ファーストエイド一覧

喉にモノが詰まったときの対応【気道異物による窒息の解除法】

喉にモノが詰まったときの解除法の基本は、咳をするように促すこと。
 
自分で咳ができない完全閉塞なら、下の方を向かせて背中を強く叩いてあげましょう。
 
ダメだったら、詰まった人の後ろに回って、両手で拳を作ってヘソの少し上あたりを強く圧迫する腹部突き上げ法を。ハイムリック法とも言います。
 
背中を叩いても、お腹を圧迫しても詰まったものが取れなくて、意識を失ってしまったら、次にやるのは「胸部突き上げ法」です。床に寝かせて、胸骨圧迫(心臓マッサージ)とまったく同じことをやります。肺を勢いよく圧縮することで、空気を押し出して詰まったものを飛ばそうとする解除法です。
 
反応(意識)がなくなってからの窒息解除法は「CPRをしましょう」と表現されることもありますが、「大丈夫ですか?」から始める必要はありません。いきなり胸骨圧迫をはじめてください。(もちろん他に人がいれば通報の依頼を!)
 
ヘルスケアプロバイダーレベルでBLSを学んでいる人は、反応がない窒息者への解除では、決して脈拍を取らないように!、というのが注意点。
 
BLSのアルゴリズムに従って行動した場合、「反応なし+呼吸なし+脈あり」となりますので、《補助呼吸》に行き着いてしまうからです。窒息解除に必要なのは、CPRの中でも人工呼吸ではなく、胸骨圧迫(胸部突き上げ法)です。
 
 
窒息解除における胸骨圧迫は、血流を生み出すのではなく、詰まった異物を押し出すのが目的だという点を理解しておいてください。
 
 
 


「エピペン使用だけにとどまらない緊急時に備えた救命講習の必要性について」

小児保健の専門誌「チャイルドヘルス」にエピペン関連の記事を書かせていただきました。

エピペン使用だけにとどまらない緊急時に備えた救命講習の必要について

いちはやく2007年頃からエピペン研修に取り組んできたBLS横浜ならではの視点で、エピペン研修のあり方と、心肺蘇生法と有機的に関連付ける必要性、またシミュレーション・トレーニングを取り入れることの意義を4ページに渡って書かせていただきました。

「エピペン使用だけにとどまらない緊急時に備えた救命講習の必要性について」
チャイルドヘルス2014年10月号 vol.17 No.10, p.51-54

エピペン注射を行うからには、心肺蘇生法を心得ていることがその前提条件です。
そして、できればエピペン注射というファーストエイド処置と、心肺蘇生法は深く関連した一連のものとして心得ていることが望ましいと言えます。

さらに、エピペン研修や救命講習は、外部での一般講習に参加するだけでは不十分で、施設内でシミュレーション訓練を行うことが実行性への大きなステップになります。

そんなことを実例を踏まえて解説してあります。

保育園ナースや養護教諭の皆さんにぜひ読んでいただければと思います。

なお、記事の中で紹介したエピペン&小児BLS講習は次回12月7日(日)、横浜での開催となります。
現在、参加者募集中です。

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ファーストエイド・インストラクター育成の方法論

企業から、ファーストエイド・インストラクター育成の相談を受け、取り組んでいるのですが、やはりファーストエイドの指導ができる人材を育てるというのはなかなか難しいです。
 
応急処置は心肺蘇生法ほど単純じゃありませんし、扱う範囲が広い。そしてまた、明確な答えがないという点が大きな要因です。
 
やけどの処置とか、喘息発作の対応など、ひとつひとつを切り分けて、標準的な対応を伝えるだけなら簡単ですが、実際のところ、「何が問題なのか?」を特定する観察法や視点、考え方ができていなければ、個々の処置にはいたりませんし、また複数の問題が合併している場合の優先順位の付け方など、処置以前の問題が山積しています。
 
