先日参加した日本蘇生科学シンポジウム2015で聞いた話です。
日本において小児の心停止は2%未満で、ごくほんの一部にすぎない。そのため日本の蘇生ガイドラインでは、大人の手順に吸収させたと言っていました。この点は前回のガイドライン2010からの見直しはされませんでした。
ガイドライン策定に携わった小児科医から、PBLSについての解説の場面での話です。
最後に座長からのフォローが少し入りましたが、たった2%であっても、平均余命を掛けたら見過ごせない数字です。
公衆衛生として考えたら、最大公約数である大人の救命法を優先すべきというのはわかります。しかし CPR を学ぼうとする人は、日本国民の寿命統計を上げたいから学ぶわけではありません。目の前にいる人を救いたいのです。
ましてやそれが自分の子どもだったら……
子どもの特性を考慮した小児BLSは重要です。しかし、それを日本で学べる機会は減りました。
市民向けは多少はあっても、医療者向けは皆無です。
ICLSやNCPRはあっても、日常的に接する機会が多い年齢層の子どもの救命を学べるプログラムはありません。
だからこそ、市民教育レベルでも、子どもの蘇生を大人の蘇生と明確に切り分けている米国蘇生ガイドラインの講習プログラムが注目されています。
市民向けならMFAやAHAのハートセイバーシリーズ、医療者向けならAHA-BLS、PEARS、PALS。
子どもの救命をきちんと学ぶには米国のプログラムに頼らなければならない日本の現状。深刻です。