蘇生ガイドライン2020一覧

蘇生ガイドライン2020ーインストラクターアップデートと暫定コース移行は2月1日まで

先ほど、AHAからメールが来て、新ガイドライン2020に向けての、インストラクターアップデートの指針が示されました。

AHA蘇生ガイドライン2020への移行期限のアナウンス

AHA蘇生ガイドライン2020は、2020年10月21日に発表されますが、それと同時にインストラクター向けのアップデート教材が e-Learning の形で利用できるようになるそうです。

すべてのAHAインストラクターは、2021年2月1日までにこのオンライン・アップデートを完了する必要があります。

また、併せて、

Interim Training Materials will also be available to Instructors and Training Centers through the AHA Instructor Network to show you where to incorporate the new science into your courses until you begin teaching with the new course materials.

と書かれていましたので、新しいテキストやコースDVDが出るまでの、つなぎの「暫定トレーニング教材」もインターネット経由で提供されるようです。

これを使った新ガイドラインコースに移行するまでの期限も、2021年2月1日までとなっています。

 
以上は、恐らく英語教材を前提に設定された期限だと思われます。

これらの資料の日本語化によるタイムラグも問題など、日本での展開については不透明な部分はありますが、思いの外、早く新2020蘇生ガイドライン準拠講習が始まりそうです。


子どもの心肺蘇生法 ー新型コロナウイルス感染疑いの場合

アメリカ心臓協会が発表した COVID-19(新型コロナウイルス感染症)感染対策を盛り込んだ心肺蘇生法のうち、今日は市民向けの小児CPRについて解説します。

こちらは、AHAが公開している “COVID-19 and Child and Infant CPR” というフライヤーを独自に日本語化したものです。(AHAの公式日本語版がでるまでの暫定公開です)

新型コロナウイルス感染症が疑われる子どもへの救命処置

 
もともと米国の市民向け小児蘇生を知っている人からしたら、どこにコロナウイルス対策が入っているんだ? と不思議に感じるかもしれません。これまであったら小児CPRとなんら変わるところがないからです。

成人の Hands only CPR のフライヤーでは、胸骨圧迫をする前に傷病者の口と鼻をマスクや布で覆うという「変更点」がありましたが、こちらにはなにも目新しいところがないのです。

子どもの救命にはやっぱり人工呼吸は外せない

結論からすると、COVID-19への危惧があったとしても、呼吸原性心停止を前提に考える子どもの救命の上では人工呼吸は欠かせない、成人CPRとは違って「人工呼吸は省略する」ことをデフォルトとはできない、との意思を見ることができます。

このフライヤーの中で、唯一、新型コロナウイルス感染への対策が感じられるのが、「あなたにその意志があり、可能であれば」という部分です。

原語では、if you’re willing and able となっています。

 

コロナウイルスに感染しているかもしれない子どもに対して、胸骨圧迫と人工呼吸をやろうとする意思があり、可能であれば、やってください。

(その意思がない、もしくは技術的に物理的に装備的に出来ないのであれば、やらなくてもいいですよ)

 

このかっこの中が本当のメッセージなのですが、それをあえて積極的には明言したくなかった、という姿勢が見て取れると思うのです。

CPRを開始しない場合の対応はどうなるのかというと、フライヤーの STEP 2 の前半部分まで、つまり心停止の可能性を探り、心停止が疑われれば 119番通報 するだけでもやってくださいね、ということになります。

フライヤーのタイトル下にある言葉を見てください。

 

それでも、あなたにできることがあります。
you can still help.