そこをどう伝えるかが問題です。
 
人が生きる仕組みと死ぬ仕組みを理解して、まずは心肺停止という最悪の事態になっていないかを判定し、次いで心停止につながりかねない危険な状態(生命危機状態)の可能性を吟味し、それから具体的な個々の処置が登場します。
 
この理屈を理解することと、その判断能力を身につけることはまた別問題。
 
頭でわかったことを実践する体験・訓練を経て、初めて「できる」ようになります。
 
簡単にいうと、基礎知識を「レクチャー」で頭で理解したら、すぐにシミュレーションでそれを使えるか試してみる。その繰り返しで知識と技能を結びつけていく作業が必要となります。
 
こうした学習構造を理解して、講義、タスクトレーニング、シミュレーショントレーニング、デブリーフィングといった学習プランを組み立てられるのが、ファーストエイド・インストラクターです。
 
指導者としてゼロの状態からスタートして、どうしたらここまでできるようになるか?
 
その試行錯誤をしているところですが、まず大きな壁は、指導する/教えるということの経験値の絶対的不足があるように思います。
 
いきなりファーストエイドを教えようとすると、そのコンテンツの多さと答えのないつかみどころのない感じに打ちのめされてしまいます。
 
そこでまずは、教える内容(コンテンツ)が確立している心肺蘇生法に特化して指導経験を積むことによって、成人学習の組み立て方やシミュレーションの設定方法の経験値を上げていくのがいいのではないかと考えるようになりました。
 
まずはシンプルなCPR講習を気負わずにできるようになるまで経験を積む。次いで、受講者対象に合わせたCPRのシナリオトレーニングを組み立てられるようにする。
 
このへんまでくれば、学習支援ということの意味や、学習者の反応を見ながらインタラクティブに講習をアレンジする能力が身についていますので、心停止対応を少しずつ拡張する形でファーストエイド指導に幅を広げていくことが可能になっていくことが期待できるのではないか?
 
そんなことを考えて、いま、進めているところです。
 
ファーストエイド・インストラクターには、コンテンツとしてファーストエイドの知識と技術が必要ですが、それ以上にシミュレーション訓練のノウハウがなければ、単なる情報横流し屋に終わってしまいます。(このレベルならビデオ教材で十分です)
 
ファーストエイド講習の目的は、ファーストエイドの知識の流布ではなく、ファーストエイドスキルを持った人材の育成です。
 
それ自体、かなりハードルが高い内容ですが、それを指導する指導員育成をどうやっていくか? 課題は大きいですが、やりがいのある仕事だと思っています。
 
 

 

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エピペン講習のデブリーフィング

昨日のアナフィラキシー対応(エピペン)&小児BLS講習の参加者は全員看護師さんでした。
 
保育園勤務の方がいましたので、園を想定したシミュレーションを行いました。ACLSを履修している方や、小児アレルギーエデュケーターの方もいて、非常にスムーズ。
 
子どもたちの誘導や119番通報、注射後の管理と観察など、チームワークもばっちりでした。
 
後の振り返りで、「今日はわかっている人たちばかりだったのでうまくいったけど、これが保育園で同じようにできるか不安」という声が上がりました。
 
これはACLSでもPALSでも同じかもしれません。
 
そこで参加者に尋ねました。「なぜうまく行ったのだと思いますか? もうすこし具体的に良かった要因を挙げてみましょう」
 
シミュレーション後のでデブリーフィングの目的は、できなかった点、うまく行かなかった点を見つけて改善するだけではありません。
 
うまくいったのなら、その要因を明らかにして、たまたまではなく、意図的に同じようにうまくいくように経験を”一般化”していくことも大切です。リアルな事象でも再現できるような経験知に変えていくのです。
 
このように振り返っていくと、公募講習のシミュレーションでできるけど、現場でできないということのギャップが、保育園等の施設のシステム的な部分や、事前準備や教育に大きく関係していることが見えてきます。
 
今回うまくいったのがみんながやるべきことをわかっていたからだ、というのなら、それを再現するには、保育園職員全員が同じ教育を受けることで解決できるのではないか? など。
 
