ファーストエイド一覧

ファーストエイドのシミュレーション

昨日は、久々の開催となるハートセイバー・ファーストエイドコースでした。
 
心停止以外のあらゆる急病やケガへの対応を学ぶ米国労働安全衛生局(OSHA)規格のプログラム。
 
BLS横浜では、部分的にシミュレーション・トレーニングを取り入れて、救急対応を「しっかり学びたい人」向けの展開を行っています。
 
ファーストエイドは、失神への対応、やけどの対応、など、ミクロな視点でいくと、内容があまりに膨大すぎてとても覚えきれるものではありません。
 
そこで、「呼吸、循環、神経系」という生命維持の3大要素と、優先順位の考え方という原点に、すべての処置を帰着させることを強調した展開を行っています。
 
ハートセイバー・ファーストエイドのDVDでも、どの処置を見ても最後は「CPRの必要を確認する」となっています。これは結果的には、反応と呼吸の確認を常に行うことの必要性を言っています。
 
いわゆるファーストエイド処置は、実は行っても行わなくても生命という点ではそれほど重要な問題ではありません。どんな状態からでも、いつでも心停止に移行してしまうという可能性を意識してCPRに備えるというのが、根底にあることを忘れてはいけません。
 
例え軽症に見えたとしても、もしこの人が命を落とすとしたらどんな経路を取るか? それを想像しつつ、いつも最悪に備えて監視するというのがファーストエイドの本質です。
 
 
ファーストエイドコース終了後に1時間半ほどかけて行った複合シミュレーションでは、ありがちな落とし穴をたくさん仕込んでいたのですが、皆さん、そこには引っかからず、命に関わる優先順位の高い問題に着目して行動していたのが印象的でした。
 
意識障害と呼吸障害の両方があった場合、どっちを優先した対応を考えるか?
 
ケースバイケースで明確な答えを示すことは難しい状況でも、どこに原則を置いて考えるか、というノンテクニカルな思考の部分が少しでも伝わったのかなという、手応えが嬉しい講習会でした。
 
ご参加いただいた皆様、傷病者役としての迫真の演技、またシミュレーション後の活発な意見交換、ありがとうございました。
 
インストラクターも含めて、学びの多い8時間でした。
 
 
 

 
 

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幼稚園での「小児BLS&エピペン」研修

先日、幼稚園で「小児BLS&エピペン」研修を担当させていただきました。園の教職員ほぼすべての20名が参加してくださり、小児マネキンとポケットマスクを使った子どもの蘇生法とエピペンで2時間半で。
 

小児マネキンとポケットマスク

 
施設内の研修ですから、現実に即して日頃AEDが置いてある場所まで走って取りに行ってもらいました。ポケットマスクも現実的には日頃持ち歩くものではないので、まずは胸骨圧迫でCPRを開始して、AEDが到着したらポケットマスクで人工呼吸を開始、という流れで練習をしていきました。
 
講習会場で行う公募講習と違って、施設への出張講習では、シチュエーションを具体的に限定したトレーニングを行えるのが強みです。
 
エピペン研修では、BLS横浜得意のシミュレーション訓練で、119番通報の具体的なやり取りや、救急車の侵入経路の検討など、園としての救急対応全般について、全職員で同じ認識を持つことができました。
 
幼稚園や保育園、学校での救急法は個人技能ではありません。
 
システムとしての対応という視点が必要です。
 
救急法トレーニングは園を上げて行う防災訓練。
 
そんなメッセージが伝わったと確信を持てる感想を園長先生からいただけたのは、救命法インストラクターとしての喜びでした。
 
 
 

 
 

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喉に物が詰まったときのファーストエイド【反応なしの場合】のメカニズム

ガイドライン2015のAHA-BLS講習で変わったところといえば、蘇生科学の解説が丁寧で詳細になったというところです。
 
旧G2010版ではハートセイバーコースにしか入っていなかった死戦期呼吸や心室細動の動画も盛り込まれましたし、古典的手技とも言える窒息解除についても、初めてそのメカニズムの説明が載りました。
 