 

結局のメッセージはここなんだろうと思います。

こんなご時世、コロナウイルス感染が怖いから倒れている人には近づきたくない。そんな心理が広がりつつあります。

しかし、一目散に逃げるのではなく、意識状態と呼吸状態を分かる範囲で確認して、懸念があれば119番通報だけでもしてほしい。

それだけでも大きな助けとなるのだ、ということ。

立場によって違う if you’re willing and able

このフライヤーの真意を探る上で、同じく AHA が公開している Community FAQ: COVID-19 and Pediatric CPR (PDF) という資料が参考になります。

これを見ると、子どもの心停止対応の救助者は誰かと言ったら、まずは親や家族が想定されていることがわかります。

我が子であれば、感染リスクを考えるより、救いたいという意思が先に立つのは当然でしょう。

であれば、一律、人工呼吸はしなくてよい、とは書くべきではないのは理解できます。

まったく無関係な第三者であれば、119番通報だけでも、胸骨圧迫だけでも、何かのアクションを起こしてくれば、それは尊いこと。

しかし、これが注意義務を持って対応する職業人だった場合は、もう少し踏み込んだ対応が必要です。

 

if you’re willing and able

 

人工呼吸を含めたCPRをする willing (意思)はあるでしょう。しかし、それが able(可能)かどうか。それはひとえに「準備」にかかっています。

つまり、ポケットマスクやバッグマスクなどの感染防護機能が実証された人工呼吸器具を備えているか、そしてそれを使えるように訓練されているかどうか、ということです。

新興感染症罹患が懸念される今だからこそ、立場によっては【備える】ことが重要です。


気管挿管を優先-COVID-19患者のACLS【AHA新アルゴリズム解説】

ここのところ連日、新型コロナウイルス感染症患者への蘇生法を解説していますが、最後は二次救命処置 ACLS です。

情報ソースは2020年4月9日付で、アメリカ心臓協会のジャーナル Circulation に掲載された Interim Guidance for Basic and Advanced Life Support in Adults, Children, and Neonates With Suspected or Confirmed COVID-19 になります。

新型コロナウイルス感染症患者へのACLSの変更点

COVID-19患者ならびに疑い者向けに改定されたACLS心停止アルゴリズムは下記のとおりです。

新型コロナウイルス感染症患者用に改定されたAHA-ACLSアルゴリズム

黄色いボックスが追加された他、太字で下線がついた箇所が変更された部分です。

日本語はBLS横浜の独自翻訳です。AHA公式のものではありませんが、AHA公式日本語版がでるまでは、高解像度で印刷可能なPDFファイルもダウンロードできるようにしておきます。

気管挿管の優先度が上がった

Prioritize oxygenation and ventilation strategies with lower aerosolization risk.

新型コロナウイルス感染症対策として、ACLS変更の最大のポイントは、気管挿管を優先するようになった、という点でしょう。

もともとACLSにおいては、バッグマスク換気が有効に行えていれば、気管挿管は急がないというスタンスでしたが、準備でき次第、カフ付きの気管チューブで気道を密封することを推奨しています。

なるべく早く閉鎖回路内での呼吸にすることで飛沫リスクを減らそうということです。

これまでは、蘇生中に挿管するとしてできるだけ胸骨圧迫を中断しないようにという点が強調されていましたが、今回は逆に「挿管のために胸骨圧迫を止める」ことが明示されています。

胸骨圧迫を続けたら、圧迫によって口から呼気が吐き出されて飛沫感染のリスクが高いというのは想像に難くありません。

気道のシール性でいったら、カフ付きの気管チューブが望ましいわけですが、挿管困難が予想される場合などは、声門上器具(ラリンジアルマスク等)も含めて、1発で決まるような器材を選ぶようにと書かれている点も興味深いです。

その他、HEPAフィルターをつける等、回路の閉鎖性とフィルタリングについても注意喚起されています。

蘇生に関わる人数を制限する

COVID-19患者の蘇生に携わる人は感染リスクにさらされているわけですから、その人数は少ないに越したことはありません。

そこで Lucas や AutoPulse のような機械的胸郭圧迫装置(MCCD:mechanical chest compression device)の積極的な使用を考慮するように書かれています。

機械的胸骨圧迫装置LUCASルーカス

本当に蘇生を開始するのか? 続けるのか?

