シミュレーション学習は、
2.振り返る(内省)
の2つのステップで構成されています。
やってみて、うまくできたら、「よくできましたね」と、試験合格みたいな雰囲気で終わってしまう場合がありますが、それでは経験学習は成り立っていません。
シミュレーション教育では、うまくできた、できなかった、は本質的な問題ではありません。
この点を、インストラクターは正しく理解し、受講者をファシリテートしていく必要があります。
適切に行動できた場合の振り返り
うまくできなければ、なにが良くなかったのか? どうしてできなかったのか? という内省に持っていきやすいですが、うまくできてしまった場合はどうするか?
試験であれば、「合格!」の一言で講評を追加すればいいかもしれませんが、やっていることは、シミュレーション学習、つまり経験から学ぶというプロセスであることを区別しなければなりません。
うまく行ったのはたまたまの偶然だったかもしれません。
なぜうまくできたのか? 受講者たちにそこを考えてもらうのがインストラクターの役割です。
なぜうまくできたのかが解析できれば、次にそこに再現性が生まれます。
これがデブリーフィングです。
インストラクターの働きかけを単純化して書くととこんな感じです。
「うまくできてましたね」(承認・ストレスからの開放)
「特にどこがよかったですか?」
「どうしてうまくできたのだと思いますか?」
「学べたことは? 次回やるときはどんな点に注意したらいいでしょうか?」
さらにいうと、受講者にとってはシミュレーションで上手に行動できるのが目的ではなく、臨床現場で救急対応ができるようになるために研修にきています。
となると、経験学習の終着点は臨床現場、受講者それぞれの職場にフォーカスされます。
そこに思いをシフトする一言が、
「いつもの職場のメンバーでやったら、同じようにできると思いますか?」
「(できないとしたら)何が足りないのでしょうか?」
「職場に戻ったら、何をしたらいいでしょうか?」
となります。
以上、シミュレーションのあとのデブリーフィングのコツでした。
インストラクターからの発語は「問いかけ」が中心になるはずです。
講評、ではないのです。