ハイムリック法(腹部突き上げ法)で気道異物が解除できずに意識を失った場合は、「胸骨圧迫からCPRを行う」のが正解ですが、その理由が明かされています。
 

airway-obstraction.jpg

 
意識を失うと気道も含めて筋弛緩するため、隙間ができる可能性がある。そこに胸骨圧迫で間欠的に陽圧をかけることで異物が口腔内に押し出させる可能性がある。だから30回の圧迫を先に行い、そのあと口腔内を確認してから人工呼吸を行う。
 
このあたりはインストラクターでも知らない人が多かった印象がありますが、G2015ではプロバイダーレベルでの常識になりますね。
 
 


JRC蘇生ガイドライン2015-「ファーストエイド」策定の内情

今日、博多で開かれた日本蘇生科学シンポジウム(J-ReSS)に参加してきました。
 
ガイドライン2015発表後、最初のJ-ReSSだけに、ガイドライン2015の解説というのがメインテーマ。JRC2015の各章の共同座長の方たちが、ガイドライン改訂のポイントを説明してくれました。
 
中でも注目したのは、最後のファーストエイドについてです。
 

J-ReSS 日本蘇生科学シンポジウム in 博多

 
ファーストエイドという項目は、JRCガイドラインとしては今回初めて登場した章立てです。
 
すこし事情は複雑なのですが、AHA&ARCガイドラインとしては以前からファーストエイドがありましたが、今回の2015からCoSTR(国際コンセンサス)に格上げとなり、それにともない、日本版ガイドラインにも入ってきた内容です。
 
BLS横浜としては、日本語化されるまえにG2005時代からAHAのファーストエイドコースを手がけていますので、すっかりお馴染みの内容ではあるのですが、日本の応急手当の常識からするとかなり過激な内容となっています。
 
エピペン注射、アスピリン投与、止血帯、薬剤剤配合の止血包帯など、医療資格を持っていない人に求めるにはあまりに高度な内容。
 
日本版ガイドラインになるときには、CoSTRの内容がどれだけ日本国内事情に合わせてアレンジされているのかと注目していましたが、そのほとんどは、CoSTRやAHAガイドラインと同じで、ホントにこれで大丈夫なの??? と、クェスチョンマークが3つ4つ並んでもおかしくないくらいの内容でした。
 
なにかの間違いじゃないかと思っていたのですが、今日、ファーストエイド担当者の話を聞いて大いに納得。
 
結論からいうと、日本版のファーストエイドガイドラインとしては、「整備する時間がなかったから、CoSTERの忠実な翻訳に徹した」というのが真相とのこと。
 
詳しい事情はわかりませんが、CoSTERのファーストエイドの内容をもとに、日本版ファーストエイドガイドラインを策定するための時間が4ヶ月しかなかったそうです。
 
まったく新しい内容でもあり、作成者もファーストエイド教育への造詣があったわけではないようで、今回は「CoSTRをできるだけ忠実に翻訳することを目標とした」(発表スライドより)という点が明かされました。
 
内容を練ることが出来なかったため、明らかに不適切な部分は削除し、日本の事情に合わない部分は注釈を加えることで、どうにか発表日に間に合わせた、というのが今回のJRCガイドライン2015のファーストエイドです。
 
そう言われれば、なんとか納得できるかもしれません。
 
前回のJRCガイドライン2010のドラフト版もそんな感じだったなと思い出す方も多いかもしれません。
 
BLSやALSとは違って、今回からスタートしたJRCファーストエイドガイドライン。次回、5年後には日本らしさも入った本当のファーストエイド元年になることを願います。
 
 

 
 
 

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JRCガイドライン改定-国際水準のファーストエイドがついに日本に!

明日はひさしぶりにハートセイバー・ファーストエイドコースを開催します。
 
ガイドライン2015が発表になって、日本で大きく変わった点といったら、やっぱりファーストエイドでしょう。
 
今回はじめて日本版ガイドラインにもファーストエイドの章が新設されました。これでようやく日本でも国際水準のファーストエイド文化がスタートすることになります。
 
この点、米国ガイドラインでは、少なくとも2005ガイドラインの時点で、ファーストエイドの基準を示していました。2010年では、ファーストエイド国際会議(ILCORとは別組織)を経て、ファーストエイド国際コンセンサスを策定、それを元にファーストエイドガイドラインを打ち出していました。
 