講習が終わる頃には、施設全体のシステムという俯瞰した視点で考えるようになって帰っていきます。
 
施設ごとの個々の問題に、私達インストラクターは個別に対応はできません。ですから、答えを提示するのではなく、考え方と視点と方向性を示すことで、その後の可能性の広がりに期待したいと思っています。
 
シミュレーションベースのエピペン講習に答えはありません。
 
ファシリテーター(インストラクター)にとっても、受講者の皆さんとの情報交換、ディスカッションから毎回新たな学びがあります。
 
 
 


防災 ―DMAT増強と地域のファーストエイド力底上げ

昨晩、東日本大震災で初動にあたっていた救急の医師複数とお話する機会がありました。
 
DMATの立ち上げがいくら早くても、交通路が確認されて現地に到達できるまでには24時間〜48時間はかかるという現実。
 
政府としてはDAMT隊を増やすという施策を打ち出していますが、いくら部隊が増えても、東日本並みの災害では、発災直後の肝心な部分は、被災地の人たちや現地の医療者による自助、共助的な部分が生命線になるのは間違いないようです。
 
外部から支援をどう入れるかという発想も大事ですが、それ以上に地元の医療者の防災意識とスキルを底上げすることに力を割くべきではないかという意見。まさにそのとおりだと思いました。
 
医療従事者であっても、免許取得までの間にファーストエイドを学ぶ機会はありません。病院という整った箱の中で立ち回る術は学ぶだけです。ファーストエイドはもともとは市民レベルの応急手当ですが、それすら医療従事者は身につけていないという現実に目を向けるべきです。
 
この部分でBLS横浜はファーストエイド講習の老舗として、果たせる役割があるのではないかと感じた次第です。
 
 

 

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保育園ナースの専門性ってなに?

BLS横浜のサテライト、BLSくまもとのオリジナル企画。
 

保育園ナースの専門性とは? 小児BLSとアナフィラキシー対応(エピペン注射)できますか?
保育所ナースのためのワークショップ「保育園看護師の専門性とは?」 by BLSくまもと

 
子どもたちの命を預かる専門家として 、
『保育園 看護師』の専門性について再確認してみませんか。
 
保育園ナース同士の意見交換会です。
 
【ワークショップのテーマ】
 ・アレルギー・アナフィラキシーへの対応って?
 ・小児一次救命処置 PBLS (Pediatric Basic Life Support)って何?
 ・大人との違いは?
 ・こんな想定はしていますか?
 ・救急箱の中には何がある? 他
 
 
 

 
 
 
 


喉にモノが詰まったときのセルフレスキュー

さて、お正月です。
 
この時期話題になるのが、餅による窒息。
 
他人が喉にモノを詰まらせた場合の対応は、救命講習でも指導されていますが、盲点なのは自分が喉に詰まらせたらどうするか? という点。
 
ガイドライン2000の頃は教えられていたのですが、最近はあまり話題にも上らないので参考まで書いておきますね。
 
ガイドライン2000当時、言われていたセルフレスキューの要点は次の二つです。
 
1.気道異物による窒息を起こしたことを周りの人に知らせる
2.救助が得られなければ、自分で自分に腹部突き上げ法を試みる
 
喉にモノが詰まったことを周りの人に知らせて助けてもらう、そのために考案されたのがチョークサインです。喉のところに両手を当てるあのしぐさです。
 
万国共通の窒息のサインなどといっていますが、昔の文献を見ると、このやり方を周知すべきである、と書かれていて、ある意味人為的なサインであることも伺えます。
 
米国ではそれなりに周知されているのでしょうが、日本においてはまだ有用といえるものではない気もします。
 
 
もし救助を得られなければ、自分で自分に腹部突き上げ法(ハイムリック法)を行うしかありません。
 
そのやり方として例示されていたのが、椅子の背もたれや、ドアノブなどの突起物を使う方法です。
 

窒息のセルフレスキュー:椅子を使ったハイムリック法(腹部突き上げ法)

