先日、「G2010時代の救急法講習の進め方~指導者ワークショップ」を開催しました。
所属団体問わず心肺蘇生法普及に携わっている人たちが一同に会して学び、情報交換しようという無料のイベント。
連休の最終日だったにも関わらず20名近い人たちが集まってくれました。
最後は put it all together ということで、CPR講習のコースデザインを行うグループワーク。それを参加しなかった皆さんにも共有していただきたく、ご紹介したいと思います。
その課題はざっとこんな感じでした。

今回、ワークショップに参加した人の大半は、AHA BLSインストラクターや、消防の応急手当普及員など、心肺蘇生法普及団体に所属している人たちでした。
恐らく全国的にもCPRインストラクターといえば、団体所属が普通でフリーランスの人はあまりいないはず。
日本の心肺蘇生法講習は厚生労働省の検討会が示した220分という時間目安のせいで3時間コースが大半。大手団体に所属するインストラクターは基本的に3時間でCPRを教えるというスタイルが事実上標準になっています。
ここが第一のシンキング・ポイント。日頃3時間でやっているものを2時間で終わらすにはどうすればいいか?
考え方は色々あります。例えば、
1.マネキンと指導者の数を増やして時間短縮を図る
2.人工呼吸は教えない
3.工夫をした講義時間を減らす
4.講習終了時の目標(ゴール)の設定を変える
こうして、普段はあたりまえと思っている講習の流れを自分で再構築する中で、いろいろ気づくことがあるんじゃないかなというのが主催者側の意図。
その中で自然と心肺蘇生法講習の目的・意図の見直しも行われるはずです。
例えば、3時間でやっている内容を全部を無理やり2時間で終わらせようと思ったらどんなことが起きるか? インストラクターとしての目標は、「心肺蘇生法講習会」という儀式をそつなく終わらせることではないはず。受講した人が技術を身につけて使えるようになること、願わくばそのスキルを長く維持すること、ですよね。
で、あれば受講者のゴールを設定して、講習全体をチューンナップもしくは再構築していく思考が必要となります。
こんなところをグループワークのディスカッションで気づいてもらえたらなと考えていました。
さて、2時間での講習の目標(ゴール)が決まった。次は講習の具体的な進め方を考えていかなくてはいけません。
日頃、自分たちが開催している講習に無駄なことはありませんか?
ありがちなパターンとして、全員の前でメイン・インストラクターが講義+デモンストレーション。そして各マネキンごとのブースに分かれた後、担当インストラクターがまた説明+デモンストレーション。受講者の練習時間は少なくなっていく、、、
デモンストレーションは本当に必要でしょうか?
余談になりますが、午後から行われた「G2010時代の救急法講習の進め方~指導者ワークショップ」の前に、同じ会場で市民向け無料AED講習を開催していました。
そこでの講習の進め方では、インストラクターのデモンストレーションは一切しませんでした。映像教材も使いませんでした。
どうしたかというと、まず受講者さんにやってもらいました。「はい、胸の真ん中に手の付け根を当ててください。そうです、そこです」といった具合に一人の受講者さんを手取り足とり教え、時に「どのようにしたらうまくいくでしょうか?」などと質問を投げかけ、考えながらCPRの流れを行っていただきました。
あまりに見事にさらっと流れてしまうデモンストレーションに比べれば、見劣りするかもしれませんが、やっている受講者さん本人や、見ている他の受講者さんの中に残るものはより鮮やかに印象づくのではないかなと思います。
ありがちな間違いや、注意点なども自然な形で盛り込んで説明が出来ます。
インストラクターによる、お手本となるデモンストレーションは絶対に必要なものなのでしょうか?
それも根本的に考えるべきポイントかもしれません。
ワークショップの課題の解説を、と思いましたが、この調子で書いていくと、かなりの分量になりそうなので、ここでいったん区切ろうと思います。
冒頭に書いた課題には、実にたくさんの要点・落とし穴が隠れています。
しばらく連載の形で紹介していこうと思います。目標は3日おきくらい更新。
どうぞご期待ください。