Consider the appropriateness of starting and continuing

ということで、蘇生の開始と継続の適切性を検討するようにと言われています。

ステートメントの中で言われているのは、

  • 蘇生活動によって他の患者へのケアが手薄となる
  • COVID-19患者の心停止の転帰はまだ不明であるが、重症のCOVID-19患者の死亡率は高く、年齢や基礎疾患、特に心血管疾患の増加に伴って死亡率は増加する

そこで、COVID-19患者の蘇生の適切性を判断する際には、患者の状態だけではなく、他の患者へのリソース配分も考えるようにと記されています。

その他

上記の新しいアルゴリズムを見ると、抗不整脈薬としてアミオダロン以外にリドカインが載っている点も、皆さんのお手元にあるACLSプロバイダーマニュアルG2015とは違っている部分です。

ただ、これは COVID-19 患者だから、というわけではなく、2018年のACLSガイドラインアップデートで変更された部分です。

G2015以降は、AHA と ILCOR は5年毎の改定をやめて、その都度の小改定を繰り返す方針に転換しました。(日本のJRCガイドラインは従来どおり5年毎の改定としています)

2018年のACLSガイドライン変更については、下記のブログ記事をご参照ください。

→ AHA ACLS/PALSガイドライン2018アップデート

その他、COVID-19対策としてのBLSアルゴリズムと市民向け Hands only CPR に関する変更点の解説は下記記事をご参照ください。

→ コロナ感染疑い成人患者へのBLS 変更点の解説

→ 傷病者の口と鼻を覆ってから胸骨圧迫する【コロナ対策のCPR】


コロナ感染疑い成人患者へのBLS 変更点の解説

2020年4月9日付で、アメリカ心臓協会の機関誌 Circulation に、Interim Guidance for Basic and Advanced Life Support in Adults, Children, and Neonates With Suspected or Confirmed COVID-19 というステートメントが掲載されました。

コロナウイルス感染症(COVID-19)患者や、その疑いがある人への心肺蘇生法をどうしたらいいのか、という点で、新しい心停止対応アルゴリズムが公開されています。

 
今回は医療従事者向けの成人BLSアルゴリズムの変更点を解説します。(ACLSについては後日取り上げます

一般市民のバイスタンダー対応については、昨晩アップした 「傷病者の口と鼻を覆ってから胸骨圧迫する【コロナ対策のCPR】 」 をご覧ください。

コロナウイルス感染疑い患者への【成人BLS】の変更点

ご存知のAHA-BLSアルゴリズムに、下記のように変更が加えられています。

新型コロナウイルス感染症疑い患者へのBLSの変更

太字で下線がついた部分が変更された箇所です。

日本語はBLS横浜の独自翻訳です。AHA公式のものではありませんが、AHA公式日本語版がでるまでは、高解像度で印刷可能なPDFファイルもダウンロードできるようにしておきます。

1.PPE装着と人員制限

傷病者に取り付く前の安全確認。ここに感染防護具PPE装着も含まれています。今までアルゴリズムとしては記載がなかったところがはっきり明記されるようになりました。(ファーストエイドを学ばれた方にとっては常識だったかもしれません)

業務中のプロであれば備えがありますよね?

少なくとも手袋は必須。昨今であれば業務中はマスクはしているでしょうからいいとして、もうひとつほしいのはアイシールド。目の粘膜からもウイルスは体内に侵入します。

特に人工呼吸担当者は吐息を浴びる可能性が否定できず、目からの飛沫感染リスクが高くなります。

目を保護できないうちは、この点に留意。

BLSアルゴリズムでは明記はされていませんが、市民向けの Hands only CPR のフライヤーによると、胸骨圧迫開始前に傷病者の口と鼻を覆うようにマスクを装着させるか、布でカバーしておくように書かれています。

 

また人員制限というのは、蘇生に関わる人数を減らして、病院組織としてのリスクヘッジをしようという話です。

BLSアルゴリズムには記載されていませんが、ACLS領域の変更点では、機械式の胸骨圧迫装置(LUCAS や AutoPulse 等)の使用が推奨されているのも、蘇生に関わる人を減らして交差感染リスクを少なくするための配慮です。

新型コロナウイルス感染症患者との接触者人数を減らすために機械式胸郭圧迫装置の使用が推奨

2.人工呼吸はバッグバルブマスクで

今まではBLSプロバイダーはその職域に応じて、ポケットマスクやフェイスシールドなどの呼気吹き込み式の人工呼吸も許容されていましたが、新型コロナウィルス感染対策としては、バッグマスク使用に1本化されました。