G2005時代には、日本でも「救急蘇生法の指針2005」の中では、ファーストエイドの項目があり、そこには米国版ファーストエイドガイドラインがほぼそのまま踏襲されて載っていたのですが、なぜか2010ガイドライン準拠の「救急蘇生法の指針2010」では、ほとんどアップデートされることなく、国際ファーストエイドガイドラインは無視した形になっていました。
 
というのは、ファーストエイド項目は、ILCOR(国際蘇生連絡協議会)の俎上には採択されず、国際応急処置学術審議会(International FirstAid Science Advisory Bord)という別の学術会議での扱いとなっていたからです。
 
一方、米国では、BLS/ACLS/PALS/NRPに関してはILCOR会議を経たものを、そしてファーストエイドに関しては国際応急処置学術審議会のコンセンサスをもって、AHAガイドライン2010を作成、その中には第12章としてファーストエイドが含まれていました。
 
今回、ファーストエイドの必要性が国際的に再認識されて、ILCOR審議にファーストエイドが乗りました。しかしそこで取り上げられるトピックは基本的に前身である国際応急処置学術審議会(International FirstAid Science Advisory Bord)の内容を踏襲していますので、以前からファーストエイド・ガイドラインを採用していた米国では、比較的マイナーチェンジだったと言えるでしょう。
 
G2005はともかく、G2010をスッポ抜かして、今回初めて公式初採択とした日本では、ファーストエイドの認識がガラリと大きく変わったといえます。
 
ということでファーストエイド・ガイドライン改定に関する温度差は日米では相当違うものであろうと想像できます。
 
 
さて、日本のファーストエイドはG2005で止まったままでした。しかし、アメリカ心臓協会のガイドラインは日本語訳されていますし、国際ファーストエイド・コンセンサスに基づいた、ハートセイバー・ファーストエイドコースも完全翻訳されて日本で細々とながら展開されていましたから、米国基準で学んでいたファーストエイド・プロバイダーにとって、それほど目新しい話はないかもしれません。
 
 
 
もし、今回はじめて国際的なファーストエイド・ガイドラインの概念に触れて、これまで日本で考えられていた応急手当の範囲を大きく越えた応急処置の考え方を知った方にとっては、G2010版のハートセイバー・ファーストエイドマニュアルから学んでみることをお勧めします。(最新の日本語情報はまだまだ限定的ですので)
 
多少、変更されたところもありますが、
 
・気管支拡張剤の使用
・アドレナリン自己注射器の使用
・胸部症状へのアスピリン投与
・止血帯(特に軍用ターニケット)の使用
・低血糖症状への糖分補給
 
など、既存の日本の応急手当の概念からは驚くようなトピックスを含んだ内容について俯瞰することができると思います。
 
G2015版のAHAファーストエイドコースができるのは、予定では2016年1月頃(英語版)です。
 
日本もガイドラインに従ってファーストエイド教育を始めるのかもしれませんが、これまでの内容とはガラリと変わるために、カリキュラム策定には相当時間がかかることが予想されます。またなにより指導員育成がネックとなるのではないかと考えられます。
 
いままでは、ハートセイバー・ファーストエイドコースは、あくまで米国基準だったため、日本国内での適応が難しい部分がありましたが、今後は、この差はぐっと小さくなります。
 
今後は、
 
ファーストエイドを学ぶならハートセイバー・ファーストエイドコースで!
 
と、強く言える時代になるのではないでしょうか。
 
 

 

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ファーストエイド講習で学ぶこと|【知識ではなく考え方】

先日開催した、ハートセイバー・ファーストエイドコースにご参加頂いた方から感想のメールを頂きました。ご本人様の了承を頂き、一部をご紹介させていただきます。
 
今までは、講習の中でもおっしゃっていたように、傷病名ありきの対応で学んでいたので、実際現場では応用がきかないなと感じていました。今回の講習で、シュミレーションから知識と行動がともなわずこんなにも何もできなくなるのかと自分の状況を実感することができましたし、また、何を優先にして考え対応していけばいいのかを、繰り返し伝えてくださったので、そのことが感覚としてわかったのがものすごくよかったです。
 
 
ファーストエイド(応急処置)講習は、とかく病名やケガの羅列になってしまい、雑多な知識の押し付けで終わってしまいがちです。
 
そんな情報の海の中に一本筋を通すのが大切かなと思ってコース進行しています。
 
枝葉に目を向けると難しい印象のファーストエイドですが、幹に着目すれば、意外とシンプル。どんなケガや病気であれ、それが原因で命を落とすとしたら、原因はなにか? 人が生きる仕組みの破綻という視点や、酸素の流れで考えていくとわかりやすいです。
 
