の中だけでは無理。その点、野外救急であれば、鎌倉のハイキングコースをちょっと外れたところなど、工夫次第ではフィールドに困りません。
しかし、都市部でのファーストエイドとなると、その辺の道路で模擬患者を倒れさせて救助訓練というわけにもいかず、どうしても講習会場内となってしまい、臨場感に欠けることから、開催に踏みきれませんでした。
そこで今回は、日本救急救命士協会さんの研修センターをお借りできることになり、屋上や階段でのシミュレーションが可能となり、実現しました。
メディカルラリーのような凝ったシナリオではなく、比較的ベーシックのものばかりでしたが、それでも「階段で人が倒れてます」「ビルの屋上で人が倒れてます」というのを実際の状況下で再現して、シミュレーションしてみると全然違います。
↑工事中の隣のビルから屋上に転落者発見!
特に2月のこの時期、寒いんですよね。
ケガや病気だけではなく、屋外で地面に倒れているということだけでリアルな寒さに傷病者役は晒されます。救助者にもその寒さや風の危険性は否が応でもわかります。となると、傷病に対する処置だけではなく寒さ対策をしなければいけないという現実問題に突き当たるわけです。
今回は、銀色のアルミホイルを薄くしたみたいなエマージェンシー・ブランケットを装備として用意しておきました。日頃、室内の講習では適当に掛けるだけで済ましてしまうことが多い中、屋外でやると演技の傷病者役を寒さから守るためには真剣にラッピングしてあげなくちゃいけません。実際にやってみると、意外と風に煽られて扱いにくいことに気づいたり。
↑風と寒さも大きな問題です
傷病者役として学ぶことも多々あり、きっちりと包んでくれると暖かさが違ったという感想や、いくら包んでもらっても地面と接触している部分から熱を奪われて寒かったという意見も。これらの体験は実際に路上に倒れた人に安楽な状態をサポートする上で貴重な体験となります。
逆に夏場にやったら、天日で60度近くまで熱くなったアスファルトには倒れた状態が続くだけで別の傷害が発生する、ということにも気づけるはず。
つまらないことでも、なるべくリアルな状況で再現することで見えてくるものがあるのです。
なかなか開催場所は限られますが、こうした実践能力を高めるプログラムを今後も開催して行きたいと思っています。