一方向弁がついたポケットマスクも推奨されない、ということです。

新型コロナウイルス感染症患者にはポケットマスク人工呼吸は推奨されない

3.バッグマスクが使えない場合は受動換気による酸素化

バッグマスクがない、もしくはバッグマスク換気ができない場合は、成人傷病者には人工呼吸はしない、というのが基本方針。

しかし組織細胞の酸素化という救命の基本からしたら、ヘルスケアプロバイダーとしては人工呼吸をしないという選択肢はありえないわけで、苦肉の策としては受動換気による酸素化が浮上してきました。

これは気管挿管を前提で米国アリゾナ州の救急隊員向けプロトコルとしては昔から知られていたやり方ですが、胸骨圧迫による肺の圧縮・拡張効果で受動的に空気の出入りするのに期待しようというもの。

具体的にいうと、非再呼吸式の酸素マスク(リザーバーマスク等)で酸素を流しながら、胸骨圧迫のみを続けるということになります。

アルゴリズムの上では記載はありませんが、舌根沈下等で気道閉塞が起きていたら意味がありませんので、経鼻/経口エアウェイを挿入した上で実施すべきかもしれません。

なお、このやり方は成人BLSのみの適応です。今日は解説しませんが、小児・乳児のBLSでは、受動酸素化は推奨されておらず、バッグマスクによる陽圧換気が必要とされています。

これらは暫定ガイダンス

詳しくは冒頭にリンクした Curcuration 誌の本文をご覧ください。英文ですが、それほど長くはありませんし、無料PDFで全文読めます。

タイトルのとおり、この内容は Interim Guidance であり、この先、さらに変更・改善されていくかもしれません。

情報が刻々と刷新されていく新型コロナ関連ニュース、ぜひ最新情報を追いかけるようにしてください。


BLS/ACLS/PEARS-G2020講習はいつから?

熱心な方はすでに気にしているかもしれない蘇生ガイドラインの改定。

これまで通りであれば5年ごとにアップデートされていますから、次の2020年の改定はいつか? と気になっている方もいるかと思います。

実は、国際蘇生連絡協議会ILCORならびにアメリカ心臓協会AHAは5年毎のガイドライン一括改定はすでに廃止していて、テーマごとに見解がまとまり次第、小改定を繰り返すという方向にシフトチェンジしています。

なので、AHA蘇生ガイドラインに関して言えば、2017年、2018年、2019年とガイドラインアップデートが発表されています。

2017 Focused Updates ハイライト・・・BLSに関する小改訂

2018 Focused Updates ハイライト・・・ACLS/PALSに関する小改訂

2019 Focused Updates ハイライト・・・BLS/ALS/ファーストエイド小改訂

  ↑ 改定の要点をまとめた ハイライト日本語版(PDF) にリンクしています

教材改定は(おそらく)引き続き5年毎

蘇生ガイドライン改定の方向性はすでに概ね見えている状態です。

上記の勧告では、現行のプロバイダーコースに加える修正はない、ということになっていますが、2020年以後に改定される新教材(便宜上G2020教材と表記します)ではどのように反映されるのかは未知数です。

気になるG2020新教材(プロバイダーマニュアルやDVD)のリリース時期の予想は下記のとおりです。(G2015版テキスト発行日データから推察)

英語版 G2020 AHAプロバイダーコース教材 発売予想時期

  • 2020年10月 AHA Guideline 2020 update
  • 2021年2月 BLS Provider
  • 2021年3月 ACLS Provider
  • 2021年4月 Heartsaver® First Aid CPR AED
  • 2021年9月 Heartsaver® Pediatric First Aid CPR AED
  • 2021年10月 PALS Provider
  • 2022年8月 PEARS® Provider

以上はオリジナルの英語版プロバイダーマニュアルの発売時期予想です。

翻訳版である日本語テキストの発売はもう少し後になります。

日本語版 G2020 AHAプロバイダーコース教材 発売予想時期

  • 2021年8月 AHA蘇生ガイドライン2020アップデート
  • 2021年9月 BLSプロバイダー
  • 2022年5月 ハートセイバーCPR AED
  • 2022年7月 ACLSプロバイダー
  • 2023年1月 PALSプロバイダー
  • 2023年7月 PEARS®プロバイダー