 
突起に自分で腹部を勢いよく強く押し付けて、横隔膜を挙上させ胸腔内圧を上げて喉の詰まったものを飛ばそうという理屈。
 
どれだけ有効なのかはわかりませんが、「藁にもすがる」上での予備知識としては意味があるかもしれません。
 
 

 
 

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エピペンを巡る新展開

日本災害救護推進協議会 -JAEA-のホームページで、「反復継続の意思がない」市民救助者であれば誰でもエピペン注射ができる、とする厚生労働省の見解が示されました。
 
このことに驚かれた方も多いかもしれませんが、BLS横浜のファーストエイド講習に参加したことある方は、「ついに来たか!」と思われたことと思います。
 
そもそも医師免許を持った人と、診療の補助が認められた看護師以外には原則認められていない注射という医療行為。
 
それを医療者免許を持たない学校教職員と保育所職員が「できる」とされた法的根拠をご存知でしょうか?
 
それはひとえに「反復継続の意図がない」と厚生労働省が認めたからです。
 
医師免許を持っていない人が勝手に人に注射をすると、医師法違反が問われます。その医師法は医業を禁止する法律です。そしてその医業の定義は「医行為を反復継続の意思を持って行うこと」とされています。
 
つまり、「反復継続の意思がない」と認められる医行為は医師法違反にならないのです。
 
故に学校教職員がエピペン注射をしていいかと文科省が厚労省に聞いたら問題ないという回答を得たというわけです。
 

エピペン注射の法的根拠

 
 
子どもからエピペンを預かって、いざとなれば何度であっても注射をしようと備えている学校教員や保育士ですら、反復継続の意思がないと判断されるとしたら、、、、たまたまアナフィラキシー・ショックの現場に遭遇したレストラン従業員や通りすがりの人にこそ、反復継続の意思があるとは考えられません。
 
ですから、法律の仕組みを考えれば、学校教職員や保育所職員にエピペン注射がOKとされた時点で、すでに医療資格を持たない一般市民の立場の人が使えるというのは自明な話。
 
ただ、それが公式見解として確認されていないことが問題でした。
 
そこを厚生労働省に正式に問い合わせを行なったのが、NPO法人 日本災害救護推進協議会さん。
 
詳しくは、ホームページをご覧ください。
 
 
ここでくれぐれも勘違いしないでほしいのは、誰でも気軽にエピペン注射をしていい、という話ではないということ。
 
学校教職員や保育所職員の場合は、親からの信託を得て、ある意味契約を交わして、代理注射を行うという図式になっています。
 
バイスタンダー的に注射を行うのとはわけが違うという点です。
 
例えば、サマーキャンプに引率する自然観察指導員などは「学校教職員」ではないとしても、学校と同じように親御さんとの信頼関係のもとにエピペン注射を行うことはありえるでしょう。ただ、いずれにしてもリスクを伴う医療行為なので、エピペンを預かって打つかどうかは組織判断ならびに自己判断、自己責任です。
 
学校教職員や保育所職員ほど守られていないのは、れっきとした事実です。実際に起きたあとで、裁判になってみないとわからない部分もあります。
 
また少なくとも、人に針を突き刺すという傷害行為と紙一重の筋肉注射という行為。
 
普通はありえない話です。

正当性が認められなければ、暴行罪、傷害罪、もしくは殺人未遂を問われてもおかしくない事態です。
 
そこは再確認しておきたいところです。
 
 
 


ハートセイバー小児ファーストエイドコースの奥深さ

先日、7月末にリリースされたばかりのAHAの最新講習プログラム、Heartsaver Pediatric First AId CPR AEDコースを開催しました。
 