ファーストエイドは病名当てクイズではありません。幅広い知識がなくても、エッセンスさえ抑えておけばどんな場面でも、考え、行動できるようになります。
 
そこに気づき、納得し、考える姿勢を学べるのがシミュレーションという経験型の学習です。
 
ファーストエイド講習では、知識ではなくそんな「考え方」を、なるほどと思って体感してもらうことが最大の目的かなと思っています。
 
 

 
 
 

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窒息対応ホントにできますか?【シミュレーションでわかること】

窒息解除法といえば、救命講習の中でも定番で、度重なるガイドライン改訂でもほとんど変わらない古典的な技術です。
 
一般の救命講習でも、ほぼ必ず扱っている内容なので、なにをいまさらと、感じる方もいるかもしれません。(特に指導員は)
 
しかし、訓練方法を変えて、シミュレーションベースでやってみると、様相は一変します。
 
 
誰もできない、のです。
 
 
日頃救命法の指導員をしているような人でも、セオリー通りに動ける人は、ほとんどいません。
 
 
こうした現状を見ると、しばしばニュース報道でも見るような、現実の気道異物窒息事故で適切に行動できなかったのは仕方ないことなのかなという気にもなります。
 
 
 
ということで、BLS講習や救命講習を手がけている方は、ぜひ窒息解除法のシミュレーションを講習の中に含めることをお勧めしたいです。
 
特別な道具は必要ありませんし、時間もほとんどかかりませんから。
 
 
 
私達がやっている窒息解除のシミュレーションのポイントは、
 
1.テーブルの前に椅子に座った状態
2.苦しがる演技(できれば派手目に)
 
です。
 
演技の迫真さ(?)が大切ですので、傷病者役はインストラクターがやっています。
 
 
受講者の中で誰か一人に第一発見の救助者役をやってもらいます。
 
腹部突き上げや背部叩打は”振り”だけで、力を入れないようにお願いしておきます。しかし、それ以外のことは本気でやってほしいことも。
 
その他の受講者はその場に居合わせた通りすがりの人ということにしておいて、なにか頼まれたら、嫌でなければ協力してもらうことにします。(拒否するというハプニングのシミュレーション的にはアリです)
 
そんなブリーフィングをしてから、職場の食堂などで食事中に喉にものを詰まらせたという設定で、インストラクターが気道完全閉塞の演技をはじめます。
 
そこで救助者は教わったとおり、腹部突き上げ法(ハイムリック法)や背部叩打法をしようとしますが、問題となるのは傷病者の姿勢です。
 
椅子に座った状態でどうやって、腹部突き上げ法や背部叩打法を実施するか?
 
そこでとまどう方が多いです。
 
教わったはずの立位の姿勢でないために、どうしたらいいかわからなくなってしまうのです。
 
 
助け舟を出す場合は、窒息介助の手順を思い出してもらいます。
 
いきなり背中を叩いたり、お腹を押したりはしないですよね?
 
まずは状況評価と救助の宣言。
 
「詰まったんですか? 今から助けますね」という事になってましたよね?
 
この時に、座ったままで背部叩打や腹部突き上げ法がしにくいようであれば、立ちあがってほしいという旨を伝えればいいわけですね。
 
もしくは自分が膝をついて傷病者の腹部圧迫を行うというのも手です。
 
肘掛けがある椅子の場合や、老人ホームの設定で車いすの場合は、自分で立ってもらうのも困難で、座位での腹部突き上げも難しければ、座ったまま出来る方法として、背部叩打法ということになるでしょう。
 
 
つまり、チョーキングチャーリー(窒息介助練習専用マネキン)相手に腹部突き上げや背部叩打の技術(テクニカル・スキル)を練習しても、問題となるのはその手前のノン・テクニカルな部分が重要な鍵だということです。
 
 
 
 
シミュレーションの中では、背部叩打や腹部突き上げ法だけでは終わらせません。ファーストエイドの基本は常に最悪の状態を想定すること。つまり、そのまま意識を失う演技を続けます。
 