日本のITCの場合は、日本語教材が出てからのコース移行になりますので、G2020正式講習が始まるのは2021年の秋頃ということになりそうです。(それまでの間に、もしかしたら以前のように旧G2015教材に補助資料をつけてつなぎの 暫定G2020講習 interim Course が設定されるかもしれません。)

日本全国の講習が完全移行するのは半年後以降

これらの日付はあくまでもプロバイダーマニュアルの発売時期です。

前回の改定の場合、受講者テキストは発売されたのにインストラクターマニュアルの翻訳やDVDの発売が遅れたせいで、新しいテキスト、でもDVDは古いまま、という現象も起きていました。

また講習を主催するインストラクター側の準備もありますので、G2020新コースが安定して開催されるのは上記の日程の数ヶ月後と思ったほうがいいと思います。

なお、AHAルール的には、新教材が出てから半年後までは移行期間とされるケースが多いです。

つまり、プロバイダーマニュアル、インストラクターマニュアル、DVDがすべて揃ってから、半年経てば、日本全国どこで受講してもG2020新コースに移行している、と思っていいでしょう。

BLS横浜のガイドライン2020コース移行目処

BLS横浜は、米国ハワイ州のトレーニングセンターと提携している関係で、米国のルールが適応されます。

仮に日本語教材が出ていなくても、米国内の完全移行リミットで旧2015版講習は開催できなくなります。

そのため、日本の方には不便はおかけしますが、正式日本語版の出版を待たず、英語DVDに日本語補助を加えた形で、新ガイドライン2020講習に移行するつもりでいます。

BLSとACLSに関しては、英語教材が出てから2ヶ月以内の日本初開催を目指して、準備をしていくつもりでいます。

今後も蘇生ガイドライン2020に向けての最新情報はこの ブログ ならびに ホームページTwitterFacebook でお伝えしていきます。


AHA蘇生ガイドライン2019アップデートが公開されました

先日、アメリカ心臓協会の蘇生ガイドライン2019アップデートが発表されました。

国際コンセンサス2015以後、ILCORとAHAは5年毎のガイドライン刷新をやめて、データがまとまり次第、その都度、ガイドラインの小改定を繰り返す方針になっています。(日本蘇生協議会JRCガイドラインは従来どおり5年改定の道を選びました)

アメリカの蘇生ガイドラインですから、もちろん英文での発表ですが、その要点をまとめた「ハイライト」が18カ国語に翻訳されており、日本語も含まれています。

ぜひ、下記のAHAサイトからダウンロードして見てみてください。もちろん無料で登録等の手続きなく、誰でもダウンロードできます。

 

November 2019 Focused Updates
https://eccguidelines.heart.org/circulation/cpr-ecc-guidelines/

 

上記リンクをクリックして、中段あたりにある”Guidelines Highlights”から日本語(Japanese)を選んで、”View Selection”をクリックするとPDFが表示(もしくはダウンロード)できます。

AHA蘇生ガイドライン2019アップデート「ハイライト日本語版」のダウンロード

ダウンロードできる日本語版のハイライトは17ページ。

AHA蘇生ガイドライン2019アップデートのハイライト

 

AHA蘇生ガイドライン2019アップデートで何が変わった?

さて、気になるのは、なにがどう変わったのか? ですが、今回のトピックは次のようになっています。

Highlights of the 2019 Focused Updates include the following:

  • Dispatcher-assisted CPR (DA-CPR) for adults and pediatric patients
  • Potential role of cardiac arrest centers (CACs)
  • Use of advanced airways during CPR
  • Use of vasopressors during CPR
  • Extracorporeal CPR for adults
  • Use of advanced airways during pediatric resuscitation
  • Targeted temperature management
  • Administration of oxygen to initiate ventilation support for term, near-term and preterm newborns
  • Treatment of presyncope

 

通信指令員による口頭指導の有用性について、薬剤選択の根拠について、気管挿管のタイミングなど、これまでの方向性からは大きくは変わらず、これまで根拠が弱かったところが補強され、推奨に関する語調がはっきりしてきた、という程度のアップデートです。