AHAハートセイバー小児ファーストエイドCPR AEDコース

 
Pediatricというのは、「小児」という意味です。
 
つまり、ハートセイバー小児ファーストエイド&CPR AEDコース。
 
AHAコースの中でもハートセイバーシリーズですから、「対応義務のある市民向け」です。
 
米国労働安全衛生局OSHAが定める、職業上必要な救命スキルの、ライセンス認証をするプログラムになります。
 
子どものいざというときに備えなければならない職種、つまり、主には学校教職員や保育士向けのやや高度な応急処置&救命処置講習です。
 
成人傷病者を対象としたハートセイバー・ファーストエイドは、オフィスから工場、作業現場まで幅広い守備範囲がありますが、このAHA小児ファーストエイドコースは、学校や保育所に限局されています。
 
そのためより深く、具体的にファーストエイドの真髄に迫っている感じがあり、’開催していても新たな気づきが多く、改めて「ファーストエイドは個人スキルではなくシステムである」ということを痛感するに至りました。
 
特に小児だからこそ、そうしたファーストエイドの本質が見えやすいのかもしれません。
 
例えば、皆さんもよくご存知の通り、小児の救命の連鎖小児は「予防」から始まっています。(日本版ガイドライン2010では、成人も小児も共通で予防からになりましたが、米国版AHAガイドラインでは、依然成人と小児で違います)
 
子どもは予備力が少なくて心停止に陥ってしまったらほとんど助からない。
 
また、子どもは呼吸原性心停止が多く、いきなり心臓が停まることは少ない。
 
こんなことから小児BLSでも予防、というか心停止に至る前からの介入を教えているのですが、それがファーストエイドになるとさらに顕著になってきます。
 
コースDVDの各論部分の解説でも、必ずprevention、つまり予防から論じられているのです。
 
またファーストエイドはシステムであるという点が何度も示唆されているのも興味深いところです。
 
例えば、学校での授業中に糖尿病による低血糖発作を起こした子どもを救助する場面では、教員は携帯電話で職員室(保健室?)へ電話して、その子の応急救護計画は用意されているかと聞くのです。
 
教員の個人スキルとして、低血糖発作だとは気づいて処置もわかっているものの、糖分の入ったジュースを飲ませるという処置の前には、持病を抱えた子どもに関する情報と事前の打ち合わせ内容を確認しているという場面です。
 
低血糖発作と判断して、糖分を摂らせるというのは、見方を変えれば、診断→治療です。
 
無理矢理飲ませるのでない限り、大きな害もありませんから、ファーストエイドの範疇でいいと思いますが、厳密にいうなら本来は医師にしか許されていない判断です。
 
そんな心理的な負担を現場の教員ひとりに負わせるのではなく、予めリスクがある子どもに関しては対応をプロトコルとして決めておいて、学校のシステムとして子どもを守る準備をしておく。
 
これが本来の学校にあるべき応急救護計画ではないでしょうか?
 
 
また、DVDで示される別の場面。これは保育園のようですが、乳児をこれから預けようとしているママさんが、園の見学に来て、説明を受けている場面があります。
 
そこで母親は保育園の緊急時対応計画について尋ねています。それに答える保育士の説明が見事で、園で行なっている事故予防対策、救急医療機関との連絡体制などを説明しつつも、「私達も皆訓練を受けています。医療機関に引き継ぐまでの対処は、応急処置の範囲としてはしっかりとやらせていただきます」と毅然とした笑顔で伝えていました。母親は赤ちゃんに語りかけながら、「これで安心してあなたを預けてママは仕事に行けるわ」と。
 
こうしたやりとりの中から読み取れるのは、学校や保育所などにおいて、ファーストエイドは教職員個人のスキルではなく、学校施設全体の安全管理システムとして構築しなければいけないということです。
 
養護教諭や保育園ナースがすべてを背負うのではなく、個々の教員も含めて、皆、システムの一部。それがうまく動くようにするのは「計画」なのです。
 
もちろん学校は医療機関ではありませんので、専門的な対応は求められていません。
 
基本は119番して救急車を呼ぶこと。
 
しかし、その119番にしても対応計画を練っておかないとスムーズな引き継ぎはできません。
 
例えば職員室の電話から119を押しても消防にはつながらないかもしれません。外線のゼロ発信が必要な場合もあるでしょう。
 
また学校のどこに救急車が到着するのか? 普段は閉じているゲートを誰が開けるのか? 誰がどういう経路で学校内を誘導するのか?
 