意識を失うタイミングは、現実の時間で言うと1分~2分の間くらいです。
 
窒息解除法は意識(反応)がある場合とない場合でやり方が違ってきます。そこをきちんと認識して対応できるか、というのも、このシミュレーションのポイントです。
 
市民向け講習の中には、意識消失した場合の対応をきちんと教えていない講習もあるようですが、反応がなくなった場合は、床に寝かせて胸骨圧迫からCPRを開始するのが国際コンセンサス。
 
それがわかっていても問題となるのは、どうやって椅子から床に下ろすのかという点です。
 
ここで固まっていたり、試行錯誤しているうちに平気で数分が経過してしまいます。
 
人が息を止められるのは何秒か? そんなことを考えるとこの時間の遅れの重大さがよくわかると思います。
 
シミュレーションで学んでほしいのは、窒息介助は時間との戦いであるという点です。
 
この点と合わせて通報をどのタイミングで誰が行うかというのも問題です。
 
このあたりを受講者全員でディスカッションして、考えられるといいですね、
 
 
やっていることはあくまでもシミュレーションであって、リアルな現場ではありません。
 
シミュレーションゆえにどこまで本気になっていいかわからないからこそ、うまく行かなかったという部分もあるとは思います。
 
しかし心肺蘇生法の国際コンセンサスCoSTR2010のEIT(教育、実行性、チーム)の章でも明記されているように、いざCPRができなかった最大の要因は「パニックになった」という点です。
 
あたまが真っ白になる。それはリアルな現実でも起きることです。
 
知っているはずの技術がいざというときに使えないという現実をシミュレーションで知ることで、本当に動けるためには何が必要なのかが見えてくるはずです。
 
窒息解除もCPRとおなじで、決して難しい技術ではありません。
 
しかし、それはお作法をこなすだけの講習では使えるレベルでは身につかないという現実を直視すべきです。
 
ほんのすこしだけ踏み込んで、5分程度でできるシミュレーションを取り入れることで、受講者意識は劇的に変わるはずです。
 
せっかくの学びの時間をムダにしないために、、、、
 
ぜひ、指導法を検討してみてください。
 
 


喉にモノが詰まったときの対応【気道異物による窒息の解除法】

喉にモノが詰まったときの解除法の基本は、咳をするように促すこと。
 
自分で咳ができない完全閉塞なら、下の方を向かせて背中を強く叩いてあげましょう。
 
ダメだったら、詰まった人の後ろに回って、両手で拳を作ってヘソの少し上あたりを強く圧迫する腹部突き上げ法を。ハイムリック法とも言います。
 
背中を叩いても、お腹を圧迫しても詰まったものが取れなくて、意識を失ってしまったら、次にやるのは「胸部突き上げ法」です。床に寝かせて、胸骨圧迫(心臓マッサージ)とまったく同じことをやります。肺を勢いよく圧縮することで、空気を押し出して詰まったものを飛ばそうとする解除法です。
 
反応(意識)がなくなってからの窒息解除法は「CPRをしましょう」と表現されることもありますが、「大丈夫ですか?」から始める必要はありません。いきなり胸骨圧迫をはじめてください。(もちろん他に人がいれば通報の依頼を!)
 
ヘルスケアプロバイダーレベルでBLSを学んでいる人は、反応がない窒息者への解除では、決して脈拍を取らないように!、というのが注意点。
 
BLSのアルゴリズムに従って行動した場合、「反応なし+呼吸なし+脈あり」となりますので、《補助呼吸》に行き着いてしまうからです。窒息解除に必要なのは、CPRの中でも人工呼吸ではなく、胸骨圧迫(胸部突き上げ法)です。
 
 
窒息解除における胸骨圧迫は、血流を生み出すのではなく、詰まった異物を押し出すのが目的だという点を理解しておいてください。
 
 
 


「エピペン使用だけにとどまらない緊急時に備えた救命講習の必要性について」

小児保健の専門誌「チャイルドヘルス」にエピペン関連の記事を書かせていただきました。

エピペン使用だけにとどまらない緊急時に備えた救命講習の必要について

いちはやく2007年頃からエピペン研修に取り組んできたBLS横浜ならではの視点で、エピペン研修のあり方と、心肺蘇生法と有機的に関連付ける必要性、またシミュレーション・トレーニングを取り入れることの意義を4ページに渡って書かせていただきました。