ACLSやPALS、BLSプロバイダーコースの内容に直接関わる変更はなさそうです。

特に去年あたりから、アドレナリンの効果に疑問を投げかける論文が話題となり、アドレナリンの投与タイミングがもう少し遅くなるのではないかという意見もありましたが、現状のままいきそうです。

新しい点として興味深いのはファーストエイドに関して、失神というトピックが上がっています。

ハートセイバー・ファーストエイドコースでの指導内容にはおそらく変わりはないと思いますが、なかなか興味深いことが書かれているので、ぜひ、ハイライト日本語版を見てみてください。


AHA ACLS/PALSガイドライン2018アップデート

先日、アメリカ心臓協会のACLSとPALSのガイドラインがアップデートされました。

あれ? ガイドラインって5年毎の改定じゃなかったっけ?

という方がいるかも知れませんが、2015年の改定以後は、5年毎ではなく、改定事項がまとまれば、その都度、こまめにアップデートする方針に転換しました。(参考まで、日本のJRCガイドラインは引き続き5年毎に改定するというスタンスを取っています。)

今回のガイドラインで変わったこととといえば、抗不整脈薬としてリドカインが復活したことです。

除細動が必要な心停止のアルゴリズムでは、2回目の電気ショックでもVFかpVTが続いた場合は、抗不整脈薬としてアミオダロン300mgの投与が推奨されていました。

これに対して2018 updateではリドカイン1~1.5mg/kgでも構わないとする記載が、アルゴリズム図上に追加されました。

まあ、なんてことはありません。表記上、G2005時代に戻っただけです。

もともとはガイドライン2005時代には、抗不整脈薬は何種類かの選択肢があったんです。それが、ガイドライン2010の改定で、アミオダロンの推奨レベルが上がって、アルゴリズム上の記載からはリドカインが消えました。

しかし、日本ではアミオダロン(アンカロン)がそこまで一般的な薬ではなかったので、G2010以降も臨床的には引き続きリドカインを使用していたケースも多かったと思います。

実際のところ、ガイドライン2015になっても、引き続きアミオダロンの代わりにリドカインの考慮してもよいという点も記載されていました。ですから、今回のアップデートがあっても、臨床的にはなんら変わるところはないのではないでしょうか?

 

今回、大規模試験により、リドカインのROSC率と生存入院率を向上させることが確認されたため、正式な推奨表記にリバイバルしてきたという次第です。

 

 

その他、今回のアップデートで、マグネシウムやROSC後の抗不整脈薬の使用についても記載がありましたが、結論としては従来からの変更はありませんので、ここでは触れません。

 

 

さて、皆さんが気になるのは、ACLSのテキストが改定されるの? いま、買って大丈夫? 待ったほうがいい?

ということだと思いますが、この点は心配いりません。
ACLSプロバイダーコースで使用する教材(DVD、テキスト等)は変わりません。

この点は、AHA公式のFAQでもはっきり書かれていたので大丈夫です。ご安心ください。

 

今回のアップデートの要点をまとめたハイライトが、公式日本語版としてPDFでリリースされています。

心肺蘇生と救急心血管治療のためのガイドラインの成人/小児の二次救命処置に対する重点的アップデート2018表紙

American Heart Association
心肺蘇生と救急心血管治療のためのガイドラインの
成人/小児の二次救命処置に対する重点的アップデート2018

(PDF)

 

 

その他、細かい原著情報は、AHA公式の専用ホームページ からたどってみてください。

 

 

ACLS/PALSの講習内容としてはほとんど変わりはありませんが、BLS横浜としては、講習用に新しい心停止アルゴリズムのポスターを制作しようと思っています。

 

BLS横浜 ACLSプロバイダー【1日】コース 

11月29日(木) 熊本
12月20日(木) 川崎
1月16日(水) 横浜

12月3日(月)の横浜コースは締め切っていますが、復習参加やチームメンバー参加(無料)は引き続き、参加者募集中です。

詳細 → ACLSプロバイダー【1日】コース