先日、アメリカ心臓協会の蘇生ガイドライン2019アップデートが発表されました。
国際コンセンサス2015以後、ILCORとAHAは5年毎のガイドライン刷新をやめて、データがまとまり次第、その都度、ガイドラインの小改定を繰り返す方針になっています。(日本蘇生協議会JRCガイドラインは従来どおり5年改定の道を選びました)
アメリカの蘇生ガイドラインですから、もちろん英文での発表ですが、その要点をまとめた「ハイライト」が18カ国語に翻訳されており、日本語も含まれています。
ぜひ、下記のAHAサイトからダウンロードして見てみてください。もちろん無料で登録等の手続きなく、誰でもダウンロードできます。
November 2019 Focused Updates
https://eccguidelines.heart.org/circulation/cpr-ecc-guidelines/
上記リンクをクリックして、中段あたりにある”Guidelines Highlights”から日本語(Japanese)を選んで、”View Selection”をクリックするとPDFが表示(もしくはダウンロード)できます。
ダウンロードできる日本語版のハイライトは17ページ。
AHA蘇生ガイドライン2019アップデートで何が変わった?
さて、気になるのは、なにがどう変わったのか? ですが、今回のトピックは次のようになっています。
Highlights of the 2019 Focused Updates include the following:
- Dispatcher-assisted CPR (DA-CPR) for adults and pediatric patients
- Potential role of cardiac arrest centers (CACs)
- Use of advanced airways during CPR
- Use of vasopressors during CPR
- Extracorporeal CPR for adults
- Use of advanced airways during pediatric resuscitation
- Targeted temperature management
- Administration of oxygen to initiate ventilation support for term, near-term and preterm newborns
- Treatment of presyncope
通信指令員による口頭指導の有用性について、薬剤選択の根拠について、気管挿管のタイミングなど、これまでの方向性からは大きくは変わらず、これまで根拠が弱かったところが補強され、推奨に関する語調がはっきりしてきた、という程度のアップデートです。
ACLSやPALS、BLSプロバイダーコースの内容に直接関わる変更はなさそうです。
特に去年あたりから、アドレナリンの効果に疑問を投げかける論文が話題となり、アドレナリンの投与タイミングがもう少し遅くなるのではないかという意見もありましたが、現状のままいきそうです。
新しい点として興味深いのはファーストエイドに関して、失神というトピックが上がっています。
ハートセイバー・ファーストエイドコースでの指導内容にはおそらく変わりはないと思いますが、なかなか興味深いことが書かれているので、ぜひ、ハイライト日本語版を見てみてください。