「エピペン使用だけにとどまらない緊急時に備えた救命講習の必要性について」
チャイルドヘルス2014年10月号 vol.17 No.10, p.51-54

エピペン注射を行うからには、心肺蘇生法を心得ていることがその前提条件です。
そして、できればエピペン注射というファーストエイド処置と、心肺蘇生法は深く関連した一連のものとして心得ていることが望ましいと言えます。

さらに、エピペン研修や救命講習は、外部での一般講習に参加するだけでは不十分で、施設内でシミュレーション訓練を行うことが実行性への大きなステップになります。

そんなことを実例を踏まえて解説してあります。

保育園ナースや養護教諭の皆さんにぜひ読んでいただければと思います。

なお、記事の中で紹介したエピペン&小児BLS講習は次回12月7日(日)、横浜での開催となります。
現在、参加者募集中です。

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ファーストエイド・インストラクター育成の方法論

企業から、ファーストエイド・インストラクター育成の相談を受け、取り組んでいるのですが、やはりファーストエイドの指導ができる人材を育てるというのはなかなか難しいです。
 
応急処置は心肺蘇生法ほど単純じゃありませんし、扱う範囲が広い。そしてまた、明確な答えがないという点が大きな要因です。
 
やけどの処置とか、喘息発作の対応など、ひとつひとつを切り分けて、標準的な対応を伝えるだけなら簡単ですが、実際のところ、「何が問題なのか?」を特定する観察法や視点、考え方ができていなければ、個々の処置にはいたりませんし、また複数の問題が合併している場合の優先順位の付け方など、処置以前の問題が山積しています。
 
そこをどう伝えるかが問題です。
 
人が生きる仕組みと死ぬ仕組みを理解して、まずは心肺停止という最悪の事態になっていないかを判定し、次いで心停止につながりかねない危険な状態(生命危機状態)の可能性を吟味し、それから具体的な個々の処置が登場します。
 
この理屈を理解することと、その判断能力を身につけることはまた別問題。
 
頭でわかったことを実践する体験・訓練を経て、初めて「できる」ようになります。
 
簡単にいうと、基礎知識を「レクチャー」で頭で理解したら、すぐにシミュレーションでそれを使えるか試してみる。その繰り返しで知識と技能を結びつけていく作業が必要となります。
 
こうした学習構造を理解して、講義、タスクトレーニング、シミュレーショントレーニング、デブリーフィングといった学習プランを組み立てられるのが、ファーストエイド・インストラクターです。
 
指導者としてゼロの状態からスタートして、どうしたらここまでできるようになるか?
 
その試行錯誤をしているところですが、まず大きな壁は、指導する/教えるということの経験値の絶対的不足があるように思います。
 
いきなりファーストエイドを教えようとすると、そのコンテンツの多さと答えのないつかみどころのない感じに打ちのめされてしまいます。
 
そこでまずは、教える内容(コンテンツ)が確立している心肺蘇生法に特化して指導経験を積むことによって、成人学習の組み立て方やシミュレーションの設定方法の経験値を上げていくのがいいのではないかと考えるようになりました。
 
まずはシンプルなCPR講習を気負わずにできるようになるまで経験を積む。次いで、受講者対象に合わせたCPRのシナリオトレーニングを組み立てられるようにする。
 
このへんまでくれば、学習支援ということの意味や、学習者の反応を見ながらインタラクティブに講習をアレンジする能力が身についていますので、心停止対応を少しずつ拡張する形でファーストエイド指導に幅を広げていくことが可能になっていくことが期待できるのではないか?
 
そんなことを考えて、いま、進めているところです。
 
ファーストエイド・インストラクターには、コンテンツとしてファーストエイドの知識と技術が必要ですが、それ以上にシミュレーション訓練のノウハウがなければ、単なる情報横流し屋に終わってしまいます。(このレベルならビデオ教材で十分です)
 
ファーストエイド講習の目的は、ファーストエイドの知識の流布ではなく、ファーストエイドスキルを持った人材の育成です。
 
それ自体、かなりハードルが高い内容ですが、それを指導する指導員育成をどうやっていくか? 課題は大きいですが、やりがいのある仕事だと思っています。
 
 

 

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