親御さんへの連絡体制も強調されています。
 
 
これまで、BLS横浜では、子どものファーストエイドは、AHAのファミリー&フレンズ・ファーストエイドforチルドレンを中心に開催しており、学校教職員向けにもそれでいいかと考えていましたが、ファーストエイドを個人スキルとして考えるか、システムとして捉えるか、という点で、両者のプログラムは決定的に違っているということに、いまさらながら気付かされました。
 
学校の先生たちにも、学校現場におけるファーストエイドはどうあるべきか、システムという概念で考えていただくためにも、Heartsaver Pediatric First AId CPR AED(HS-PFA)コースは価値があると思います。
 
 

 
 
 
 

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養護教諭/保育所ナースのためのエピペン&小児BLS講習

BLS横浜オリジナル企画「養護教諭・保育所ナースのための小児BLS&エピペン講習」が終了しました。
 
ガイドライン2010になって、日本の一般的な救命講習からは小児の蘇生が消え去ってしまいました。JRC蘇生ガイドライン2010では、学校教職員や小さな子どものいる親などは、小児BLSを学ぶように推奨されているものの、どこでそれが学べるのかと言ったら、ほとんど絶望的な現状。
 
ということで、BLS横浜では子どもの救命法普及に力を入れていく方針なのですが、その第一弾として企画したのが「養護教諭・保育所ナースのための小児BLS&エピペン講習」です。
 
いまや学校の先生に求められる救命スキルは心肺蘇生法だけではありません。
 
心肺蘇生法というより、むしろエピペンがクローズアップされる今日この頃。
 
両方合わせて、学校の先生、中でも救命処置に関して専門職である養護教諭・保育所看護師にフォーカスした講習を組み立ててみました。
 
養護教諭・保育所看護師に求められる救命スキルは、自身がCPRができてエピペン注射ができる、ということだけではありません。
 
現場で唯一の医療・保健職。
 
そこに求められるのは、現場マネージメント能力であり、現場での他職員への指導力です。
 
心肺蘇生法は養護教諭が行うべきではないかもしれません。特に胸骨圧迫など、自身が行なっていたら、現場全体を見ることはできませんし、指示を出すこともできません。
 
つまり、養護教諭・保育所看護師は自分自身がCPRができることに加えて、他の人、場合によってはほとんど訓練を受けていない人をその場で即興で指導して、CPRを実践してもらう「蘇生インストラクター的なスキル」が求められるのではないかと思うのです。
 
また、子どもであっても人工呼吸はする必要がないと言い切る、適切とは言いがたい指導が巷で行われている現状を考えると、子どもの心停止の仕組みを理解して、何が正しいやり方なのかを、受け売りではなく、人に説明できる力も求められていると言えます。
 
子どもの心停止の仕組みを理解し、子どもに最適化された蘇生法が実践でき、そしてそれを人に指導できるスキル。さらにいうと、ACLSのチームダイナミクス的な現場で人を動かす力。
 
そんなところに主眼をおいて、CPRを約3時間、エピペン部分で約1時間の講習を行いました。
 
もうちょっと心肺蘇生部分とエピペン部分を関連付けて伝えられれればよかったなとか、詰めが甘かったり、焦点がぼやけてしまった部分もありますが、参加された方たちにとっては、これまでにない学習体験となったようです。
 
今、世の中が求めている講習プログラム。それは申し込みの多さや見学希望の多さからも見て取れます。
 
今回いただいた感想などから、さらなるチューンナップをはかり、可能なら11月にまた開催したいと思っています。今回、キャンセル待ちいただいていた方たちも、次回、ぜひご参加いただけたらと思います。